(127 / 293) ラビットガール (127)

アスカ達は青海にはいないエビのおかげで神の国、スカイピアに着くことが出来た。
真っ先に降りたのはやはり冒険大好きルフィ・ウソップ・チョッパーだった。


「おい!錨はどうすんだ!?海底がねぇんだろ、ここは!」

「んなモンいいだろ、どうでも!早く来てみろフカフカだぞこの浜辺は!!!」

「どうでもってお前…」


島があり、近くまで進んだのはいいのだが…ウソップが最初空から落ちそうになったのもあり錨を持ったゾロがどうするのかと船長に聞くも大はしゃぎしているルフィからの返答に更に困惑する。
そしてゾロはちらりとアスカを見た。
水着に着替え終わったアスカはゾロ達の様子をなんとなく見ていたのだがゾロの視線に合わせサッと目線を逸らす。


「おい副船長。どうすんだ、錨」

「……………」

「おい、副船長」

「……………」

「……………」

「……………」


ゾロはわざとなのだろうか…アスカを名前ではなく『副船長』と呼ぶ。
だからアスカは顔も背け聞こえませんと言わんばかりにゾロを無視する。
往生際の悪いアスカにゾロは呆れたようにため息をつく。


「…どうすんだ、アスカ」

「一応降ろしておいたら?」


副船長呼びをやめ名前を呼べば即答が返ってきた。
その変わり身の早さに呆れを通り越しながら錨を下ろしかける。
しかしふとアスカのそばにいるライバルを見てその手を止め、ライバルを二度見した。


「…アスカ」

「なに」

「…お前はグルマユに何させてんだ?」

「何って……浮き輪製造機・SANJI」

「お前…」


ライバル…というのも癪だが何かと意見の合わないクルー…サンジがアスカの傍で浮輪を膨らませていた。
一生懸命顔を赤くなるまで息で膨らませるサンジにゾロは手を止めたのだ。
『空気入れはどうした?』というゾロの問いにアスカが『探してたらサンジが『おれが入れてあげるよ〜!アスカちゅわ〜ん!!』って』と答え、ゾロは初めてサンジを憐れみ同情したが、その言葉に『ああ、そうか』と返事を返しながらあっという間に同情も憐れみも消え失せ止めていた手を動かし錨を降ろした。


「アスカちゃ〜ん!!怪我したら危ないからおれが受け止めてあげるよ〜〜!!」


数十分後…酸欠になりつつあり気も何度か失いかけたサンジは無事アスカの浮輪を膨らますことに成功した。
アスカは途中『もういいよ』と言いかけ空気入れを探そうと何度もしかけたが、自分の浮輪を完成させんがために顔を真っ赤にして頑張るサンジに言えずずっと待っててあげていた。
サンジの息入りの浮輪を手にアスカはさっそく手すりから飛び降りようとした。
しかしサンジが待ったをかけ自分が先に降りて自分を受け止めると言いだしたのだ。
最初は断ろうと思ったが、その前にテンションの高いサンジはひゃっほう!と声を挙げながら回転して飛び降りる。
何だかんだクールに気取りながらもサンジも空島にテンションが上がっていたようである。
アスカは海のような効果もあると上った時に確認したため、サンジの言葉に甘えサンジの腕に飛び込んだ。







アスカは他の能力者よりも海に弱いが、基本は他の能力者と同じで全身につからなければ気を失うことはない。
その為海水浴は長時間は無理だがそれなりに楽しむことはできる。
アスカは浮輪に座りぷかぷかと浮かんでおり、その浮輪をサンジが引っ張って泳いでいた。


「アスカちゃん!もう上がった方がいいよ!」

「うん」


他人から見たら何が楽しいのか分からないが、アスカは浮輪を引っ張られるのも一緒に泳いでいるように感じるし、移動しながら足をパシャパシャさせて遊ぶのも楽しい。
しばらくサンジと他愛ない会話を広げているとサンジがアスカに気を使い雲の海から上がろうかと提案してきた。
その提案にアスカは若干残念ではあったがこれ以上は力が抜けてしまうと思ったのかその提案を飲む。


「アスカちゃ〜ん!そこに可愛いお花を見つけたんだ〜!君にあげるよ〜!!!」

「ありがとう」


陸に上がってアスカは雲の海のさざ波を見ていた。
ザザ、と海特有の音も、何気ないさざ波もアスカにとったら楽しいものである。
そんなアスカのもとに、そばを離れていたサンジが目をハートにして花を手に帰ってきた。
見たこともないその花にアスカも目を見張ったが、小さく照れくさそうに笑いサンジの差し出されているその花を受け取る。
珍しいアスカの微笑みと花を受け取ってくれたことにサンジはデレンデレンとなっていった。


「アスカ〜!こっち来いよ〜!いいもんやるからさー!」


骨抜きになっているサンジにアスカは浮き輪を通し、ルフィに呼ばれたためそちらへ足を運ぶ。
近くにいたルフィの傍には天使のような羽が生えた女性がおり、アスカと目と目が合うとにっこりと愛らしい笑みを浮かべ『へそ!』と声をかけてきた。
アスカはその変な声かけに若干首を傾げながらもとりあえず返してみる。


「へそ」

「お前も何言ってんだ?」


挨拶らしいその変な声かけになんの戸惑いもなく返す幼馴染にルフィは首をかしげる。
しかしアスカを呼んだ理由を思い出し、アスカにズイッとかぼちゃを差し出した。
反射的に受け取ったアスカはルフィを怪訝そうに見つめる。


「なに?」

「アスカ!コレ飲んでみろよ!すんげェ〜〜〜〜っ美味いんだ!!」

「へェ…」


ルフィの言葉にアスカはルフィから手元にあるかぼちゃを見下ろす。
そのかぼちゃは両手で抱えるほど大きく、裏側をくり抜き、そこからストローを挿してあった。
言われるまま飲んでみるとアスカは驚いたような表情を浮かべルフィを見つめた。


「!、美味しい!!」

「だろ!?だろー!?」


かぼちゃのようだから自然とかぼちゃに似た味を思い浮かべていた。
しかし飲んでみるとかぼちゃではない美味しい果汁だった。
期待していなかった分美味しさは倍となっており、驚くアスカにルフィは満面の笑みを浮かべた。


「何かお困りでしたら力にならせてください」


コニスと名乗った天使の女性はそう言って微笑んだ。
ロビンやナミとは別の美女にサンジは相変わらず口説こうとするもナミに耳を引っ張られ口説けなかった。
ナミはお言葉に甘えて、と空島の事を知らないためコニスに色々聞こうとした。
すると海の方から誰かが来ているのに気づき、それはコニスの父、パガヤだった。
パガヤはそのまま浜に乗り上げ木にぶつかってしまう。
それを見てナミはハッとなりルフィを見た。


「ねェルフィ!あんた"ああいう"の海底から持って来なかった!?」

「あぁ持ってきたな」

「あれが"ウェイバー"だったんだ…!ノーランドの日誌で読んだ風がなくても走る船…!!」


パガヤの乗っていたものはナミも見たことがあった。
それは"ウェイバー"といい、日記の書いていた通りにウェイバーが実際あった事に感激していた。
ウェイパーというものを見せてもらえば、確かに風がなくても走れる構造になっているようである。
しかしそれがなぜそうなのかは技術者ではないナミには分からなかった。
帆もない乗り物に興味津々の彼らにコニスは『ダイヤル』のことを教えてくれた。
どうやら青海にはないもので動いているらしい。
アスカ達は出会ったパガヤに"空の幸"をご馳走してもえる事になったのだが、まずはウェイバーという乗り物に乗ってみたいとルフィが言いだし、乗せてもらえることになった。


「アクセル?これか?踏めばいいんだな?これを…」


教えてもらった通り、ルフィはアクセルを踏んだその瞬間―――


「あがが!!?何だこのゆれは…!?止まらねェ!!!」


素人のルフィには難しかったのか、ハンドルを取られ小刻みに左右に揺れていた。
そしてルフィは上手く操縦できず激しく揺らされながら最後には雲海に落ちてしまった。


「こけた」

「この上ない大転倒だな」


ボフン、と音を立てルフィは落ちてしまった野だが…そんな船長をウソップとゾロは冷静に見ていた。
その隣でパガヤとコニスが慌てふためく。


「あぁ!大変!!おケガはないかしら!!?」

「何てことだ!すいません!ウェイバーをお貸ししてすいません!」

「…そういや能力者にこの海はどうなんだろうな…」

「そうか、普通の海とは違うからな…アスカ、お前入ってただろ?どうだったんだ?」


ゾロに問われ口を開いた時、ルフィは沈み小さく手だけ見えていた。


「沈んだ」

「ダメか」

「やっぱり」


結局ルフィはサンジとゾロが救出し、能力者なのに助けに行ったチョッパーをウソップが救出する。

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