(128 / 293) ラビットガール (128)

ウェイバーはナミにしか乗ることができず、遊んでいるからとルフィ達は先にパガヤとコニスの家に向かった。


「ルフィ?何してんの、いくよー」


浜辺から近い家がパガヤ達の家らしく、とはいえ階段が何段も続いていた。
パガヤとコニスを先頭にサンジ達が続き、アスカはふと幼馴染が階段の途中で止まって海を見ているのに気づき声をかけた。
こちらに背を向けるルフィにアスカは声をかけながら隣へ歩み寄ると、ルフィは海ではなくウェイバーを乗りこなすナミを見ていた。


「何であいつあんなスイスイ…」

「すごいよね、ナミ…ここの住人の人も難しいって言ってる乗り物なのに」

「あれな、すっげー揺れるんだぞ!」

「うん、そうみたいだね」

「ナミ、すーげー楽しそうだしよォ…」

「そうだねェ」

「……沈め!」


先ほど乗れなかったのが悔しかったらしいルフィは恨めしい目でナミを見ていた。
その横でアスカも波が遠目でもわかるほど楽しんでいるのを見ながらルフィとは正反対に見守っていた。
ルフィはそんな幼馴染を尻目にベッと舌を出し、そんなルフィにアスカは呆れ目を向け、ルフィの頬を摘まんで引っ張る。


「ふぁにふんふぁふぉ!」

「あんたなに八つ当たりしてんの…もういいから行くよー」


突然頬を摘ままれたルフィからしたら理不尽に感じてしまいむっとしてしまう。
それでも幼馴染に勝てないのがルフィであり、頬を引っ張られながらルフィは階段を上ることになった。
その間も色々な事を教えてもらった。
空島に元々ある海は二つ…アスカ達が船で進んできた"海雲"と、その海雲に浮かぶ足を踏み入れても沈んでいかない"島雲"の二つ。
天へと上ったのに上にはまだ青空が広がっており、そこにはアスカ達がよく見る普通の雲があるが、それらの違いは『凝結核』が他と異なるため通常の雲との違いが生まれるのだそうだ。
そしてアスカ達が通った『ミルキーロード』などは人工的な雲らしい。
そうこうしているうちに長かった階段も終わりをつげ、アスカ達はパガヤとコニスの家に到着した。
家についても二人は色々教えてくれた。
この空島で欠かさない、『貝(ダイヤル)』というモノ。
それは名前通り、貝が様々な役割をしてくれるらしく、風を取り込みドライヤーの代わりになったり、音を記憶して再生することができる貝があったり、照明代わりになったり、炎を蓄えることで料理にも使える貝、映像を残せる貝なども沢山あった。
動力や威力などの強弱は貝によってさまざまあるため使用方法が限られているわけではないらしく、ウェイバーもその貝の一種で動いているらしい。
ルフィ達が拾ったボロボロなウェイバーも、貝が無事であれば再生可能らしいのだ。
それを聞いてルフィは喜んでいたが、乗れない事を指摘されあっというまにしょんぼりさせる。







昼時、という事もあって料理人のサンジが色々教えてくれたお礼として料理を作ることになった。
サンジの料理は味は勿論、相変わらず見た目も美味しそうで人一倍食い気があるルフィはそれだけでも涎を垂れていた。
サンジは我先にと勝手に食べ始めるルフィや、それに続くアスカ達を見た後一人海雲をウェイバーで楽しんでいるナミを呼ぼうとした。
しかし、サンジがいくら探しても愛しのナミの姿がどこにもなかった。


「おい!ナミさんはどこ行ったんだ!?」

「いるだろ、海に…」

「いや、いねェ…」

「じゃ、ちょっと遠出してんだよ、放っとけ!」


女性に関したら目ざといサンジがナミを見つけられないというのなら、本当にナミは見える範囲にいないということになる。
サンジはナミを心配していたが、どちらかと言えばナミも流石は麦わら海賊団の一員と言うべきか…簡単にはくたばらない。
ナミの怖さも相まってそれほど心配はしていないウソップ達の言葉も耳に入らずサンジはハラハラとナミを探して海を見渡していた。


「ち…父上……大丈夫でしょうか…!?」

「えぇコニスさん 私も少し悪い予感が…」

「なんだ?どうした?」


サンジ達の会話を聞いて、何か思い当たる節があるらしいコニスとパガヤがお互いの顔を見合い不安そうな表情を浮かべる。
心配そうにするコニスとパガヤにルフィは肉を銜えながら顔を上げる。


「この"スカイピア"には何があっても絶対に足を踏み入れてはならない場所があるんです…その土地はこの島と隣接しているので "ウェイバー"だとすぐに行けてしまう場所で……」

「足を踏み入れてちゃならないって何だそれ?」

「…聖域です…神の住む土地……"アッパーヤード"」

「"神"がいるのか!!?絶対に足を踏み入れちゃならない場所に…!!」


立ち入ってはいけない場所、よりもコニスの『神』という言葉にアスカ達は驚く。
アスカ達のいる青海にも『神』という存在はしているが、実際に神を見たものはいない。
どうやらコニス達の話によれば、空島にはその『神』が存在しているようで、そこから驚いてしまう。
アスカは『神』なんて信じていないため、『神』という存在にあまりピンとこなかった。
『神』という存在にアスカが『ふーん』と気なしに思っていると、近くからキラキラした何かが見え、そこへ目を移す。
そこには目をこれでもかと輝かせていた幼馴染がいた。
目を輝かせるルフィを見てアスカは嫌な予感がよぎり、それはアスカだけではないようで、ルフィの様子に気付いたウソップが慌ててルフィの胸倉をつかんで揺さぶる。


「おい!ルフィ!てめェ今何考えてる!!話をよく聞けよ!!!足を踏み入れちゃならないっていうのは絶対入っちゃならないって意味なんだだぞ!!」

「あ〜そ〜入っちゃいけねェ場所があるのか…そっか…絶対入っちゃいけねェ場所かァ…」

(((絶対入る気だ…)))


胸倉をつかんでもルフィは顔をニヤニヤしており、そんなルフィを見てアスカ達は心を一つにした。
そうなったルフィは頑として意見を変えることはしないため、それを幼いころから知っているアスカは誰よりも諦め反論する気にもならなかった。


(アスカ〜!!なんとか言ってくれよ〜〜!!)

(無理だってば…ルフィがああなったら梃でも動かないし意見変えないから。)

(そんな〜!お前副船長だろ〜〜!?)

(仮だから!副船長でも仮がつくから!!あと副船長は子守りでもなんでも屋じゃないから!!)


困った時の幼馴染…と、いうことで胸倉をつかみながらウソップはルフィの幼馴染であるアスカを見た。
テレパシーで縋ってくるウソップにアスカはつーん、とそっぽを向いて拒絶した。
副船長と呼ぶな、という反抗もあってか顔を背けられたウソップはガクリと肩を落とす。


「おし!とにかくナミを探しに行こう!…あ、でもちょっとまて…これ食ったらな」

「そんな悠長なこと言ってる間にナミさんの身に何か起きたらどうすんだ!おいとけ!すぐ戻って来るんだからよ!」


ルフィはナミを探す名目であわよくばその入ってはいけない場所へ入る気満々だった。
しかし食欲はあるのかまだ食べたりないと皿に手を伸ばし、ナミが心配なサンジに急かされていた。
その間、実は"貝船"のエンジニアらしいパガヤが古いウェイバーを修理してくれると言うので外に出てルフィとアスカは船には乗らずウェイバーを治してもらっていた。
船にはルフィとアスカ以外が乗り込みを完了しており、ルフィとアスカは壊れているウェイバーを見てくれているパガヤに直るか聞いていた。


「本当に古いものですね…」

「直る?」

「さァ…解体してみないと何とも……」

「おいルフィ!行くぞ、早く乗れ!アスカちゃんも早くしてくれ〜!」


サンジは愛しのナミさんへの心配しすぎて中々船に乗らない二人に焦っていた。
しかしマイペース組みの2人はサンジを余所に階段から降りてくる変な集団に気付き、見上げていた。


「ねえ、ルフィ…あれ、なに?」

「ん?おっさん、あれ何だ?」

「え?」

「そこの不審な船!待て!!」

「誰あれ」

「さぁ?」


その集団は軍隊のような服を着ており、階段から降りたとたん何故かほふく前進で来た。

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