(130 / 293) ラビットガール (130)

只今アスカはルフィ・サンジ・ウソップと共に川を渡り試練というものを受けていた。


「それもこれもルフィのせいだ…」

「なんだよ!謝ったじゃんかよー!」

「謝って許されるのなら海軍はいらない。もっと反省しなさい!私に跪くくらい!!」

「アスカちゅわ〜ん!!おれが跪いてあげるからそんなやつ放っておきなよ〜!!」

いらない


ビシビシとアスカはナミがやっていたようにルフィの額を何度も突っつく。
相変わらずアスカには手出しも出来ないルフィは額を赤くしながらむすっとしていた。
何故4人が森の中をボートで彷徨っているかというと…数時間後にさかのぼる。

―――あの軍隊のような男たち…ホワイトベレーが居なくなった後、この国から出る為ナミ達は一時的に船から降りたのだが、逃げた方がいいという結果となり船に戻った。
だがルフィはご飯を貰いにサンジと戻り、ウソップは部品を貰う為に戻り、アスカは船に行こうとするもより多く食べ物を得るためにとルフィに手を引かれ道連れになってしまった。
そして事件は起こった。
ナミ達を乗せている船がエビに攫われ4人は試練側として残らされてしまった。
生贄側として連れて行かれたナミ達を追うためにコニスに案内されたのだが、コニスは涙を流しナミ達を誘拐させたのは自分だと自白する。
自白した瞬間、ドン!、と音をさせ何かが落ちてきたが、そこには大きな穴しかなく、コニスとコニスを庇ったルフィがいなかった。
空の騎士が助けてくれた御蔭で2人は助かり、そしてボートに乗り込み今にいたるのだ。
森に入ると真っ先に刃が4人を襲い、それを抜けながら死ぬ思いをしつつ進み、今に至っている。


「ほんとに…変な森…ウソップの言う通り誰かが狙って私達を倒すって言うのかな」

「大丈夫だよ〜〜!アスカちゃんはおれが守る!」

「そう、ありがと。……でも流石に森に入ると寒い…水着に着替えるんじゃなかった…」


目をハートにさせながら腕を広げて『おれの胸に飛び込んでおいで〜!』と叫ぶサンジを適当にあしらいながら、アスカは腕を擦る。
ナミは船でTシャツに着替えていたが、アスカはまだ水着を着ているのだ。
勿論背中を隠せる服のような水着だが、それでも海水浴をして濡れていたのもあって日が当たらない森の中では少し寒く感じる。
腕を擦るアスカをルフィはジロジロと見て首をかしげる。


「いつもと変わんねェーじゃん」

「うるさいな…生地が違うの!」


ルフィの無神経な言葉にむっとむくれていると、運転していたウソップが驚いた声を上げる。


「うわっ!今度は巨人が現れた!!」


その声にウソップへと振り返れば、目の前には巨大な像のようなものが現れた。
確かに一瞬巨人かと思ったが、よく見れば石でできた像である。


「馬鹿、あれは石像よ」

「おい!でも…完全に行き止まりだぞ!!」

「いや入り口が4つある!!」

「まさかそれぞれ別の場所へ繋がってるんじゃねェか!?」


その像の近くに行くと沼の試練、鉄の試練、紐の試練、玉の試練と書かれており、それぞれ4つの入り口があるのが見える。
結局ルフィ達は危険性のなさそうな名前の玉の試練を選び、入っていく。
ウソップは怖くて目を開けられなかった。


「おいおい、目を閉じるな!運転手!」

「あ、開けても真っ暗だ…!」

「あ、そうだこういうのもあるんじゃないか?」

「なに?」

「入り口が4つあったろ?どれかが当たりでどれかがハズレ!」

「え!?な、なんだよ!そりゃ…今更言うなよ!ハズレたらどうなるってんだ!?」

「ハズレたらそのまま地上まで落下…とか?」

「お!それだ!」

「それだじゃねぇーーーっ!!!!」

「流石アスカちゃん!あったまいい〜〜!!!」


ビビリなウソップにかかればどの入り口も地獄の入り口になり、結局決めきれなかったウソップはルフィの勘を信じて『玉の試練』の入り口をくぐった。
入り口に入ってすぐに道に出るというわけではないようで、トンネルのようになっており辺り一面真っ暗闇となっていた。
海雲の水音が響いて聞こえる中、ルフィが不意に何かを思いつき、アスカがそれに乗る。
サンジは目をハートにしながらいつもより多く回転していた。


「なーんて!そんな訳ないよね」

「あ、あ、当たり前だ!アスカ!!青海まで1万メートルだぞ!!?落下中に人生を何回振り返るんだよ!落下にもほどがあるってもん―――…」


流石にそれはないか、と珍しく惚けて見せるアスカにウソップは泣きそうな顔で勢いをつけて突っ込むのだが…ウソップは言葉を切った。
何故か、それは…

―――アスカの言葉通り、落下したからだ。


「は!?」

「えぇっ??」

「いやだ〜〜〜!!!!ウソだろおおおおおおおおおお…!!!!!」

「――――ひっ…!!!」


まさか自分が言った通り落ちるとは思っていなかったアスカは、覚悟もなく落下特有のぞくっとする感覚に襲われ、アスカは小さく悲鳴をあげて近くにあったものにしがみ付く。


「ハァ…ハァ……」

「た、助かった…!!」


多分、あっという間の時間だったのだろう…しかし落ちていたアスカ達にとってその時間は数時間と言ってもいいくらい長かった。
落下したアスカ達はそのまま青海に…ではなく、そのまま下に流れていたミルキーロードに落下し無事だった。
しかし心臓がバックバク言っておりアスカはまだしがみ付いた手を離せなかった。


「サ、サンジ!!おい!サンジ大丈夫か!?」

「ギャー!!サンジが死んだーーっ!!」

「へ…?」


心臓が痛いくらい動いていたアスカは落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
するとウソップの焦った声とルフィの叫び声を聴きアスカはやっと自分の状況に気付いた。
アスカは近くにあった何かにしがみ付いた。
そう…しがみ付いたのだ。
そのしがみ付いたものとは―――サンジだった。
自覚してみれば確かに人のぬくもりを感じることができ、更にはサンジの香りがアスカの鼻をかすめる。
恐る恐る顔を上げてみると…


「サ、サンジが死んでる…!!!」

「いや殺してやるなよ!勝手に!!」


サンジが鼻から血を流し目をハートにさせて気を失っていた。
パッと手を放してしまうとサンジが仰向けで倒れてしまう。
ドサリと倒れたサンジを見つめながらアスカは背景に稲妻を落としながら驚愕の表情を浮かべる。
そんなアスカをウソップがツッコミながらサンジの元へと駆け付け、目を覚まさせるように頬を叩く。


「おーい!サンジ〜!!おきろー!!」

「―――ッは…!い、今…今ものすごく幸せ絶頂だった気が…!!」


ウソップは勝手にサンジを殺すルフィとアスカを見て『こいつら似たもの夫婦だな』と思いながらサンジを起こす。
サンジはウソップに起こされハッと我に返ったように目を開けた。
どうやらアスカに抱き着かれているときの記憶は幸せすぎて飛んでいたようで目を覚ますと幸せだったというのは覚えているが、なぜ倒れていたのか覚えていなかった。
ハテナマークを浮かべているサンジにウソップはなんか説明するとまた面倒な事になりそうだからという理由から『お前が無事でよかったよ!』と言って肩を叩いて終わらせた。


「アスカ〜〜!見ろよこれ!!すげーぞ!!」

「え?なに?……うわ…!なにこれ…!!」


サンジとウソップのやり取りを見ていたアスカは一応サンジの心配をしていた。
どうして鼻血を流したかは分からないがサンジに抱き着いていた自分も原因の一つだと思っているのだろう。
まあ原因の一つどころか丸々原因なのだが…
何とかウソップが誤魔化すことに成功し汗を拭っているとアスカは後ろからルフィに声をかけられ振り返る。
そこには大量の雲の玉が浮かんでいた。

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