「"電気泡"!!!!」
バチバチと迫ってくる電撃をクリマタクトで電気泡を作り道を作り電撃を逸らす。
「雷の通り道を作り出そうとはいい考えだ…気象をよく知らなければできることじゃない」
(でも…駄目だ…!)
一時的に防げてもエネルが手加減している為、先ほどより大きな電撃では避けれない。
ナミは先程より強い電光にクリマタクトの握る手を強める。
「私は忙しいんだ消え去れ!!!」
(もう逃げ切れないっ!!!)
「てめェが消えろ!!!必殺…"火薬星"!!!!」
「「!!」」
電撃を放とうとしたその時、ナミの耳に聞き慣れた声が届く。
ハッとしその声の方へ目をやれば、そこにはエネルに黒焦げにされていたウソップいた。
エネルも振り返ってウソップを見ればウソップは顔を背け何故か謝った。
エネルはそんなウソップを見て見覚えのある顔だと思いだそうとし、船であった男の一人だと気づく。
「貴様だったのか…船で会ったな」
「あ、あれ?サンジとアスカは!?」
雷が来ない事に気づきウソップは背けていた顔を戻し、周りを見渡す。
だが、肝心の2人の姿が見えない事に気づき顔を更に真っ青にさせる。
ウソップの言葉にナミはウソップの他にもサンジとアスカもこの船に来ていることに驚く。
「サンジ君とアスカが来てるの!?」
「まだ来てねェのか!?ここにっ!!!」
(アスカ…?)
ナミの返答から二人がいない事に気付きウソップは『うそだろオオオ!?』と頭を抱え叫ぶ。
エネルはウソップから『アスカ』という聞き覚えのある単語に首を傾げていた。
ウソップは己を見るエネルに唾を飲み込み…そしてなぜか扉を閉める。
しかし自分に逃げてどうすると言い聞かせ再びドアを思いっきり開けるもエネルの電撃にナミのところまで悲鳴を上げながら回転して転がる。
「ナミ!!!」
「何!?私どうしたらいい!?」
「助けてくれ」
「知るかァ!!!」
助けに来ているのに逆に真顔で助けを求めるウソップにナミは頭を叩き胸倉を掴む。
「あんた私を助けに来てくれたんじゃないの!?」
「イヤもーそれもどうなんだかおれにもさっぱり…」
「じゃあ何しに来たの!?」
「さ〜〜?」
「さ〜?って何よ!助けてよ!!!」
「助けるったってお前…相手が"神"じゃ…」
「よねーっ!アハハハハ…」
助けに来たらしいウソップのヘルプに思わずナミも怒鳴ってしまう。
そして神を相手に自分たちが何ができるのかと笑いだす二人をエネルは無表情のまま雷を落とした。
咄嗟にナミもウソップもギリギリ避けたため難を逃れる。
その際、ウソップは避けながらナミの腰にある物に目をやる。
それは見覚えのある麦わら帽子だった。
「時にナミ…!!その帽子…!」
「ええルフィの!さっきまでいたんだけど…ここから落とされちゃったけど…死んじゃいないわ!あいつだもん!!」
「船は空を飛んでんだ!ルフィの助けは期待できねェな!!」
「うん!」
「何とか切り抜けよう!!死ぬのはごめんだ!!」
「了解…!!!」
どうやら自分たちが来る前までルフィがいたらしい。
ルフィはゴムだから雷が聞かなかったようだが、手に巨大な黄金の塊を付けられ落とされたという。
落とされた心配は端からしていないため逃げる心配をするだけだった。
走り出した2人の間に雷が落ち、ナミは転がっている持ってきていたウェイバーに気付く。
「ウソップ!あれ見て!!」
「ウェイバー!?」
「アレで飛ぶしかないしかないと思うの!!」
「飛んだってお前…!!この高さ…」
ウェイバーを指差し、これで飛んで逃げれないかと提案してもウソップは自分たちがいる高さを思い出し唾を飲み込む。
しかし、だからと言って、『ではほかにいい方法は?』と聞かれれば『ない』としか答えようがない。
ウソップは覚悟を決め、自分が気を引く役を買って出た。
「何とかおれが神の気を引く!!準備しろ!!」
「うん!!」
「くらえ"神"!!ウソ〜〜ップ"呪文"!!!」
ナミが走り出したのを見て、ウソップは素早く電気管の上に上り、エネルと対峙する。
「『ツメと肉の間に針が深く刺さった』…うわ!!!」
「イヤッ!…考えただけですごく…痛い!!」
「バカ!!耳をふさげ!命を落としかねない!!」
その"呪文"が効いたのはエネルではなくナミだった。
ナミは身体を振るわせるがエネルは無表情一択。
次は紙で指を切った事、そして口内炎が五つ歯茎に出来た事と次から次へと出てくる言葉の暴力(?)だったが、エネルは無表情のままウソップを殴り飛ばす。
「ウソップ!!!」
「!」
その威力は強く、ナミが蹴り飛ばされたウソップに気付き後ろへ振り返った時にはウソップの体は船から出ていた。
ナミは駆け付けようとするもナミの目にはスローモーションに見えており手を伸ばしてもウソップは悲鳴を上げながら落ちていく。
しかし…死を覚悟したウソップの足を誰かが掴んだ。
「あ…っぶなァ…!」
「!!――アスカ…っ!!」
ウソップの足を掴み落ちるのを阻止したのは、アスカだった。
アスカは舷縁の上に乗って腕をウサギにしてウソップの足首を掴み、船に放りこむ。
ドサリと落ちたウソップは走馬燈が流れたのか顔が落ちる恐怖で涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになっていた。
「お前は…」
ウソップを救った人物にエネルは目を見張る。
ウソップを帆織り込みながらアスカはエネルの視線に気づきギッと睨む。
睨んでくるアスカにエネルはしばらく睨みあっていたがクツクツとした笑いへと変える。
「生きていたのか…しぶとい奴め…」
「…………」
くつくつと愉快そうに笑うエネルにアスカは無言でグッとウサギの拳を握り構える。
その拳にはシュラハテンが装着してあり、足元もウサギとなりそこにも分裂したシュラハテンが装着していた。
シュラハテンが装着し終えた瞬間、アスカは再びエネルとの距離を縮め、腹に一発食らわした。
「……ッ…」
「シュラハテンの海楼石…覚えてるよね…?」
腹を抑え口から血を垂らしながら睨むエネルにアスカは拳を構えなおしニッと笑った。
ルフィといいアスカといい…エネルは次から次へと計画を邪魔する輩の登場に苛立っていた。
「貴様…ッ…何度も何度も…!!!」
特にアスカは何度も殴られているため恨みは倍である。
自分を憎らしく睨むエネルをアスカも睨み返しながらアスカは目をエネルから放さずナミに声をかけた。
「ナミ!今は逃げる準備して!!!」
「でも…」
「大丈夫だから!!絶対死なないから!!!」
エネルにはかなわないと思っているのか、戸惑うナミにアスカは喝を入れるように声を張り上げた。
そのアスカの言葉に不安はあったが無理矢理納得させたナミは拳を握り、後ろ髪を引かれる思いでアスカに背を向けウェイバーへ走る。
(とにかく準備を!!逃げれるとしたら勝負は一瞬!!)
ナミはアスカを心配しつつウェイバーを起こし逃げ出す方向を割り出す。
一瞬焦りのせいで見失ったが、それでも逃げ道を確保し、アスカへ振り替える。
「いいわよ!!!準備が…」
その瞬間、雷の落ちる音が響いた。
振り返るとアスカは黒く焦げ倒れていた。
ナミはアスカのその姿に息を呑んだ。
「アスカ…っ!!!」
「ハァ…ハァ……ウソップを…連れて…早く…っ!!」
まだ気を失ってはいないのか、アスカは身体を震わせながら起き上がる。
それでも膝をついてはいるが、まだエネルに立ち向かおうとしていた。
その姿が痛々しくて見ていられずナミの瞳には涙が浮かび、膝をついているアスカに駆け寄って一緒に逃げるために立たせようとした。
その腕をアスカは振り払う。
「だめよ!あんたも一緒に…!!」
「偏に"逃げる"と言っても相手が私では…た易くはないぞ…」
「ッナミ!!はやく行って!!!」
「―――ッ!!!」
ナミはどうしても体が動かなかった。
怖いのもある。
でも妹のように可愛がっている少女がボロボロになっていく姿を見て逃げる事が出来なかったのだ。
「行くぞ!!ナミ!!」
「!?――ウ、ウソップ!?でもアスカが…!!」
座り込んで首を振って動かないナミの腕を誰かが掴んで立ち上がらせ引っ張っていく。
その腕の主を見上げればそれは先ほど船から落とされかけアスカに助けられたウソップだった。
「この期に及んで助かろうとするんじゃあない…!」
ナミが必死にウソップの腕を外そうとするもビビリとはいえウソップも男であるため力では勝てなかった。
瀕死なアスカを放ってエネルはまず逃げる二人を追って手にある棒をウソップの背に向ける。
それに気づいたアスカが駆け寄ろうとしても遅く、エネルは電撃棒を通してウソップに流し込み、腕を掴みつながっているナミも道連れにしようとした。
しかし…エネルが電撃流すのとお同時に誰かがウソップの背を蹴り遠ざけたのだ。
ウソップはその勢いで倒れ込み後ろを振り返る。
そこには三手に別れたうちの一人…サンジがおり、エネルへ目をやればアスカがエネルを蹴り飛ばしているのが見えた。
「サンジ…!アスカ…!!」
「行け」
「サンジ君!?」
サンジが蹴ってくれたおかげでウソップは電撃で倒れることなく、サンジの言葉に倒れた体を起こしナミの手を引っ張りウェイバーに乗り込む。
「ナミ!!方向はこっちでいいんだな!?」
「待って…!ウソップ!!なんでアクセルを…!?まだサンジ君とアスカが…!!」
「いいんだ!!逃げるんだ!!!仲間の覚悟をお前は踏みにじる気か!!」
「…ッ!!」
ナミを前にやりウソップは後ろから抱えるように乗り込む。
納得していないナミからの返答は期待していないのでそのままアクセルを踏み込みサンジとアスカに背を向けウェイバーを出し、そして―――ナミとウソップはウェイバーごと船から落ちた。
「貴様ら…ッ!!」
アスカの蹴りに一瞬意識を飛ばしていたエネルだったが、すぐに回復し丁度着地したアスカとたばこを加えたサンジに向けて四人共々始末するつもりで強力な電撃を放った。
強い光が収まり、周りを見渡せば二人はいるがもう二人はいないのに気づく。
自分の傍にはすでに限界を突破していたアスカは倒れていたが、サンジは立っていた。
エネルは怒りで荒れる息を整えにやりと笑う。
「ヤハハ…飛び降りたか……まだ私の攻撃範囲もわからんのか…そんなものでは逃げたことにはならん」
エネルは黒こげで倒れているアスカと目の前の黒こげの男、サンジに目をやる。
アスカはもう意識がないため何も答えないが、焦げた煙草をくわえるサンジはエネルへ目をやる。
「アァ…神よ…………言い残した事が…1つあった…!!…あァ…ァ、いや…その前に…悪ィな…」
サンジはタバコの煙を吐き出し顔を上げる。
「タバコの火ィ…欲しかった…トコだ…!!」
「…それと?……何だ」
「…、……あァ…『吠え顔かきやがれ』」
サンジが倒れた瞬間、船から黒い煙が上がった。
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