(14 / 293) ラビットガール (14)

ガープが2人を連れて向かった先は村の奥にある山。
山には山賊がいるからと大人達からはあまり入らないようにと言われているその山にアスカもルフィも初めて足を踏み入れた。


「だからじいちゃん!おれは海賊王に…」

「何が海賊王じゃあ!!"悪魔の実"など食うた上にフザけた口をたたきおって!!ルフィ!アスカ!お前達もエースも!!将来は最強の海兵になるんじゃ!!」

「エースって誰?」

「ん?エースはな、これから一緒に暮らす子じゃ、仲良くするんじゃぞ?」

「ふーん…」


ルフィは脱走を図ったため、手を引かれていたが逃亡防止と罰として頬を引っ張られ、アスカは普通に手を引かれてガープと森を歩く。
ゴムだから伸びることは伸びるのだが、ゴムの体に痛みは聞かないのに、祖父であるガープに頬を引っ張られ痛みが走る。


「イデデデ!!くっそー!おれゴムなのに何で痛ェんだ!?放してくれよ!じいちゃん!!」

「お前達を生ぬるいフーシャ村に置いたのは失敗じゃった!」


大股に歩くガープは更に森の奥へと進み、たどり着いたそこにはボロボロだが民家があった。
ガープはその家の扉の前まで歩み寄り、どんどんと扉を叩く。


「ダダン!!出て来い!!!」


ガープの声と扉が叩かれる音に中にいた住人らしき人物が扉を開け、ゾロゾロと中から大勢の人間が出てきた。
その中で扉を開けたらしい大柄の女性がガープを見て『げっ!』と小さく零したのをアスカは聞いた。
顔も青くなりガープや自分たちが歓迎されていないのは目に見えて分かった。


「ガ…ガープさん!!ホントもうボチボチ勘弁しておくれよ!!エースの奴もう10歳だよ!」

「こり以上我々じゃ手に追えニーよ!!引き取ってくりよ!!」


女はガープを見て慌てるも今度はルフィとアスカも預かる事になった事を知ると女だけではなく周りも声を上げる。


「もう2人増えるー!?ガープの…あ!ガープさんの孫ーーー!!?」

「まぁ孫って言ってもアスカは違うが孫同然じゃ。どうじゃ?可愛いじゃろう?将来はミコトに似て有望じゃ!」


ルフィはあまり山の中に入ったことがなかったからか周りに興味あるのかキョロキョロと周りを見渡しており、アスカは知らない人だからか少し警戒しガープの服を握ってじっと女たちを見上げていた。
ガープが孫馬鹿を発動しているのを気にする余裕はなく、女たちは必至に首を振っていた。


「そんな無理っすよ!」

「よし…じゃあ選べお前らブタ箱で一生を終えるか、こいつらを育てるか…目を瞑ってやってるお前らの罪は星の数だ…!!」

「そりゃまー捕まるのもやだけど…時々監獄の方がマシじゃないかって程エース一人で参ってんのに、それに加えてあんたの孫って…どうせ怪物みたいなんでしょ!?…あのガキらも!!」


あわわ、といった効果音が似合うだろう山賊達は慌てる。
大人達の会話など子供からしたらつまらない物でしかなく、ルフィはすでにガープから離れ森の中には入らないが、物珍しく見て回っていた。
するとルフィの頬に誰かのツバが飛ばされる。


「げーっ!!ツバ!汚ね〜!!おい!!誰だお前!!」


ルフィの声に後ろを振り返ると、横たわって動かない大きな牛の上に乗る男の子がルフィを睨みつけていた。
同じくルフィの声で気づいたガープはその男の子の姿を見てその子の名を呼ぶ。


「おお!エース!」

「うおっ!!帰って来てたのか!エース!!」


男の子の名前は『エース』というらしく、名を呼ばれたのにエースは腕を組んでふてぶてしく座り、何故かルフィやアスカを睨んでいた。
睨まれる事をしていないアスカは平然とし、自分に害する者か、無害かを定めているようにじっとただエースを見つめていた。
ガープは睨み合う子供たちをよそに足元にいるアスカの頭を撫でながらエースを紹介する。


「あいつがエースじゃ。歳はお前らより3つ上。今日からこいつらと一緒に暮らすんじゃ。仲良うせい!」

「…………」

「決定ですか!!」

「………何じゃい…」

「お預かりします!!」


大人達の会話などよそにルフィとエースはまだ睨み合い、アスカは完全に不仲な空気にため息を吐き出すことを否めない。

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