(143 / 293) ラビットガール (143)

アスカは一味の中でも重症ということで、ナミと共に先にメリー号に乗って逃げる準備をしていた。
準備というよりはアスカは怪我が悪化するといけないからという理由でウサギを出して力仕事を手伝わせていただけである。
料理ができないためナミがホットミルクを作ってくれた。
それを冷ましながらチビチビと飲んでいると逃げるように走るルフィ達が帰ってきた。
どうやら黄金を盗んでくるため追ってくる空島の人たちから逃げてきたらしい。


「ついにおれ達は大金持ちだぞ!!でっっっけェ銅像買わねェか!?」

「バカ言え!何すんだ!それで!!ここは大砲を増やすべきだ!!10門買うべきだ!!」

「ナミさん!おれは鍵つき冷蔵庫がほしい〜〜〜!!」

「おれなァ!おれはなァ!!本買ってほしいんだ!!他の国の医学の本が読みてェんだ!」

「酒」

「ちょっと待って待って!あんた達、お宝の山分けはまずここを降りてからからよ!あんたらの好き放題買い物したら何も身にならなそう…」

「本買ってくらはい…」


持ってきた黄金を袋から出すと、アスカが見たこともないような黄金の数に圧倒された。
しかしアスカは黄金よりも、あの絵本が嘘ではなく本当の事だと知った時の方が胸躍り嬉しかった。
黄金を手に次から次へと好きなものを並べるクルー達にナミは待ったをかける。
ナミの言う通り、ルフィ達の思う通りに買っていたらせっかくある黄金があっという間になくなってしまいそうで怖い。


「みなさん!前方をご覧下さい!見えました!"雲の果て"です!」


わいわいと騒いでいると、ついに雲の果てについたのか案内してくれていたコニスが声をかけてきた。
そのコニスの言葉に前を見るとそこには門らしきものが建っているのが見える。
ルフィはそれを見て溜息をついた。


「あー…降りちまうのかー…おれ達…」

「いざ降りるとなると…確かに…名残惜しいな…」

「この真っ白い海ともお別れだ」

「空島楽しかったなー…怖かったけど…」

「私は痛い思いしかしてない気がする。」

「ではみなさん!!私達はここまでですので!」

「お元気でみなさん!!」


各々なにやら思い出があるだろうがアスカは試練から最後まで痛い思いと苦しい思いしかしていないからそんなに名残惜しいとは思っていなかった。
むしろだからこそもっと滞在したいと思っている。
船から降り見送るコニス達にみんな手を振る。


「コニスもおっさんも白いのも元気でな!!」

「ええ!ではすぐに帆をたたんで船体にしがみついていて下さい!!」


パガヤの言葉にルフィ達は慌てて帆をたたみ落ちないように黄金を部屋に運び船体にしがみ付く。
その時案内してくれたサウスバードが慌てた様子でこちらに向かってきてわざわざアスカの胸に飛び込んできた。
チョッパーの通訳で『おれを忘れるな!』と怒っていることが分かりアスカのひと撫でにその場は収まる。


「さて、船長…次の島への記録もバッチリ!!」

「そうだ!ここを降りたらまた新しい冒険が始まるんだ!野郎共!!そんじゃあ…青海へ帰るぞォ!!!!」

「「「おお!!!!」」」

「みなさん落下中お気をつけて!!」

「落下中?」


あの騒動の中でログもたまったらしく、すぐに次の島へと行ける。
空島は確かに名残惜しいが、次の冒険を考えれば落ち込んでいた心も浮上しはじめる。
コニスの言葉に手を上げていたルフィ達は首を傾げるが…その瞬間、空の海は途中で途切れメリー号はそのまま落下する。


「へそ!!」


ルフィ達の悲鳴を聞きながらコニスは手を振る。


「いきますよっ!!空島名物!"タコパルーン"!!!」


ピーーッ、とコニスが笛を鳴らすと横からタコが現れ落下していくメリー号に絡みつく。


「コノヤ…」


突然の巨大タコの出現に刀を抜きかけたゾロだったが、突然速度が落ち、そのままこけてしまう。
上を向くとタコが気球のようにふくらみゆっくりと船を下ろしてくれているのが見えた。
どうやらこのタコが下まで運んでくれるようである。
ゆっくりと降下していく船からアスカは空島を仰ぐように見上げた。
その時…


カラーァ…ン!

カラーーァ…ン!!




空島から綺麗な鐘の音が響いた。



「ねぇ、ルフィ」

「ん?」

「この鐘の音…クリケットさん達に届いてるよね?」


ルフィはアスカの言葉に満面の笑みを浮かべて頷く。


「あぁ!絶対届いてる!!!!」


ルフィの言葉にアスカも満面の笑みを浮かべた。

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