(145 / 293) ラビットガール (145)

空島から無事全員青海へ帰ることができ、ついた先は見渡す限りの草原だった。


「うおー!大草原だーーーーー!!!」

「コラーーー!!!!」


ここに来る前も纏まりのない変な海賊に出会ったりシーモンキーの悪戯に必死に逃げたりといつもの忙しない航海が始まり、ついたのはこの草原が広がる島だった。
その島は見渡す限り平面の大草原で、本当に何もなかった。
ルフィはそれでも島に着いたことが嬉しいのか警戒もなくウソップとチョッパーと共に船から降りて走り回っていた。
止めるよりも島に上陸しすでに姿が小さくなっていく子供三人を見てナミはため息をつく。


「もー、あいつらは…得体の知れない土地にずかずかと…」

「これだけ見えすいてりゃ危険も何もねェだろ」


見渡す限り大草原で、建物なんて一軒も見当たらなかった。
だから人がいない無人島ではないかと思ってはいるが、まだはっきり決めつけるのは危険である。
この世界の海は特に。
ナミの言葉に返しながらゾロは錨を降ろした後、『それより』、と船内に続く扉を指差す。


「それよりアイツが一番危ないんじゃないか?」

「え?…あ!!!こらっ!アスカ!!!」

「げっ!」


ゾロが指さす先にはそろ〜っとシュラハテンに乗りながら逃げ出そうとするアスカがおり、逃げ出そうとするアスカを見てナミは叱った。


「あんた怪我人でしょう!!とっとと部屋で大人しくしてなさいっ!!」

「ゾロのアホーーー!!アーーホ!!!」

「誰がアホだ。お前が悪ィんだろ」


バレないように上陸しようとしていたのに、ゾロに見つかり更にはナミにチクられバレて怒られてしまった。
アスカはゾロを睨むが、こちらが悪いと返されてしまいナミに押される形で部屋に引っ込む羽目となってしまった。
空島で片足と横腹に怪我を負ったアスカはまだ傷が癒えずチョッパーのドクターストップがかかっていた。







そんな部屋で不貞腐れているアスカを余所にルフィ・ウソップ・チョッパーは草原の生き物に驚いていた。


「長い……どいつもこいつも…」

「何で長いんだ…!!」


草原の生き物は長かった。
生き物だけではなく植物も果物も長かった。
ブツブツと呟いているウソップを余所にルフィはポツンと残っている一つの民家に勝手に入っていく。
それに気付いたウソップが慌ててルフィをとめに入るが、我が道を歩いているルフィには無視されルフィはウソップが止めるのも聞かず家に入ってしまった。


「待て待て!ルフィ!!!ここはきっとこの島のボスの住み家だ!!おそろしく体の長い妖怪ヘビ男が現れるに違いねェ!!」

「いねェぞ誰も…」


家の中に入るも中には誰も居らず、ウソップも誰もいないと聞いて首を傾げ家を見回しているとチョッパーが2人を呼ぶ。
チョッパーに呼ばれたため、家から出て声のした方へ向かうとそこには首が長い生き物が立っていた。
首が長いから一目見てキリンだと思ったが、よく見れば馬であることが分かった。
どうもここの生き物は首や胴などの体のどこかしらが長いようで、この馬も首が長いのだろう。


「綺麗な馬だな〜!!」

「名前はシェリーだって、女だ」

「鞍がついているってことはやっぱ人がいるんだ」


チョッパー達はシェリーと名乗った馬を飼い馬だと思った。
野生と違って毛並みが綺麗だし、何より背中に鞍がついていたのだ。
野生で鞍など取り付けられるわけもなく、そばに家があったから飼い主がいるのだと思った。
同じくルフィも馬を眺めていたのだが、ふと馬から目を逸らしどこかを凝視しており、それに気付いたウソップが声をかける。


「どうした、ルフィ?」

「ウソップ、あそこに竹が生えているだろ」

「ああ……ってうわっ!…てっぺんが見えねェ…なんちゅう高さだ…!!」

「よく見てろ、この竹…」


ルフィが指さす方へ目をやればそこには竹が二本生えていた。
周りは木ばかりだから余計に目立ち、そして木共々その竹も伸びすぎなほど先が見えないほど伸びていた。
ルフィが言うように目を凝らしてその竹を見つめていると…突然竹が動き出したのだ。
生えていたと思っていたちょっと長いだけの普通の竹だと思ていたウソップは突然動き出した竹に驚く。


「うわ!!逃げた!!」

「な!!これも長い動物なんだ!!きっ…ぶえ!!」

「うわぁ!!ルフィが竹に襲われた!!」


動く竹に驚いていたルフィに突然竹が攻撃してきた。
突撃され軽く後ろへ飛ばされたルフィはカチンと来たのか襲ってきた竹へ向かって足を延ばし、竹を真っ二つにへし折る。


「よっしゃーー!!勝ったぞ〜〜〜!!」

「うおおおお!!!割ってやった!!!」


竹を追って退治したと雄たけびを上げる2人の頭上からヒュルルル、と何かが落ちてくる音が聞こえ、ルフィとウソップは上を見た。
その瞬間、頭上から派手な音をさせてその物は落ちてくる。


「どうしたんだ!?」


突然の物音に敵襲かと思ったチョッパーは話していたシェリーに隠れるよう言い聞かせ見に行く。
砂煙がモクモクと立ちこめている中、チョッパーはルフィ達を探しながら声をかけた。
砂煙はすぐに収まり、そばにいたルフィに駆け寄ると、チョッパーはルフィにどうしたのかと問う。
その問いにルフィは驚いたような顔のまま"あるもの"を指差す。
チョッパーもその指さした方へ見えれば二人と同じように驚いた顔をしていた。
ルフィが指さした先にいたのは……


「……竹を割ったら…精霊が現れた」


ヒゲをはやした老人だった。


その頃、メリー号とその仲間たちは―――…


「何だお前ら…!!」

「………」

「やるんなら降りて来い!!」

「何のつもり……!?」

「なんなの、これ…」


錨を降ろし、ルフィが船に降りてしまったためナミ達も上陸し後を追おうとしていた。
アスカは絶対安静といわれているため陸に上がったナミ達をシュラハテンの上に乗りながら見送っている最中だった。
しかし手を振るアスカの背後からメリーよりも大型の船が近づいてきたのだ。
船の左右は陸と大型の船、そして前後はその大型の船から張られた太い鎖で船が囲まれてしまい、メリー号は動きを止められた。


「さっさと出て来い!相手になるぞ!!」


突然メリーを囲み逃げ場を封じた船に向かってゾロが凄むように声を上げる。
そんなゾロに謎の船から反応が来た。


「我々は"フォクシー海賊団"早まるな。我らの望みは"決闘"だ!!!」


『決闘』というその言葉にアスカは嫌な予感がし、嫌そうに顔を歪めた。

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