(154 / 293) ラビットガール (154)

爆発し、ルフィは砲弾を食らったのだと思ったがマストの上に逃げていた。
その後船内戦となり、ルフィが出てくるまでどうなっているのか確認できなかった。
外ではオヤビンコールが会場に響いていた。


「敗けやしねぇよ…!」

「そうさ!ルフィだもんな!」

「ルフィで…!!アフロだからだ!!」

「ルフィだからで充分だろ…あんなクソギツネ」

「何でアフロでパワーアップだと解釈してるの?」

「だけど強そうに見えたわ」

「アフロなんてバカにしか見えないわよ」

「あら、でもとても可愛いわ」

「ですよねー!私もそう思いました!!」


『きゃ!お姉さまと一緒!!』と照れているアスカの変わりようにウソップ達は引いていた。


すると甲板からけたたましい音と共に煙が上がった。


≪おっと!甲板で動きがあったよ!!さぁ形勢はどっちだ!!?はたまた勝負がついたのかな〜〜〜〜?≫


モクモクと立ち上がる煙が風で薄れて影が二つ現れる。
そして立ていたのは…


「フェーフェッフェッフェッフェ!!」

≪立っているのはオヤビンだ〜〜〜〜!!!!≫


フォクシーが立って手を上げているのを見た瞬間観客から大きな声援が上がった。


≪一方麦わら!!真っ黒コゲ!!余程ヘビーなパンチを貰った模様〜〜!!≫

「うわー!!」

「ルフィ〜〜!!」

「ばかな…」

「どうしてただのパンチでコゲるのよ!何したの!!」

「……………」

「……………」


倒れているルフィを目にし、ナミ達は驚愕し、アスカは倒れているルフィをどこか心配そうに見つめ、ミコトは相変わらず微笑を絶やさず見ていた。
しかし手を挙げ、声援を一身に受けるフォクシーの背後でルフィがゆっくりだが立ち上がった。
それにアスカはホッと胸を撫で下ろし、ミコトは目を細める。


≪立った〜〜!!麦わらのルフィ!!もうノックダウンかと思いきや立ち上がったよ〜〜≫

「――ギリギリじゃねェかよう…麦わらァ……」


お互い傷つき息を荒くし睨み合う。
フォクシーが腰に入れていた刀のようなものを抜くとルフィは身動き取れなくなってしまった。


「!!」

「フェッフェッフェッフェ!!"ノロノロビームソード"だ。腕と足をおさえたぜ!」


ルフィは手足が動かず必死に逃げようと頭を動かすが動かすことできずにフォクシーの"メガトン九尾ラッシュ"を何発も食らってしまう。
しかしルフィは起き上がり、またノロノロビームと九尾ラッシュを食らう。
それでもルフィは何度も何度も起き上がり、観客を騒然とさせていた。


「ハァ…ハァ……殴るのも…楽じゃねェんだぜ…!!」


マストが折れるまで何度も殴り息を荒くするフォクシーの前にルフィは再び立ち上がる。
もう立っているのも辛そうなのにルフィは目の前のフォクシーを睨みつける。




「…おれの……仲間は…誰一人……

死んでもやらん!!!!




「ルフィ……」

「…………」


ルフィの言葉にアスカは手を握った。
ふとその手に誰かの手が重なり、顔を上げるとミコトが優しげに微笑んでいた。


≪恐るべき気力でまた!!立ち上がった麦わらのルフィ〜〜〜!!!倒されても…!!倒されても立ち上がる…!!≫

「ルフィ……!!」

「ルフィ〜〜〜!!」

≪足元をふらつかせ…!息も絶え絶えに…しかし!!まだ目を光らせて彼は立ち上がる!!仲間の為!!そうだ!これが「デービーバックファイト」!!私…涙で…涙で前がみえばぜん!!!≫


イトミミズは涙ながらに語り、ルフィの姿を見た海賊達も涙を流す。
そして広がるルフィコール。
今までオヤビンコールを言っていた海賊達全てがルフィを称える。


「てめェら!!何敵の応援してやがんだよう!!!」

「…!!オヤビン!」

「オヤビン!オヤビン!!」


フォクシーの一喝でルフィコールからオヤビンコールに変わり、元に戻る。
フォクシーは満身創痍のルフィを睨み"ノロノロソード"を向けるがルフィに避けられる。
しかし、ノロノロソードを巧みに操りルフィの動きを封じてしまう。
フォクシーは"フォクシー飛行狐"に遅くした砲弾を組み入れて乗る。


「ルフィ!!お前の方が一瞬早くビームを受けてる!!自由になったらすぐ避けろ!!!」


サンジのアドバイス通りルフィはフォクシーが攻撃を仕掛ける前より早く動くことができ、避けようと立ち上がる。


「無駄だ!!逃げられやしねェよう!!」


走るルフィにフォクシーの乗る飛行狐の速度が戻りフォクシーはその勢いを利用しルフィの顔面にパンチを食らわし、そしてプレゼントだと飛行狐と砲弾をルフィに向けた。


≪決まった〜〜〜っ!!!!≫

「ルフィ…!!」

「うわああ〜〜〜っ!!」


爆発音と共に黒い煙が立ち上がる。
フォクシーは今度こそはと高笑いを浮かべ観客に両手を上げるが、背後にはルフィが再び立っていた。


≪た!た!!た!!!また立った〜〜!!!≫

「何で……!!?」


ふらつきながらルフィはフォクシーを睨みつけるが、ふと何かが落ちる音がし、そちらに目をやると勝ち誇った目でフォクシーを見る。


「おれの…勝ちだ……」

「んなァにをォ〜〜!?かろうじて立っているような奴が!!…――てめェがその気なら!!倒れるまで殴り続けてやる!!!」


フォクシーとルフィはお互いの技を繰り出しお互い殴りあう。
ルフィの力に押されていたフォクシーは"ノロノロビーム"を放つが両者動かない。


「何だ?」

「動かない……!!」


息を飲んだそのとき、ルフィが膝をついた。


≪た!!倒れたのは麦わら…!!……いや!違う!!動いたのが…麦わら!!!これは一体どういうことだァ!!!?≫

「何で!?」

「あれですわ」

「え…?」


ミコトが指差す方を見るとそこには跪くルフィの手から落ちた鏡の破片が見えた。


「アフロにひっかかってたんだ…ハァ……お前の部屋の鏡だ…!!」


ルフィは立ち上がり腕を回して、自分のビームを受けてしまったフォクシーに"ゴムゴムの連接鎚矛"を撃つ。
そしてフォクシーに背を向け先端にある狐の頭へ登る。


「10」

「!…9…」

「…8」

「え?…え!?」

「7…」

「なに?」

「………6…」


ルフィが背を向け狐に乗ったと同時にミコトが微笑みながら秒読みし始め、それに気付いたアスカとゾロ達もそれに続く。
ウソップが海賊を仰ぐ。
そしてフォクシーはぐにゃり、と歪みそして…


「うおおおおお〜〜っ!!!!」


フォクシーは吹き飛んだ。


「やったーーっ!!」

「うわーっ!!オヤビ〜ン!!!」


ドボン、と音をたてながらフォクシーは海に沈んでいく。
3回戦、コンバットはルフィが勝利した。


「負けた…オヤビンが……!!」

「おい!ボーッとすんな!!オヤビンを救出するんだ!!!」

「よし!おれが行く!!!」

「おれだ!どけ!!」

「おれも行くぞ!!」


フォクシーを助けようと海賊達が前へ前へと駆けつける為、観客席が壊れてしまった。


「わっ!!」

「ギャ〜〜〜〜っ!!」

「きゃああ!!……って…え…?」

「浮いている…!?」


巻き込まれたと思い目を瞑るが衝撃が来ることはなく浮遊感が襲う。
目を開けると下には観客席が崩れていた。


「まぁまぁ…危ないわねぇ…」

「お、お姉さま…!!」

「ミコトさん!?」


どういう能力か分からないがミコトがアスカ達を浮かせ草原へと戻し、ルフィを迎えに向かった。


「お疲れ様、ルフィ…」


眠るルフィを抱き上げアスカ達の所へ戻った。

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