(156 / 293) ラビットガール (156)

「ロビン!!どうしたんだ!知ってんのか!?こいつの事!!」


警戒しつつロビンを見るとロビンは顔色を悪くし、黙って男を見つめているだけだった。
否、喋る余裕がないだけなのかもしれない。


「…昔…ちょっとなぁ……」


男が小さく呟き、アスカも構えるがミコトに肩に手を置かれ止められてしまう。


「お姉さま…?」

「…………」


姉を見上げてもミコトはただ笑ってアスカを見るだけで何も言わない。


「………あらあらまーまー…そう殺気立つなよ兄ちゃん達……別に指令を受けてきたんじゃねぇんだ。天気がいいんでちょっと散歩がてら……」

「指令だと!?何の組織だ!!」

「海兵よ…海軍本部"大将"青雉」

「大将!!?」


ロビンの言葉に構えていたルフィ達が目を丸くして驚く。


「た…大将っておめぇ……!…ど…どんだけ偉い奴だよ…!!」

「海軍の中でも"大将"の肩書きを持つ将校はわずか4人…!!"赤犬"、"青雉"、"黄猿"、"黒蝶"…その上には海軍トップセンゴク元帥が君臨するだけ…世界政府の"最高戦力"と呼ばれる4人の内の…1人がその男よ!!」


『それに…』、とロビンはアスカの隣にいる微笑を浮かべているミコトを見やる。
そのロビンの目線に全員がミコトに集中し、男が目を丸くした。


「あらら…ミコトちゃんじゃない?なんでいるの?」

「まぁ、何故…といえば迷子のクザンさんを迎えに…と言っておきましょうか?」


『わたくし非番でしたのよ?』と笑みを深めて青雉ことクザンを見るが、その目線に青雉は気まずそうに目を逸らし頭をかく。


「わたくし用事がありましたけど随分あなたの部下がお困りのようでしたので仕方なく迎えに」

「いや、うん…ほら…人ってたまには息抜きも必要じゃない?」

「あら、それこの間も、その前も聞いたことがあるような気もしますけど?」

「ア、アハハ………」


にっこりと笑い、普通なら見惚れるミコトの笑顔だが青雉は笑顔を引きつらせる。


「ど、どういうことだ!?お姉さまと大将は知り合いなのか!?」

「……恐らく…もう一人の大将…黒蝶…」

「「「ええええ!!!?」」」


サンジは2人を交互に見やり、サンジの疑問にロビンが声を震わせて答えた。
ロビンの言葉にサンジ達は驚愕し、ルフィとアスカさえ目を丸くしていた。
ミコトはゆっくりルフィ達に振り返り目を細める。


「何でそんな奴らがここにいるんだよ!!…もっと何億とかいう大海賊を相手にすりゃいいだろ!ど、どっかいけー!!」


ウソップは恐いのかゾロの後ろに隠れ啖呵を切る。
しかし、青雉は怯えながら威嚇するウソップを余所にミコトの後ろにいたアスカを見てかがむ。


「あらら、これは可愛いお嬢さんじゃない…今夜ヒ…」

クザンさん…?

「…マ…じゃないよねー、ごめんねー…」

「……………」


ミコトが今まで聞いたことのないドスのきいた声を出し、青雉は両手をあげて2人から離れる。
怒らすと怖いというのは青雉も知っているようだった。
アスカ本人はミコトの背中に隠れ上目使いで青雉を警戒していた。
気を取り直し、青雉は麦わら一味を見渡す。


「ちょっとお待ちなさい。お前らまったく…そっちこそ話を聞いてたのか?おれァ散歩に来ただけだっつってんじゃないの…カッカするな。大体お前らアレだよ、ホラ…!!――…忘れたもういいや」

「「話の内容グダグダかお前っ!!」」


頭をかく青雉にウソップとサンジが声を揃えて正当な突込みをし、それを可笑しそうにミコトはクスクスと笑って見ていた。
そんな大将2人、というか青雉を指差し、ウソップはロビンに振り返る。


「何なんだコイツ…!!おいロビン!人違いなんじゃねェのか!!こんな奴が海軍の"大将"なわけがねェ!!!」

「オイオイ…そうやって見かけだけで人を判断するな。」


青雉は困ったように眉を下げ、ウソップを見る。


「因みにクザンさんの海兵としてのモットーは"ダラけきった正義"です」

「「見かけ通りだよ!!」」

「本当、見かけ通りだらけすぎてサボリ癖が治らないしょうもない大将ですわ」

「酷いなァ…ミコトちゃん」


ミコトの言葉に沈んだ表情を浮かべるが、そう傷ついていないようにも見える。
青雉は立っているのが疲れたのかゆっくりと横になる。


「とにかく、まァ…あァちょっと失礼…立ってんの疲れた…」

「じゃ、さっき何で立って寝てたんだ…」

「そんでまあ早ェ話…お前らをとっ捕まえる気はねぇから安心しろ。アラバスタ事後消えたニコ・ロビンの消息を確認しに来ただけだ…予想通りお前達と一緒にいた…」


そのふてぶてさにウソップとサンジが呆れていたが、青雉は起き上がろうとしない。


「本部には報告くらいはしようと思う。賞金首が一人加わったら総合賞金額が変わってくるもんな…1億と…6千万と…8千万と…7千900万をたして……ミコトちゃん、いくらになるっけ?」

「3億1900万です」

「まァ、それぐらいか…」

「"ゴムゴムの"ォ〜〜!!!!」

「ちょっと待て待てルフィ!ストップ!!スト〜〜〜〜〜ップ!!」

「ん?」


寝ながらミコトにたずねるとすぐ答えが返ってくる。
ミコトの答えにどこを納得しているのか分からないが頷いていると目の前が騒がしいのに気付きミコトから前へ目線を移すと腕を上げているルフィにサンジとウソップが抱きついて止めていた。


「離せお前ら!!何だよ!!」

「こっちからフッかけてどうすんだ!!」

「相手は最強の海兵だぞ!!」

「それが何だ!!だったらロビンを黙って渡すのか!!」

「いや…だから……何もしねぇって言ってるじゃねぇか…」

「なんだ!散歩か!!!じゃ、こんなとこ通るなお前!!出て行け!!」

「めちゃくちゃじゃないっすか…」


ルフィの剣幕に青雉が押されていた。
それにミコトは本当に可笑しいのか口元を手で押さえ笑いをこらえていた。


「ミコトちゃん…」

「ふふ…ごめんなさい?」

「―じゃあ、わかった…帰るがその前に…さっき寝ながら聞いていたんだ……あんた」

「ん?」


青雉は身体を震わせて笑いを我慢するミコトを恨めしそうに見つめた後、トンジットに目をやる。


「おれは睡眠が浅くてね…話は大方頭に入ってる。すぐに移住の準備をしなさい」

「おい!おっさん!!こんな奴の言う事聞く事ねぇぞ!!こいつは海兵なんだ!!







「いーんじゃねェのか?」

「いーんだ、そうだよ。いーんだ。普通海兵が味方でおれ達の方が悪者だよ」


暫くの間の後ルフィは手を叩いて笑い、そんなルフィにウソップが頭にチョップをいれて突っ込む。


「あいつ、おっさんを助けてくれるって」

「んなコト言ってもムリだろ、それは…」

「要するに…留守中に移住しちまった村を追いかけて3つ先の島へ行きたい…引き潮を待ち馬で移動したいがその馬が足にケガを負っちまったってんだろ、違うか?」

「…それがわかってんなら今は移住なんてできねぇだろ」

「大丈夫だ」

「説得力ねェよ!!どうしても!」

「………確かに…」

「!」


だらーっと述べる青雉に不安がっていると今まで黙って見ていたロビンが座り込んだまま口を開いた。



「確かに……その男なら…それが出来るわ」



ロビンの言葉にルフィ達は首をかしげた。

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