アスカが一瞬にして姿を消した。
それは本当に一瞬で、パッと消えたアスカに全員言葉を失いその場は静まり返っていた。
「え…うそ……アスカッ!!?」
「アスカ!!?」
「アスカ!!どこだ!?」
しかしミコトが青雉の傍に戻りハッと我に返る。
周りを見渡してもアスカの姿がなく、名前を呼んでも返事もない。
ナミは涙を溜め、ミコトをキッと睨む。
「アスカは……アスカをどこにやったのよ…!!!」
「た、大変だ!!アスカが消えた!!!」
「ね、えちゃ…!!アスカをどこにやった!!?」
「船よ…安心なさい」
ナミの睨みをミコトは軽く流し微笑みを保ったまま慌てふためく弟の仲間を見渡していた。
仲間には答えず、ルフィの問いにミコトは静かに答え、仲間を見渡したその視線を弟へ向ける。
寒さからガチガチと歯が鳴っており、言葉も震えており、痛々しい姿に眉を下げる。
助けたいという想いは強いが、青雉との約束もあるため我慢する。
それにミコトはルフィやアスカを助ける気はあってもその仲間を助ける気はないため、そこで二人だけ助ければルフィにもアスカにも嫌われるのを分かっていたから手は出さなかった。
ミコトがそばに戻り言葉通りアスカの相手をしこれ以上動かないのを確認し、横目でミコトを見ていた青雉はロビンへ目線を戻す。
三人の手や足を凍らせた青雉、そしてアスカを簡単に消したミコト…二人を目の前にロビンの顔は青く染まり体を震わせていた。
「いい仲間に出会ったな…しかし、お前は…お前だ…ニコ・ロビン…」
「違う…私はもう……!!」
青雉の言葉にロビンは睨み否定した。
しかし青雉はそんなロビンの言葉を最後まで聞かず、ロビンの身体を抱きしめ全身を凍らせようとする。
それを見たルフィ達がロビンに逃げろと叫んでも逃げる時間もなく全て凍ってしまう。
「うわああああ!!ロビ〜ン!!!!」
「お前ェ〜〜っ!!!」
「わめくな…ちゃんと解凍すりゃまだ生きてる…ただし…体は割れ易くなってるんで気をつけろ。割れりゃ死ぬ」
完全に全身を凍らせた青雉にルフィは叫ぶ。
今にも襲い掛かりそうなルフィに青雉は死んでいないと教えたが、その代わりいつでも殺せると言った。
『例えば…』、と立ち上がり睨みつけるルフィに見せ付けるように拳をあげ、凍りついたロビンに向かって振る。
しかし…
「あ、危ねェ!!」
しかし、ロビンが完全に粉々に砕かれる寸前にルフィが抱え身を反らせて回避した。
それにはミコトも予想していなかったのか目を丸くしていた。
「…………」
回避したルフィに、青雉はそのまま足をあげ、今度は踏み砕こうとする。
だが再び邪魔が入り、ルフィの腕にいたロビンは今度はウソップの腕に移り、踏もうとした青雉の足はルフィの腹を踏んで終わった。
ルフィの腕からロビンを抱えて走るウソップをゆっくりと見つめ青雉は眉を潜める。
「ギャーーー!!ギャーーー!!」
「何だってんだ、おい…」
「ふふ、逃げられましたね」
「…………」
邪魔され青雉は苛立った声を零す。
どこか嬉しそうなミコトの呟きに青雉は落ち着かせようと溜め息のような息を白い息と共に吐く。
「ウソップ!!チョッパー!!!そのまま船に走れ!!!手当てしてロビンを助けろ!!!!」
ミコトの呟きを聞き流しているとルフィがウソップとチョッパーに指示を出し、二人はロビンを抱えて慌てて船へ向かって走る。
「やめとけ、その女は助けない方が世の為だ」
逃げるウソップ達共々凍らせるつもりなのか体を凍らせ能力を出そうとした。
しかしそれはナミによって阻まれる。
ナミの武器がこちらに振られているのを見て青雉は手で防ぐ。
「お言葉ですけど!そういうのの集まりよ!海賊なんて!」
「……よく…わかってんじゃねェの…」
睨みながらも勝気に笑うナミに、青雉は軽々と突き飛ばし払う。
それにサンジとゾロが再び構えるがルフィに止められてしまう。
「お前ら手ェ出すな一騎打ちでやりてェ!」
ルフィは片手が凍り付いているのに関わらず拳を握り構え、青雉を睨みつける。
「この勝負、おれとお前で決着つけよう」
「…構わねェが…連行する船がねェんで……殺していくぞ?」
ミコトは同僚と弟の闘いを黙って静観し、船へ向かって走るゾロとサンジ、ナミの背を見逃した。
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