つい先ほどまでこの一帯はさわやかな風か吹く草原だった。
しかし青雉とルフィの闘いで一部凍り付いておりそのあたりは冷たい風へと変わった。
ミコトはずっと弟と同僚との戦いを傍観しており、弟がロビン同様氷漬けになっているのも…見ているだけだった。
「ミコトちゃん、分かってたでしょ」
凍り付いたままの弟を見ていると背を向けて座りこんでいた青雉が声をかけた。
ミコトは弟から青雉へ目線を変え、コテンとわざとらしく小首を傾げて惚けて見せる。
「あら、何がですか?」
「こうなることを、さ…」
青雉は背を向けていてもミコトがワザと惚けていると気づいている。
昔から青雉はそうなのだ。
青雉だけではなく元帥であるセンゴクも、祖父であるガープも…分かっていてミコトの嘘を許してくれる。
だからミコトはまた嘘をついた。
青雉は振り返りミコトを見る。
青雉の思った通りミコトは嘘の笑みを浮かべており、いつも見せてくれる笑みではなく他の人間に見せる笑みに青雉は目を細めた。
「だからおれを止めなかった…違う?」
嘘を咎めて本音を吐かせようとは思っていない。
だが、否定してほしくて言ってほしいとも違う。
自分の問いにミコトがただ嘘の笑みを深めるだけの返事をするだけだというのも分かっていた。
青雉はただ問うただけだったからミコトの何も答えない返答に何も言わず、ゆっくりと立ち上がりミコトからミコトの弟へ目を移す。
「これだけは言っとくぞ…お前達は……この先ニコ・ロビンを…あの女を必ず持て余す。ニコ・ロビンという女の生まれついた星の凶暴性をお前達は背負いきれなくなる。あの女を船に乗せるという事はな………そういう事なんだ!!モンキー・D・ルフィ!!!」
青雉はルフィの隣りあった氷を蹴る。
その氷は粉々に砕け散り、ルフィを蹴ることはないと分かっていたミコトは黙って青雉を見つめていた。
「…このままここでお前を砕いちまって命を絶つのは造作もねェが…借りがある……これでクロコダイル討伐の件…チャラにして貰おうじゃないの。――それと…あァ…まァいいや…スモーカーのバカの話は…ミコトちゃんが上手いことやってくれたしな。」
アスカが消えた時落ちた上着をミコトが拾い、それを青雉に渡してその場を去る青雉の後ろに続く。
その時、ミコトは一切ルフィに振り返ることはなかった。
漢字置いていた自転車に跨り、ミコトもその後ろに座ったのを確認した後、青雉は海図を開きルフィ達の行き先を確認する。
後ろに乗っていたミコトも覗き込んで地図を読む。
「ここの"記録"を辿ると…あいつらの次の行き先は…んん!?」
「あら」
青雉の持っている海図を覗き込みミコトも驚いたような反応を見せた。
「『ウォーターセブン』…"水の都"か……あららら…こりゃ何とも…大分本部に近づいているじゃない…」
「そうですわね…さぁ、わたくし達も本部に帰りましょうか」
「あー……でもさァ…このまま本部に戻って仕事するよりおれとサボらない?」
「……………」
青雉の提案にミコトは黙り込む。
ミコトには用事があって今すぐ向かいたいところである。
しかしこの後のストーリーをミコトは思い出した。
この後、ルフィは『ウォーターセブン』で色々とやらかすのだ。
それも祖父曰く『流石わしの孫!』と言わせるほどの事を。
それも気になったのは確かである。
だからミコトは…
「それもそうですね」
満面の笑みで青雉の提案に乗った。
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