(165 / 293) ラビットガール (165)

男の知らせに会話もなくただ静かにルフィ達を待っていると、サンジとチョッパ−がロビンが消えたと帰ってきたのだが…この船の状況を聞き目を丸くする。


「本当かよ…!!」

「そう言ってた…その船大工はな…」

「この船が…!?」

「もう直せない…!!?金があってもか!?…じゃあ…!ど、どうなるんだ?」

「さァな…最終的にはルフィ達がどう判断するかだ。造船所にいる3人で何らかの答えを出して来るだろう」


先ほど…船大工の言った査定の結果とは―――メリー号とはもう旅ができないという事。
船の土台となっている"竜骨"がひどく損傷しているらしく、他が損傷すればそれなりの修復で何とかできるのだが、竜骨だけは取り換えることはできないため、修復は出来ないと言われてしまった。


「……そんな事言われても…話が極端すぎるぜ…だってお前…!見ろ、船はいつもと変わらねェし"東の海"からこんなトコまで一緒に海を渡ってきたじゃねェか…!!」

「渡ってきたからこそだろ…人間なら波を越える度強くなるが船は違う……痛みをただ蓄積するだけだ」


ゾロの言葉は最もなため、サンジも言い返す言葉がなく、チョッパーもアスカも俯くしかできなかった。
それでもやはり思うのはメリー号との思い出…そして、誰よりもメリー号を愛している仲間の姿。


「腑に落ちねぇ……!ウソップの奴…コレ聞いたら何て言うか…」

「おれ!メリー号が好きだぞ!!」

「全員そうさ…だが現状打つ手はねえそうだ…」

「メリー号も……ロビンちゃんも心配…落ちつかねぇ午後だ…」

「……………」


メリー号の事もショックだが、ロビンの事も気にかかる。
この街に来てからアスカは落ち着きを失くしている気がした。


「みんなーー!!」


すると、黄金を換金し大工の元へと向かっていたナミが走って戻ってきた。
ナミの声にアスカは足を引きずながら手すりに歩み寄る。


「あれ!?ナミが帰って来たぞ!!」

「ん??1人みたいだな…ルフィとウソップはどうしたんだ?…ナミさーーーん!何かあったのかーーー!!」


サンジはナミが戻ってくるのを見て手を振るも、そのそばにウソップとルフィがいない事に気付く。
アスカもチョッパーも二人の姿がないのに気づきお互い顔を見合わせた。
帰ってきたナミは慌てており、アスカは船の事かと思ったのだがどうやら違うらしい。
ナミは船の事もだがウソップの事も話す。
それを聞いたゾロ、サンジ、チョッパーは顔色を変え、アスカにナミを任せウソップの元へと向かった。







残されたナミとアスカは一億という大金を守るため船に待機している。
ナミはどこから持ってきたのか…大量の武器全てを出して甲板で一億ベリーと船を守っていた。
アスカは二階の手すりに座ってナミを見下ろしながら気を張っているナミに苦笑いを浮かべる。


「ナミ、そんなに肩の力入れてたら守るもんも守れないよ?」

「でも…この船とお金は私が守らなきゃ!!」

「私も居るし。気を楽にしてみんなを待とう?ロビンだって道に迷ったとかだよ」

「…そう……そうね……そうよね…」


『ね?』、と小首をかしげるアスカにナミは息を吐いて構えていた銃をゆっくりと降ろす。
弱弱しいが笑みを浮かべるナミにアスカも安心するように笑顔を浮かべながらウソップを想う。
この船に一番の思い出があるのはウソップだ。
まだ知らされてないだろうけど船がもう駄目だという事実を知ったらどう反応するか…予想は出来ているが正直物事に無関心だと自分でも思うアスカでも辛い。

ナミの話しによると酷い有様らしく、自分も3人に着いていって一緒にそいつらを倒そうと思ったが、ナミ一人だけじゃ不安だろうからと自分から留まった。


「…………」

アスカは空を見上げる。
空は相変わらず晴れ晴れとしており、アスカ達の忙しなさなど関心がないように雲がゆっくりと動いていた。
青空を見上げながらアスカは目を瞑る。

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