決闘は、時間通りに行われた。
そして、結果だけ言えばウソップは負けた。
ルフィとの闘いでせっかくチョッパーが治療をしたのに更に傷を増やしながらもウソップは空島で手に入れたダイヤルを使用しながらウソップなりに戦った。
でも、ルフィとウソップの力の差は歴然としており、アスカの予想した通り…ウソップは負けたのだ。
船はウソップに譲り、ルフィ達は新しい船を手に入れ先に進むことを選んだ。
アスカは彼らの闘いを見ながら…―――どうしてか、メリーが泣いているように感じた。
あの後アスカ達は荷物を持って宿を取りそこで寝泊りすることにし、ルフィはあれからずっと宿の屋上から少し離れた場所にある屋根に座りどこか遠くを見ていた。
「……………」
アスカはそのルフィの後姿をずっと飽きることなく見つめ、チョッパーも心配そうに2人を見つめていた。
そのそばにはゾロもおり、ゾロは鐘にもたれ目を瞑っていた。
そこにサンジが現れ3人を見てタバコの煙を吐く。
「ここにいたのか…せっかく宿とったのに部屋に誰もいねェ…みんな揃って…眠れてねェんだな……ルフィは?」
「あそこ」
指差した方を見ればルフィの背中が見え、必然的にじっとルフィを見つめるアスカが目に入る。
黙ったままの2人にかける言葉もなく、サンジも黙ってしまう。
ウソップとの決別から、雰囲気は重く静かだった。
「サンジ、どこ行ってたんだ?」
「夜中中岩場の岬を見張ってた……ロビンちゃんが…帰って来やしねぇかと思ってよ……どこ…行ったんだろうな…何も言わずに…」
アスカの少し離れた場所に移動し、無表情にルフィを見つめるアスカを心配しつつ話す。
メリー号やウソップの事で後回しになってしまっていたが、まだ問題は山積みなのだ。
ロビンの姿もなく、それを探していたサンジだったが、一向に見つかる気配はなかった。
「おれは今日は町中を探してみようと思う…もし何かあってもこの宿を落ち合い場所にしとこう」
「お…!おれも行くぞ!!探しに!!」
「そうか…よし…アスカちゃんは…」
ルフィがあんな状態ではアスカもまた動かない。
それを知っていてもこのままではアスカの体が壊れてしまいそうで心配だったサンジは、駄目元でアスカに一緒に行くか聞こうとしたそのとき、ナミが血相を変えて屋上に飛び込んできた。
「ルフィ!!大変なの!今町中この話で持ちきりで…!!……昨日の夜…造船所のアイスバーグさんが…撃たれたって…!!」
ナミの言葉にルフィは目を丸くする。
「アイスのおっさんが…!?」
ルフィとナミだけで話が進んでおり、アイスバーグと面識のないサンジやアスカ達はお互い顔を見合わせ首を傾げるばかりだった。
「誰だい?そりゃナミさん…」
「昨日造船所で私達がお世話になった人よ!造船会社の社長でウォーターセブンの市長…」
「あんなにみんなに慕われているおっさんが…ちょっと行ってみる!」
「待って!私も行くから!!」
「私も」
屋根から飛び降りたルフィにナミは急いで走り、ナミにアスカも続いた。
「おれ達はロビンちゃんを探しに行くぞ…お前は?」
「……いや…おれは少し成り行きを…見てる…」
「……?」
サンジはゾロの言葉に首をかしげ、『まァ…行かねェならいいか』、とチョッパーと共に宿を出た。
ブルに乗ってアイスバーグに会いに行ったルフィ・ナミ・アスカは周りの人だかりに唖然とする。
1番ドックの門の前には人もブルばかり集まっていてその集まってい人たち全てがアイスバーグを心配して集まっていた。
撃たれたと聞いたため恐らく再び狙われるのを防いでの事らしいが、この分だと当分中には入れそうになかった。
「やっぱり凄い人だかり…」
「造船場にも入れないっぽいけど…」
「…どの道もっかい会わなきゃなんねェんだけど…アイスのおっさんには」
ナミは近くの人に本社の場所を聞くも1番ドックしか入れないと言われ諦めていると突然街中で音楽が響いた。
その音楽を聴いた町の人はその音楽を知っているようで、なぜか怯え始める。
ここに来たばかりのアスカ達は怯える町の人に首を傾げていると、今度は男の声が響く。
「ヘイ、お前達!おれの名を今呼んだのか?」
「呼んでねェよ!!どっかいけーー!!」
「どこにいるんだ!どこに!!」
「あ!!いたーーー!!あそこだーー!!!」
聞いたことのない声が町に響く。
一人の町の人が指差し、そこに目をやると白い布に浮かび上がる3人の人影が何故か踊っていた。
「恥ずかしがらずに聞いてみな!おれの名を!!」
「聞きたくねー!!消えろーーー!!」
ブーイングもなんのそのでその影の3人は嫌がる町の人を無視し踊り続ける。
すると町の人がアイスバーグを撃ったのはあいつだと騒ぎとなるもやはり男は無視していた。
「ここに麦わらのルフィっていうのがいる筈だ!!」
「!」
「え!?」
「出て来い!!」
見知らぬ男はどうやらルフィに用があるらしい。
しかしルフィからしたら身に覚えがなく、アスカとナミはお互い顔を見合わせる。
更に男は踊りながら布を投げ取った。
「おれはこの島一のスーパーな男!ウォーターセブンの裏の顔!!そうだ!おれは人呼んでワァオ!!んーーーーー!!フランキーーーーっ!!!!」
ドカーーン、と後ろで爆発し、フランキーと名乗った男は派手に登場する。
その姿にアスカはポカーンと口が開いてしまう。
「変態だ…変態がいる……」
「何だあの変態…」
「…!!…フランキーって…言わなかった!?」
「…!!?…あいつが……!!!」
派手に登場したその男は一言で言えば『変態』だった。
水色の髪をリーゼントに仕上げ、釣り上がったサングラスをかけ、がたいのいい体には裸にアロハシャツ、そして極めつけに海パン一丁…これを『変態』と呼ばずして何を変態と呼ぶのか…
その男を挟むように四角型の奇抜な髪型に露出が高い女性が二人同じポーズで立っていた。
変態で気を取られていたが、その変態の名前が『フランキー』と聞き、ハッとさせる。
フランキー…その名前はウソップと自分たちを引き裂いた一味のトップの名前だった。
町の人達の反応からするとまずその『フランキー』であっているのだろう。
ナミの言葉にルフィは目を鋭くさせフランキーを睨む。
「おい!!海水パンツ!!!」
「ル、ルフィ!!!」
立ち上がったルフィにナミは嫌な予感がした。
しかしナミが止めるも遅く、ルフィはフランキーに名乗り出てしまう。
「おれがルフィだ!!」
「…お前かァ…"麦わらのルフィ"ってのァ…!!」
ルフィが名乗り出たため周りの町の人達は避けてしまい、周りが開いてすごい目立っていた。
ナミは『あちゃぁ〜』と顔を手で多い、アスカもため息をつく。
「人の留守中にえらい大暴れしてくれたじゃないのお兄ちゃん…!!」
サングラスを上げ、ルフィに恨みの念が篭もっている目で睨みつけたと思ったら…変態は再び変な踊りをし始める。
「帰って来て目を疑ったぜおれァ……いやいや、見事に原型ないんだもんなァ、おれの家がよ!!!子分共もまァヒドイ目に合わせてくれやがってェ……」
横にいる女性2人もフランキーと同じ動きで話しするたたびにポーズが変わりアスカが『うぜェ…』と思っていたら突然前でバッテンを作りだす。
「も〜〜〜ダメだおれ。今週のおれはもうホントに止めれねェ!何言ってもおめェをボロ雑巾の様にするまでは!!!この怒りはおさまらね〜〜〜〜〜っ!!!!」
「ちょっと!!!あんた私達のお金どうしたの!!?2億ベリー!!!」
「あァ!?そんなもん…使っちまってカラッケツよォ!!どこぞで奪ってきた金を偉そうに守ろうとすんじゃねェ!海賊がァ!!」
「っ!!」
フランキーの最後の言葉にアスカは頭に来て攻撃する気満々だったがルフィに止められてしまい、睨みつけるだけで終わった。
「そんなのはいい。とにかくおれはお前をブッ飛ばさねェと気が済まねェ!!!」
「気が済まねェのはこっちだバカ野郎!!!」
「フランキーが暴れ出すぞーーー!!!」
「うわァ!!避難しろォ!!」
「おい!!こっちへ降りて来い!!」
ルフィが怒っているのは、お金の事ではない。
"仲間"の事でルフィは怒っていた。
もう"仲間ではない"ウソップにした行いをルフィは許せなかった。
それはフランキーも同じなのか、フランキーは一気に空気を吸い込み、啖呵を切るルフィへ向かって口から大量の炎を吐き出す。
「火ィ吹いた!!!」
「何あいつ!!」
「変態だけじゃなかったの!?」
「火ィ吹くのがそんなに珍しいか…?」
「能力者かも…!!」
「何の実だ!?」
普通の人が炎もなく火を噴くとは考えられない。
そこで考えられるのはやはり『能力者』である。
しかし炎と言えばアスカとルフィの兄であるエースの能力…悪魔の実はこの世に二つは存在しないのが常識である。
1人常識破りの人がいるが、あの人は例外だろう。
能力者しかこんな"人以上"の事はできず、アスカ達は能力者だと警戒するもフランキーは水の中へ飛び込み、アスカは目を丸くして水を覗き込む。
「水の中に入った…!?」
「悪魔の実食ってたら溺れて終わりだ!」
「きっと滑って落ちたのよ!火吹く"能力者"よあいつ!!」
一向に上がってこないところをみると能力者であると思い込んだ3人だったが、フランキーが船の下から飛び出し、船が真っ二つに割れてしまいナミ達は飛ばされてしまう。
「泳げんのかっ!!!」
「いや〜〜〜っ!!!」
「ナミ!」
叫びながら上へ飛ばされるナミに気付き、アスカは能力で手足をウサギにし、ナミを掴んで足の着く場所へ移動した。
ルフィはフランキーをぶっ飛ばそうとするもフランキーの腕が飛んでルフィは壁に激突してしまう。
「あ、ありがとう…アスカ…」
「いいえ。…それよりあの変態、手が伸びたけど…」
「………あァ…知らなかったのかい?お姉ちゃん達…じゃあ教えておこうか……おれは"改造人間"だ」
フランキーはルフィ達に腕を外して見せた。
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