(170 / 293) ラビットガール (170)

ルフィはあの後、アイスバーグから犯人の一人がロビンだと聞いた。
だが、ルフィはまったく信じなかった。
とにかくこれからの事を話し合うためみんなと落ち合った方がいいと宿に戻ろうとした。
その途中、ゾロと遭遇し、町の人たちから逃げて橋の下に隠れていた時にチョッパーとも遭遇し、宿ではなくどこかの建物の屋根に移動した。


「本当に言ったのか!?ロビンがそんな事!!」


その場にはロビンとサンジ以外が集まっていた。
チョッパーとサンジはロビンと会ったらしく、サンジはロビンを追いかけているため今はいないという。
サンジの指示からチョッパーはロビンの言葉を伝え、他人からではなくロビン本人からの言葉にナミもアスカも…信じられないと言わんばかりに驚いていた。
ロビンは…もう、仲間のもとには戻らないと言ったという。
暗殺も自分がやり、ルフィ達に濡れ衣を着せた、と。
もう、二度と会うこともない、と。
それを聞いて全員が信じきれず黙り込んでしまう。
全員黙ったままだった時、ゾロが徐に刀をカツンと真ん中に立てる。


「全員…覚悟はあったはずだ……かりにも…"敵"として現れたロビンを船に乗せた…――それが急に怖くなったって逃げ出したんじゃ締まらねェ…落とし前つける時が来たんじゃねぇのか?………あの女は"敵"か"仲間"か…」


ゾロの言葉にルフィ達は息を呑み、全員の硬い表情を見渡した後ゾロはチョッパーを見る。


「『事態はもっと悪化する』…ロビンはそう言った…ロビンは確かにそう言ったんだな、チョッパー」

「うん」

「今日限りでもう会う事ねェってんだから…今日中に何かまた事態を悪化させる様な事をするって宣言しているようにも聞こえる…市長暗殺未遂でこれだけ大騒ぎになったこの町で…事態を更に悪化させられるとすれば…その方法は一つだ……」

「今度こそ…"市長暗殺"」


ゾロの代わりにナミが答え、ゾロはナミに目をやり頷く。


「そう考えるのが自然だろうな…――ただしわざとおれ達に罪を被せているとわかった以上これはおれ達を現場へおびき寄せる"ワナ"ともとれる…今夜また決行される暗殺現場におれ達がいたらそりゃ"罪"は簡単にふりかかる」

「ちょっと!!それじゃあもう本当にロビンが敵だって言ってるみたいじゃない!!!」

「可能性の話をしてるんだ、別におれはどっち側にも揺れちゃいねェ。信じるも疑うも…どっちかに頭を傾けてたら…真相がその逆だった時、次の瞬間の出足が鈍っちまうからな…ことが起こるとすりゃ今夜だ……"現場"へは?」

「行く」


ゾロの言葉にルフィは即答で答えた。
考えるよりもなにより…今のルフィの頭の中にはロビンの事しかないだろう。


「行くのは構わないけど、問題があるのよね…サンジ君はロビンが誰かと歩いているのを見たと言ってたでしょ?アイスバーグさんも…同じ証言をしてるの。"仮面を被った誰か"って…それは私達の中の誰でもない。急にロビンが豹変したのはそいつが原因なのよ!!」

「そいつに悪いことをさせられてるんじゃないか!?」

「その考え方が"吉"…そいつとロビンが本当の仲間ってのが"凶"だ」

「かと言って"仮面の誰か"じゃ何の手掛かりにもならない!私達の目的は何?」

「ロビンを捕まえるんだ!!――じゃなきゃなんもわからねぇよ!」


強い風を受けながら5人はどうするべきかを話し合う。
しかしルフィが結論を出してしまい、その結論に反論するほどの言葉もなく、ナミ達はお互いの顔を見合わせた後立ち上がったルフィに続いて立ち上がる。


「確かに…考えるだけ時間のムダだよね」

「…だが…――確か…世界政府が20年…あの女を捕まえようとして未だムリなんだっけな……」

「でも真相を知るにはそれしかないわね」

「よし!おれも頑張るぞ!」

「じゃあ。行こう」


全員、再びガレーラの本社へ向かった。







向かったのはいいが、やはり簡単に侵入できるわけがなかった。


「すごい数の護衛だ…」


アスカ達はどこから入るか見るため、本社より少し遠くにある木の上に乗って5人はタイミングを見計らっていた。
木の上はまだいいが、それに加えて風の強さもあるため少し危なく感じる。


「ちょっと遠いぞ!」

「腕伸ばして飛んでけばいいでしょ!騒ぎが起こってからね!」

「そうだな…こっちが先に騒ぎを起こしちゃそれを利用されるだけだ。」

「それは癪に触るからやだ。」


遠くにある本社を見つめ、アスカは眉を潜める。
宿に泊まっていたときに着替えて短パンに変えていたため、スカートが風で捲れることはない。
久々(と言っても一日)の短パンにアスカは『やっぱり楽だなァ〜』と実感した。
双眼鏡でチョッパーが大工達を見渡すも全員強面だらけ。
顔で強さが決まるとしたらこちらが不利となってしまうだろうと思うほど怒りを露わにする大工達は怖かった。


「…みんな武器持ってて強そうだぞ!!!」

「そりゃそうでしょ、海賊だってねじ伏せちゃうのよここの船大工達は」

「なるほど、海賊相手だったら強くなるしかないか…」

「こりゃあ下手に突っ込んだから大変な事になるぞ!!」


ルフィの言葉にナミは『どの口が言うのかしら…』、と疲れたように隣に居るアスカにもたれるようにもたれる。
ルフィが全然人の話を聞かないのを昔から知っているため、ナミの疲れたようなため息にアスカは慰めるように寄りかかっているナミの頭を撫でてあげた。


「何か動きがあったらすぐに知らせろよ」

「うん、わかった」

「夜は長ェが気を抜くな…今夜のチャンスを逃したら…何のわけもわからねぇままお別れだ。もう二度とロビンを追うアテはねぇと思え…!!」

「絶対捕まえてやるさ!!」


風の音を聞きながらアスカは早まる心臓を押さえながら時が来るのを待つ。







暫く見張っていると爆発音が響き、ついに待っていたロビンが来たことを知らせる。


「あれ?ルフィは?」

「「え!?」」

「あーあ。」


やっとあちら側も動き出したと知り、アスカ達も行動を起こす番となる。
が…不意にアスカはいつもの麦わらが見えないのに気づく。
周りを見渡してもルフィの姿はなく、ルフィがさっそく動き出しいなくなったのに気づき全員その場頭を抱えた。


「まったくもー!!何であいつはこう…人の"助言"ってものを聞けないの!?」

「何を今更…」

「でも…!!今の騒ぎの中にロビンがいるかも知れないんだよな!!おれ達はどうすんだ!?慎重にいかないと……!!!」


4人は先に暴走しているであろうルフィを追い、風が吹き荒れる中走る。


「だけどそこがまた考えようによってはラッキーなのよね!ルフィが敵陣に乗り込む場合…裏へ回ったり横へ回ったりすると思う?」

「そりゃねぇ」

「ねぇねぇ」

「ないね」

「きっと今頃飛ぶか走るかで"真正面"から乗り込んで屋敷に入ったのはいいもののどこへ行っていいかわからず船大工達に追いかけ回されている頃だと思わない?」

「あぁ…思う」

「思う思う」

「超思う。」

「でしょ?」


ナミの予測に3人は強く頷いた。
流石仲間だけあって、ルフィの行動を読んでいた。


「船大工達から見ればルフィは犯行一味の"主犯"だもの…"メインイベント"が飛び込めばみんなそっちに意識が行くに決まってる!つまり屋敷正面のガードは今かなり手薄になっていると考えて間違いないわ!私達はその隙を突っきって大騒ぎの船大工の群れに混ざっちゃえるのよ!」

「成る程、ルフィのお蔭で今侵入の絶好のチャンスってわけか…」

「バカでよかったね」

「納得だーー!じゃあ飛び込んで大丈夫だな!!」

「あの塀を飛び越えられそう!!」

「よし!入るぞ!!ルフィに続け!!」


ナミにも飛び越えられそうな塀から本社へ侵入するのだが…


「おい、見ろ」


ルフィが暴れてる様子も侵入した様子もないそこは恐ろしい形相でこちらを一斉に見る船大工が大勢いた。


((((どこが手薄だァーーーーー!!))))


4人は全然予想を外れているその現状に唖然とした。







「ロロノア・ゾロだァ!!とうとう姿を現しやがった!!」

「あの女達も昼間見たぞ!!」

「絶対逃がすな!!」

「麦わらの一味だぁ!!」


バッチリ姿を発見された4人は必死に危なっかしい武器を持つ大工達から逃げていた。
チラリと後ろを見れば、鬼のような形相の大工達にアスカは顔を引きつらせる。


「うわっ、こわっ…!」

「ぎゃあーーーーーー!!!」

「ちょっと何でルフィいないの!!」

「知るかよっ!!……くっそォ!…もうこうなっちまっちゃどの道おれ達ァは"現行犯"みてェなもんだ……!!」

「え!?ちょっとゾロ!?何すんの!?」


ゾロは逃げても埒が明かないと思ったのか立ちどまり刀を抜く。


「屋敷の周りを逃げ回ってても仕方ねェ!!正々堂々正面から突入してロビンを探す!!」

「だけど相手は船大工だぞ!!敵じゃないんだぞ!!」

「大丈夫……!!"峰打ち"だ…道をあけろォ!!」

「うぎゃああああ!!!」

「「「致命傷与えてますけど!!」」」


向かってくる船大工を峰打ちで倒していくが、どう見ても致命傷を与えていた。
ゾロが自称致命傷を与えていきながらゾロを先頭させそのまま本社へ侵入する。

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