(171 / 293) ラビットガール (171)

ルフィは囮にはならず、結局ガレーラの大工達を峰打ちで気絶させそのままアイスバーグのところへと向かうことにした。
しかし、ナミの案内でアイスバーグの居る部屋に到着し扉をゾロが切りつけ侵入した瞬間に、壁側からルフィも壁を破壊し侵入する。


「ロビン見つけたぞーーーー!!!」


先に行ったはずのルフィが同時に侵入し、ゾロの『おい!ルフィ!!てめぇ一体どこに居やがったんだ!!』という言葉とアスカの『あんた先に行ってたのになんで同時に入ってくるわけ!?』という言葉が重なった。
しかし呑気に話す場合でもなく、部屋を見ればアイスバーグは倒れており、そのそばには1番ドックで会った大工達がいた。
そして…その中にはロビンの姿も。


「アイスバーグさん……こりゃ…」


ルフィに続いて入ってきたのは、大工のパウリー。
パウリーは仲間達の格好を見て絶句していた。


「一体…何がどうなってるんですか!!」

「パウリーてめぇ、なぜ逃げねぇ!!」

「何なんですか!!…まるでこいつらが…!!あなたの命を狙った犯人みてぇに……!!お前らなんで、そんな格好してんだ………!!!!おい!カリファ!ブルーノ!カク!ルッチ!!冗談やめろよ!!てめェら!!!」

「…………」


パウリーは目の前の光景が信じきれず、ルッチ達に声を上げる。
だがルッチたちはただ黙っているだけで答えない。
ロビンばかり気を取られていたルフィだったがパウリーの声でやっとルッチたちに気付く。


「……そうだ!あいつらお前と一緒にいた船大工だ!ハトの奴だ!!な!!」

「そういや、あの四角っ鼻知ってるぞ」

「…まさか暗殺犯が内部にいたって事っ!?」


アスカはルッチとカクだけ知っており他は知らない。
だがパウリーの口ぶりからして全員知り合いらしいことが分かった。
その知り合いの裏切りにパウリーはショックを受ける。
ルッチはゆっくりとパウリーに目を移す。
しかし、その目には何の感情も浮かんでいなかった。


「パウリー……実はおれ達は政府の諜報部員だ…まァ謝ったら許してくれるよな…?共に日々…船造りに明け暮れた仲間だおれ達は…突然で信じられねぇならアイスバーグの顔でも………踏んで見せようか…?」

「…………!!…ふざけんな…!もう充分だ!!…さっき聞いた牛仮面の声が…お前の声と一致するからな!!畜生てめェ…ちゃんと喋れんじゃねぇか!!!バカにしやがって!!」

「やめろパウリー!!」


ルッチの言葉に最後の小さな希望も途切れ、パウリーは拳を握りルッチに"パイプ・ヒッチ・ナイブス"を向ける。
しかし、一瞬にして間合いを取られ胸に指をつき立てパウリーは口から血を吐く。


「無駄に耐えるな…おれ達は人界を越える技を体得している。長い訓練を重ね人体を武器に匹敵させる武術"六式"これを極めた一人の強度は百人力に値する」

「…!!……なんでお前らが…!!」


血を流し苦しみながら立ち上がるパウリーにルッチは溜息をつく。


「まぁいい、どの道消す命…悲しいが友よ……」


ルッチはパウリーの肩を掴み、止めを刺そうと手を上げる。
だが、ルフィに邪魔され、全身に"銃乱打"を受けるが…ルッチには全く効いていない。


「…………うっとうしい…!」


邪魔をするルフィにルッチはギロリと睨む。
しかしまだ技を繰り返そうとするルフィに眉を潜めルッチは姿を消す。
一瞬にして姿を消したルッチに目を丸くしていると、次の瞬間…喉に強い衝撃が走った。
それはルフィとの距離を一瞬にして縮めたルッチ"指銃"でルフィの首を貫こうとしたためだった。


「ルフィ!!」

「………!!ケハッ!エェホ!!ゲホ!!」

「生身なら首に風穴が開いて即死だったなゴム人間」


しかし、本来生身であれば首に穴が開きルフィは死んでいたのだが、ルフィはゴム人間であるために助かった。
しかし苦しいのは変わらず、せき込むルフィにルッチは見下ろす。
ルフィは咳き込みながらルッチの後ろに倒れていたパウリーを腕を伸ばして引き寄せる。


「何をしてる…麦わら」

「お前こいつ殺す気だろ!!一緒に船大工やってたんじゃねェのかよ!!」

「さっきまでな…もう違う……」

「本当に裏切り者か!!!じゃもういいよ!!とにかくおれはこいつと一緒に!!アイスのおっさんを殺そうとしてる奴らをブチのめそうと約束したんだ!!」

「……なぜお前がパウリーに味方するんじゃ…」

「おれもお前らに用があるからだよ!!!」


理解できないとカクが呟いたのを余所にルフィはロビンに目をやる。


「おいロビン!何でお前がこんな奴らと一緒にいるんだ!!出て行きたきゃちゃんと理由を言え!!」

「そうよ!こいつら政府の人間だって言うじゃない!!どうして!!?」


ルフィの言葉にナミも続く。
ロビンはずっと政府から逃げていると言っていた。
だからどうしてその政府の人間についていくのかが分からなかった。
出来れば脅されて仕方なく…を期待するのは、まだナミもルフィも…全員ロビンを仲間だと思っているからだろう。
しかしルフィとナミの言葉にロビンは助けを請うのではなく…


「…聞き分けが悪いのね……コックさんと船医さんにお別れは言った筈よ…伝えてくれなかったの?」

「…!!伝えたよ!!だけどおれだって納得できねェ!!何でだ!?ロビン!!」

「私の願いを叶える為よ!!あなた達と一緒にいても決して叶わない願いを!!」

「!」

「……それを成し遂げる為ならば私はどんな犠牲も厭わない」

「それで…平気で仲間を暗殺犯に仕立てあげたのか?願いってのは何だ!!」

「話す必要がないわ」

「ロビン…」


ロビンは自ら船を降りた。
自分の意思で仲間を辞めた。
それがやはりナミもチョッパーも信じられなかった。
というよりも信じたくはなかった。
あんなにも船で一緒にいる時は楽しそうにしていたし、ナミもアスカも同じ同性同士だからと仲も良かったと思っていた。
それは自分たちの勘違いかもしれないが…仲間としてのロビンが嘘だとは思いたくはなかった。
アスカは船に居た時とは違う険しい表情に戸惑う。
すると倒れていたアイスバーグが顔を上げる。


「正気の沙汰じゃねぇ…!!その女は…!気は確かかニコ・ロビン!!お前は自分が何をやろうとしているのかわかってるのか!!」

「あなたにはもう…何も言う権利はないハズよ……黙っていなさい!!」


ロビンはアイスバーグに能力を使い無理矢理黙らせる。


「おいロビン!何やってんだ!!?本気なのかよ!!」

「ロビンどうしちゃったんだ!?」

「ロビン…!!」

「本当にもう…敵なのか!?ロビーーン!!」


一緒に過ごしてきたチョッパーは信じられず声を上げる。
今すぐにでもロビンに駆け寄ろうとするルフィ達の前にルッチ達が立ちはだかる。


「悪いがそこまでにして貰おう…我々はこれから"重要人物"を探さなきゃならないんだ。急いでいる…この屋敷にももう用はないし君らにももう完全に用がない…カリファ、あとどれくらいだ?」

「……2分よ」

「突然だが……あと2分でこの屋敷は炎に包まれる事になっている」

「!?」

「何だと!!?」

「色々な証拠を消すのに炎は有効な手段だ……君達も焼け死にたくなければ速やかに屋敷を出る事だ…まァ…それができればの話しだが…」


ルッチ達はアスカ達に罪を被せる気でいるらしく、本人達が証言しないようにアイスバーグ共々殺す気でいた。
逃げれないようルフィ達の前にカリファ、ブルーノ、カクが立ちはだかり、ゾロとナミは各々の武器を構え、アスカもいつでも出れるように能力を出す。
目の前の敵3人に気を取られウサギの耳を見たルッチが目を細めたことには気付かなかった。


「どうやらおれ達を消す気らしいな…ニコ・ロビンも向こうにいたい様だが…ルフィお前ロビンの下船にゃ納得できたのか?」

「できるかァ!!!」


ルフィの言葉にナミもチョッパーもアスカも強く頷いた。
それでもルッチは淡々と話す。


「一階のいくつかの部屋から直に火の手が上がる…まァ、犯人は海賊なんだ……そんな事もあるだろう」

「お前ら…!」

「…………」

「人の仮面を被って好き放題なんて趣味悪いわね!!」

「元々汚れた仮面に不都合もなかろう?」


確かに海賊を名乗った瞬間からアスカ達は犯罪者である。
しかしその手際の良さから犯罪者以上の事を政府の人間であるこの男たちは頻繁にしてきたのだろう。
それではどちらが犯罪者か分からない…アスカはそう思いブルーノの言葉に眉を顰め不快を現しながらも先ほどから目と目が合いすぎるルッチに怪訝とさせる。
首を傾げこちらを見てくるアスカにルッチは愉快そうに目を細め。
アスカとルッチが見つめ合っているとロビンはルフィ達に背を向ける。


「…じゃ私は先に行くわ」

「ああ、役目は果たした…ご苦労」

「待て!!ロビン!!認めねぇぞ!!」


やっと会えたのにまた別れることになりそうで、背を向けるロビンにルフィが叫ぶように声をかけ引き留めるもロビンは振り返る素振りも見せない。
ルフィ達は焦りばかりが積もる。


「またどこへ行くんだよ!!やっと見つけたのに!!」


ルフィが去っていこうとするロビンを追い駆けるがブルーノが立ちはだかる。

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