造船島、ブルーステーション入り口。
そこには政府の役人が大勢集まり、フードを被っているロビンが強面の男達に連れられ海列車に姿を消した。
「さて…どうでようか……」
ロビンの後ろ姿を見送るのはサンジ。
ロビンと別れた後、探し出しルフィ達と別行動していた。
「どう見ても連行されてるようにしか見えねェが…あれぐらいの相手なら…逃げたきゃ1人ででも捻っちまえるハズ…………!!何か彼女に狙いがあるのか…それとも逃げ出せねェ理由でも…?……まさかおれに助けて欲しくてわざと?ぶぅっふふ!!」
サンジは頭の中では、白馬に乗った自分がロビンを救出しに行き愛しのロビンに『待ってたわ!私だけの王子様!!』と言われている妄想が浮かんでおり、ものすごい鼻の下を伸ばして笑っているとタバコの煙が気管に入りむせる。
「コーギーさん!!『CP9』です!!」
「ゲホッ!…ん?」
跪いてむせていたその時、海兵の声にサンジは顔を上げる。
そこにはブルーノに担がれているウソップが暴れていた。
「おれをどこへ連れて行く気だ!!てめェら絶対許さねェからな!!!」
「……ウソップ…!!」
あれから心配はしていたが様子見も出来なかったウソップが政府の人間に担がれているのを見てサンジは目を丸くする。
声を荒げるウソップを余所にCP9は列車へ乗り込もうと進み、どうしてここにとサンジが疑問に思ったその時…
「ルッチさんコートを…」
「仰々しいな、やめさせろ」
「はっ…す、すぐに……!」
「……………」
政府側の人間の一人がルッチにコートを持って駆け寄っているのが見えた。
ウソップも驚きだがなんとなく気になって見てみれば、ルッチの隣にいる人物にサンジは先ほどよりも驚愕する。
「アスカちゃん!?なんで…!!」
ルッチがそのコートを隣にいるアスカの肩にかけてやるのを見て、サンジは目を丸くした。
本来ならアスカはルフィのそばにいるはずなのに…なぜ、敵である政府に捕まっているのか……サンジは一瞬最悪な事を思い浮かべる。
それはルフィ達がやられたということ。
しかしその考えはすぐに消した。
やられたとしても、簡単に仲間を連れていかれて黙っている連中ではないのを知っているし…何よりルフィのアスカに対しての執着は仲間以上なのだ。
確実に死んでいないとサンジは確信していた。
「…アスカちゃんがどうしてあの男に連れられているか分からないが…こりゃあ…大変な事になってるな…ったく!ルフィとマリモ野郎は何してやがるんだ…!」
死んではいないが、やられたとしても、攫われただけだとしても…ルフィ達がここに来るのは期待は出来なさそうである。
今出て行ってもやられるだけだとサンジは主にアスカとロビンだけを心配しつつすぐに助けてあげれない事に舌打ちしタバコを吸い、白い煙を吐き出す。
列車の中は綺麗だった。
初めて乗る列車に本当は興味深そうに見ていたいのだが、その気はすでに失せており、アスカはルッチに連れられ窓側の席へと座らせる。
当然のように隣に座るルッチから窓の景色をみるように顔を背ける。
「ポッポー」
「!」
肩には逃亡防止からか、ルッチに肩を抱かれており身動き一つすれば恐らくその手の力は強まるだろう。
海楼石があるとはいえ抵抗らしい抵抗ができないのが悔しくてグッと拳を握ったアスカの耳にバサバサと何か羽音のような音が入り、アスカはハッと我に返る。
膝の上に何かが乗ったのに気づき窓から膝へと目をやればそこには白いハトがいた。
今自分が羽織っているルッチとお揃いの小さなコートとネクタイをしたハトがこちらを見上げており、アスカはなんとなく手を伸ばす。
指で頭を撫でてやればハトは気持ちよさげに目を細める。
「……ふふ…」
「ポッポー!」
「……………」
ルッチがかけたコートと同じお揃いのコートを着るハトにアスカは笑みを漏らす。
そのハト…ハットリとのやりとりをルッチは終始見ており、ハットリの体を撫でるアスカを目を細め見つめ、アスカの肩をコート越しに親指の腹で撫でる。
「ルッチさん!少々早いですが出航します。何か不都合が…」
「ない…出せ」
「はっ!では…」
天候の悪化から、これ以上待ったら危険と判断したのか、部下は出航の許可を求めてきた。
それに目も合わさず許可を出し、消えた部下を見もせずルッチは窓の外を見る。
そこには何度も見たことのある景色が広がっていた。
「5年住んだが…こんな島にゃあ……名残り惜しむ情もわかねェ…」
ルッチが呟いたその時、出航の汽笛が鳴り響く。
アスカはハットリを愛でていた顔を上げ、ゆっくりと動く窓の風景を見つめながら手をそっと添える。
空はまだ雨は振っていないがいつ振っても可笑しくない雲行きだった。
(ルフィ…)
幼馴染を思い目を伏せハットリをゆっくりと撫でる。
―――サンジが乗り込んだことはまだ彼女は知らなかった。
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