カクとジャブラはゾロとサンジに任せ、ウソップとアスカはナミと別れ司法の塔の天辺に着いた。
アスカはウソップが司法の塔から橋にいるスパンダムにパチンコで火薬を飛ばし、周りの海兵にも続けて撃つ。
その間準備運動しつつ出番を待っていた。
「アスカ君!」
「わかった。」
そげキングのキャラ付けなのか、君付けで呼ぶウソップに触れずウソップの合図にカッターシャツを脱ぎ捨てる。
アスカがカッターシャツを脱ぐ衣擦れの音が背後から聞こえるが、ウソップは振り返る勇気は、ない。
それに今はそんなギャグをしている時ではないのだ。
「よし。ウソップ、後よろしく」
「おう!」
全裸になったアスカの頭とお尻にウサギの耳とシッポが生えた。
そして褐色の肌が次第に真っ白な毛が生えていき、昼島から差す影が少しずつ巨大化しウサギの形へと変えていく。
その間もウソップは次々と海兵たちを倒していく。
ロビンはどこに誰が居るのか分かり涙を溜める。
「うおい!!何やってんだ!てめェら!!揃いも揃って!!!」
「しかし長官!!敵が確認できません!!!……あ…いた…」
黒焦げになりながらも次々に倒されていく海兵たちを見てスパンダムは声を上げる。
望遠鏡で犯人を探していた海兵が敵を発見したらしいが、唖然と下ろし、慌ててスパンダムへ振り返り見つけた場所へ指をさす。
「長官!あれを!!!」
「何だよ!どこだよ!!!」
「司法の塔のてっぺんに……!!!」
「司法の塔だと!!?あんなトコから何ができるってんだよ!!」
スパンダムは海兵の言葉に驚き目を丸くする。
ウソップは人差し指立て腕を天高くあげ何故か歌を歌って立っていた。
敵が翻弄されている間にロビンは隙をついて逃げ出し、スパンダムは我を忘れロビンを撃ち殺す命令を下した。
ロビンの背後に向けて銃を構える海兵にウソップは気づきまたパチンコを向けた。
しかしウソップはその手を止める。
その瞬間、白い何かがウソップの隣に通り過ぎ、ウソップはその風に落ちないように床に手をつきまたポーズを決めた。
「撃てェ!!!」
長官の命令に銃を構え海兵はロビンに向かって銃弾を放つ。
その瞬間―――昼島の空に銃声が響いた。
しかし…
「んな!!!」
「ええ!!?」
「何だ!?コイツはァ〜〜〜!!!」
その銃弾はロビンには当たらず、ロビンをフランキーが庇っていた。
それに気づいてウソップはパチンコを引っ込めたのだろう。
ロビンは(前だけ)人造人間故に銃が聞かず笑っているフランキーに庇われ目を丸くしていた。
「…あなた……」
「丈夫なのよ、鉄だから。もう地雷はねェな!スパンダ!」
「う、撃て!!とにかく撃てェ〜〜〜!!!」
窮地に追いやられたスパンダムはフランキー共々銃殺しようとするも、今度は上から巨大な二足歩行のウサギが海軍とロビン達の間に振って落ち、海軍が驚き唖然としている間に銃を構えている海兵を海へ投げ捨てる。
「なんだァ!?このスーパーでけェウサギは!!?」
「ぁ…」
「ふぅ。久々に長距離を飛んだけど…まだ行けるね…さすが私!」
前線にいた海兵全員を海へポイ捨てしたウサギにフランキーは驚きが隠せなかったが、そのウサギの正体を知っているロビンは瞳に涙をためた。
その涙がぽつりと零れ、床に落ちる。
そのウサギは少しずつ巨体を小さくさせ、人型に戻っていく。
完全にウサギから人間へと姿を変え、その姿はフランキーも見たことがあった。
「てめ…!!あの嬢ちゃんか!!?」
「うわ、ロビン怪我ひどい…大丈夫?」
「無視かゴルァ!!!」
フランキーの目の前にいたのは、巨大ウサギへと姿を変えたアスカだった。
アスカは海へ落ちる海兵の一人から上着を拝借し、全裸になる体に羽織る。
おかげで背中は見られなかったが座り込むロビンがボロボロとなっているのに慌てて駆け寄った。
無視された事を突っかかろうとしたフランキーだったが、電伝虫が鳴りパンツから取り出した。
相手はナミではなく、ウソップだった。
≪フランキー君、フランキー君。こちらそげキング≫
「あん?この電伝虫はおめー…」
≪ナミから私が受け取った!それよりアスカ君に小さな"赤い布の包み"を渡しておいた。≫
ウソップの言う赤い布の包みにフランキーはアスカを見ると、会話を聞いていたアスカはその包みを持ち上げ、フランキーに見せる。
言う通り赤い布の包みを見たフランキーはアスカから電伝虫へ目を向け頷く。
「あぁ、あるぞ。」
≪鍵が2本入っている。君のと合わせて鍵は全て揃うハズだ!!…確かに届けたぞ。≫
そげキングの言葉にフランキーは笑う。
そして電伝虫を切り、フランキーが持っている鍵とアスカが持ってきた鍵でロビンの手錠を外そうと1つ1つ鍵穴に入れ、最後の鍵でロビンの手錠が開いた。
スパンダムは鍵が本物だと驚愕し、ロビンはふらついてフランキーに支えられる。
「こちらフランキー!!おい長っ鼻!!ニコ・ロビンの手錠は外したぞ!!!」
「長鼻くんありがとう…!」
≪礼なら全てが済んでから必死に鍵を集めた者達に言いたまえ!君は紛れもなくルフィ君達の仲間だっ!!!もう思うままに動けばよい!!!≫
ウソップの言葉にロビンは涙を拭い腕をクロスさせ海兵達へ振り返る。
「えぇ……存分にやらせてもらうわ!!」
「ホゲぶ!!!」
「おお!」
自由となったロビンはこれまでの恨みと…スパンダムに手を生やし往復ビンタたをくらわせた。
その見事な往復ビンタにアスカはロビンに拍手を送る。
「オシ!!おめェら急いでこっちへ来い!!脱出の整えとく!!」
「了解した!早く降りて来いそげキング!!」
海兵達はロビンが自由の身になった事に慌てるが次の瞬間、島を囲む柵が破壊されるほどの砲弾が放たれた。
「もしかしてもう軍艦が来てるの…?」
煙が立ち登るにを見つめアスカは唖然とする。
すると今度はウソップの居る司法の塔に砲弾が当たり司法の塔の屋上は滝の底へ落ちる。
「ウソップ!!!」
「………っ!」
アスカとロビンは崩れていく司法の塔を見て目を丸くし、口を手で覆う。
しかしサンジの連絡にウソップの無事を知り二人はホッと胸を撫でる。
「じゃぁその場を何とか……おめェ戦力に数えていいのか!?」
「勿論。」
「おめェは……聞くまでもねェか。」
これから逃げるために乱闘が始まる。
今まで海楼石に繋がれ力が制御されたロビンに戦えるのかと問えば、頷きが返ってきた。
そのあとアスカを見れば……確認するまでもなかったと頷く。
アスカはフランキーにウサギの腕を見せていた。
逃げようとする3人を捕らえる為に海兵達が動く。
「橋の向こうに"護送戦"があるな…アレが脱出のカギだと思わねェか?」
「あの船を奪う他に助かる道はなさそうね」
「もう雑魚しか残ってないし、簡単じゃない?」
「かかれェ〜〜〜〜〜!!!」
スパンダムの号令に両者動き、暴れる。
「急げーー!!」
「ニコ・ロビンを捕まえて護送するだけだ!グズグズするな!軍艦がくるぞ!!」
「もう手遅れのようで!!!」
「あ!!?」
海兵の言葉に振り返るとそこには数え切れないほどの軍艦が姿を現す。
軍艦が砲弾を無数に放ち、エニエス・ロビーを消滅させようとする。
橋に居るロビン以外は対象にならず砲弾はここまで来ないが、ロビンは昔の記憶に座り込んで震える体を抱きしめる。
するとルフィが移った軍艦に味方である海軍の軍艦が攻撃し沈ませてしまう。
「ルフィ…!!」
「オイオイ海兵ごと撃ちやがった…」
「これがおれが発動した"バスターコール"の力!!これが正義だ!カティ・フラム!!さァ!ニコ・ロビンをこっちに引き渡せ!!そうすればお前の罪を消してやってもいいぞ!!大体なぜお前がその女を守ってやる必要がある!!海賊でもあるめェし!お前は!お前ら凡人共を守ってやってる世界政府よりも!!そのオハラの血を引く物騒な女を信用するってのか!!?我々に逆らえばお前もトムと同じように死ナバス!!!!」
「長官殿ーーーっ!!!」
スパンダムは喋っている途中にフランキーのパンチをもろに食らって殴り飛ばされる。
しかしすぐに体勢を整え、背中にあるファンクフリードを抜く。
「象剣"ファンクフリード"を抜いた!!」
「あれは強ェぞ!!」
「くらえ!!!」
ゾウゾウの実を食べた剣、ファンクフリードをフランキーではなくロビンに向けて放つ。
しかしロビンに当たることなく、ファンクフリードはフランキーに止められてしまった。
「ファンクフリード!!てめェ象のくせになに力負けしてやがる!!!」
フランキーは手を銃に変えファンクフリードに向け鼻を元に戻せと言うが中々言うこと聞かない。
しかし、ふと前に目をやったファンクフリードは怯え始め鼻を元に戻す。
それに疑問に思って後ろを振り返ると背後に百獣の王者を従えるアスカが仁王立ちしてファンクフリードをロビンの後ろで見ていた。
「おまえ…ウサギじゃねェのかよ…こえェよ……」
「アンタばっかりいい格好させるのもシャクだと思ってね…たかが象如きがウサギに勝てると思ったら大間違いね」
「いや、ウサギの方が普通負けるもんだろ……ま、まァいいか…麦わら達はここへ来るか?」
「全員…必ず!!」
ロビンの返答に満足げに頷きフランキーはスパンダムを見る。
「おれはあいつらに全てを賭けたと言ったはずだぞスパンダ!!」
「何をォ!!?」
「まさかこんな日が来るとは思わなかった…あの日のおれに力があったら何が何でもトムさんを奪い返したかった…!!」
フランキーは己の思いを話し、ファンクフリードの鼻を持ち上げてそのままスパンダムへ投げる。
スパンダムは象の下敷きになり気絶してしまう。
その後、雑魚ばかりの海兵を3人で投げ倒して船を確保した。
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