能力者が二人、人造人間が一人…そうなれば海軍の護送用の軍艦を奪うのは簡単だった。
「うはははは!!悪いな海兵諸君!!この船はおれ達の脱出に使わせて貰う!!」
海兵全員海へ放り出し、後はナミ達が戻ってくるのを待つのみ。
しかし案外みんな早く戻ってきた。
しかも海から。
海から声が聞こえたかと思えば、海からココロが出てきた。
「ジュ…ジュゴン…!?」
一瞬海からジュゴンが出てきたかと思ったアスカは目を疑ったが、目の前にいるのは確かにココロだった。
ココロの下半身をチラリと見ればそれは魚になっており、実はココロが人魚だったことが今発覚する。
人魚の存在はアスカは知っていたから驚きはしないが…ココロが人魚という事実に驚いていた。
アスカはとりあえず視界に入れないように目をそらし助かったが気絶しているナミ達を見渡した。
するとココロから近寄ってきた。
「おまえららね?海賊王の小僧が助けに来た仲間…シフトステーションで会ったれぇ憶えててるよ。あの時はまさか…おめぇらがこんなコトしでかすなんて考えもしなかった…!海賊王になるなんて笑っちまったが…案外ホントかもしれねぇな…んがががが!」
ココロはカチャカチャとベルトをハメながら着替えるが、上は貝殻ブラを着用しているだけなためフランキーにちゃんと着替えろと言われても無視して話を進める。
アスカはココロの言葉に逸らしていた目線をココロへ向け、むすっとした顔で腰に手を当て胸を張る。
「なってもらわなきゃ困る!パパに会わせてもわらなきゃいけないんだし!」
「ふふ…」
フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らすアスカがロビンには照れ隠しに見えたのか微笑ましそうに笑う。
「ゲホッ!!!ウェッ!ホッ!!!」
「……!!ハァ」
「ぶはァ!!ナ、ナ、ナミさんは無事か!?」
「相変わらず丈夫な奴らだな」
目覚めたサンジ・ゾロ・ウソップだったが、歩み寄ってきたココロに心の底から叫び声を上げた。
「ギャ〜〜〜〜!!!現実だった!!人魚って本当はいねェんだ!!!」
「人魚かと思ったらジュゴンだったって伝説は本当なんだな!!」
「バカ野郎!!!まだ本人が人魚だなんて言ってねェ!夢を諦めるな!!」
「あたしは"シラウオ"の人魚らよ」
「やめろ〜〜〜〜〜!!」
ココロが言うには人魚は30を越えると二股になるらしい。
それを聞き、奴隷時代いた人魚は確かに10代や30代前だったなと思い出す。
するとサンジはロビンに気付き抱きつこうと飛び立つがナミとナミの頭に掴まっているチョッパーに吹き飛ばされて邪魔されてしまった。
「間に合ってよかった!!ロビン!!無事だったのね!!!」
「ボビ〜〜〜〜〜ン!!!」
「ええ、お陰様で…!ありがとう…」
自分のために泣いてくれるナミとチョッパーにロビンは自然と笑顔になる。
「アスカも無事でよかったわ!!!」
「アスカ〜〜〜〜っ!!!」
ロビンに続いてチョッパーとナミに抱きしめられたアスカは無抵抗で抱きしめられていたがナミの豊満な胸に息ができなくなって顔をあげる。
「ぷはぁ…!!苦しい…!」
「あ、ごめんなさい……でも、なんでアスカがあの男に攫われたのかしら…」
「「ッ!!?」」
ナミの疑問も最もで、どういう理由かすでに知っているゾロとウソップ以外はそりゃそうだ、と頷き、知っているゾロとウソップはギクリとさせ顔色を青くする。
「ああ、それ、こどm…」
「あ、あれだ!!!スカウトだ!!スカウト!!!」
「はぁ!?スカウト!?政府が海賊をォ!?」
アスカは羞恥というものがない。
だからか、ナミの問いにアスカは簡単に答えようとしたのだ。
そんなアスカに気付いたウソップが遮るように答えるのだが…それは偽りである。
無理ある言葉に当然みんなは怪訝とさせ、ウソップは冷や汗をどっぷり流す。
そんなウソップにゾロは顔を覆ったあとフォローを出そうとするのだが…
ナミがあるものに気付く。
「あら、それ虫刺され?」
「え?」
「そんな格好してるからよ!まった…く…………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
ナミが海軍の上着だけを着ているアスカの胸元にポツポツと赤い虫刺されのような物を数多く発見し、最初は苦笑いしていたがそれが何なのか気付き固まる。
そしてナミの言葉に気付いちゃった周りも固まりその場は爆発音が響くだけだった。
「そげキーング、ゾーロー…ちょーーっと話があるんだけど…」
「……………」
「ヒーーーーーっ!!!」
ウソップはナミの形相にゾロの後ろに回る。
そんなナミ達を余所にアスカは船から降り橋へ戻る。
アスカの行動にウソップがこの場から逃げ出したくてアスカの後を追いかけ、ゾロもゆっくりと向かう。
アスカ関連のナミとサンジから逃げるならゾロはどんな隙も見逃さない。
「アスカ…いやアスカ君!」
「どうした?」
「あれ見て……さっきから何か燃える音と崩れる音がすると思ったら……さっきまでいた島だと思えない…火の海ってああいうのを言うのね…」
アスカが指差した先にはすでに火の海となっているエニエス・ロビーが見える。
「この攻撃はニコ・ロビンを死なせねェ様に命令が下っている様だ」
「それでこの橋は狙われねェのか!」
フランキーも後から来て理由を説明した。
その理由を聞き、ゾロは刀を握る。
「死なせねェって事はまだ奪い返すつもりだな…」
「エニエス・ロビーを完全に破壊したら次は白兵戦でニコ・ロビンを取りに来るだろう」
「もうみんなボロボロな上に軍艦にゃすげェのいっぱい乗ってんだろ!!ルフィはどこだ!?」
ウソップの問いにフランキーはルフィがいるであろう場所を指差す。
「この橋の1本目の支柱の上階からまだ戦塵が立ってる…相手は当然"ハト野郎"ロブ・ルッチだ」
「げっ…あいつ嫌い!」
「近いじゃねェか手をかせば…」
ルッチの名前が出てきてアスカは眉をひそめ本当に心底イヤだ!という顔を浮かべる。
手を貸そう、と言ったウソップにゾロが首を振った。
「やめとけ…ハトの奴はただ者ではねェ…巻き込まれてまたおれ達がバラバラになってどうする。あの軍艦の群れがいつこっちを向いても逃げ道を失わねェ様におれ達はここでルフィを待つ…それでいいんだ"嵐"はこれからだぞ!!」
ゾロの言葉に皆、気を引き締める。
ウソップは頷きアスカは深呼吸し前を見つめる。
その後、フランキーの仲間や助けに来てくれたガレーラ達を心配しつつ船の出港準備を急ぐ。
出航の準備が終わったその直後、備え付けていた電伝虫によりガレーラ、フランキー一味の全滅の知らせがアスカ達に届く。
「こんなに簡単に…人って死んでいいの?」
「地図の上から……人は見えない…彼らはただ感情もなく世界地図から小さな島を消すだけよ…」
ロビンとナミの会話を聞きながらアスカは目を瞑り、
「人は簡単に死ぬ生き物だよ……本当に簡単に…」
そう呟いた。
拳を握り何かに耐えているようなアスカの呟きはゾロだけが聞こえ、ゾロが意味ありげに見つめていたことにアスカは気づかなかった。
すると橋が半分も破壊されてしまい、包囲されてしまう。
≪第一支柱切り離し完了≫
「橋を半分壊しやがった!!!」
≪第一支柱には『CP9』ロブ・ルッチ氏と"麦わらのルフィ"…全艦"ためらいの橋"の周囲へ布陣。橋の上と護送船には海賊狩りのゾロ、冷酷ウサギのアスカ、ニコ・ロビンを含む海賊10名を確認。司法の塔にてCP9を破った一味の主力と思われます≫
「ロビンをまた奪い返しにくるぞ!」
「そうはさせないわよ!!」
軍艦に囲まれゾロ達は各々戦闘体勢を取り海軍たちを睨みつける。
「おい!あそこを見ろ!!」
すると橋が壊れ、ルフィとルッチの戦いがウソップ達からも見える。
ウソップがそげキングとしてルフィを呼び、その呼びかけに気付きゆっくりウソップへ顔を向ける。
そこにウソップの他にはフランキー・ゾロ・サンジが立っていた。
「全員無事橋へ着いたぞーーっ!!」
「こっちは心配いらないぞルフィ君!!」
「ロビンちゃんとアスカちゃんも助けたァ!!」
「あとはお前!!そいつに勝て!!」
「生きてみんなでここを出るんだ!!」
4人の言葉に強く頷くルフィ。
するとアスカがウソップの隣に立つ。
「アスカ…」
久々に見るアスカにルフィは疲労が一気に吹き飛んだ気がした。
「ルフィ!私が戻ってきたんだから負けたら絶対許さないからね!!」
「…あぁ!」
厳しい励ましにルフィは頷き、アスカはルッチに目を移す。
ルッチはアスカの登場に目を細める。
「脱出してたとはな…」
「残念だったわね。でも私はあなたの元にはもう戻らないから」
「…だったらまた奪うまでだ。」
不敵に笑うルッチにルフィは不意打ちでルッチに蹴ろうとするが避けられる。
「まだ話している途中だが……」
「なんだかよくわかんねェけど…アスカとロビンは渡さねェ!!!」
これがナミの言っていた野生の勘なのだろうか…、とアスカは再び戦いを始めたルフィとルッチを見つめる。
「あとは、こっちは耐久力勝負だな…」
ゾロの言葉に振り返ると周りは軍艦でがっちり包囲され海兵達が並んでいた。
≪少佐以下出陣不要。大佐及び中佐のみ、精鋭200名により速やかに始末せよ≫
「ほ…『本部大佐』っつたら……あの"ケムリ野郎"と同じクラスじゃねェか!!!あのレベルがあんなに!?」
「おれ達にビビってる証拠だ」
「何か実力を認められたって感じ。」
「なに喜んでんだ!!!」
「あ、でも大佐ってまだ下っ端よね…ちょっと喜んで損した」
「落ちこんどる場合かーー!!!ってあれっ!?あいつは!?サンジは!?さっきまでそこに!!」
「何だァ!?どこ行きやがったこんな時にあのバカコック!!」
「かかれ!!」
海兵は号令とともに船を降り、海賊を倒すため動き出すしゾロ達もそれに対応するがチョッパーは薬の反動で動けなかった。
やはり他の雑魚とは違うのかフランキーのパンチも海兵は球になりバラバラになり、ゾロの刀を錆びさせる者がいたりあのウソップの必殺技も易々と避けられる。
しかし、こちらもCP9を倒した実力の持ち主。
必死だが数を減らしていった。
アスカはシュラハテンと能力をフル活用し、ゾロ達と共に次々と倒していく。
「気ィ付けろ!!能力者も混ざってんぞ!!!」
「それはお互い様よ!!」
フランキーの言葉にロビンが海兵を倒しながら越えた。
「シュラハテン!!!」
ロビンとフランキーの会話を聞きながらアスカはシュラハテンを床に突き刺し、シュラハテンは体を分裂させ海兵達の下へともぐりこむ。
そしてコンクリートから体を出し海兵達の下から体を拘束し動かさないようにする。
「行け!!"下僕ウサギ"!!!」
「きゅー!」
「うわ!!なん…ぎゃあああああああっ!!!」
束縛している海兵達を指差し下僕ウサギを放つ。
無数の下僕ウサギは可愛い顔しながら海兵達をボッコボコに殴り倒す。
アスカが殴られている海兵に気を取られているその隙に他の海兵が背後から斬りかかろうとするがアスカの回し蹴りにあえなく撃沈。
下僕ウサギによって殴られ気絶した海兵を解放しその辺にいる海兵を殴るように命令し、危険なウサギをアスカは解き放った。
その御蔭でナミ達の戦いはいくらかは楽になり、アスカは次々と海兵を倒していく。
その可愛らしい姿とのギャップに海兵達は異名に納得したという。
まさに冷酷。
いや、冷酷非道だった。
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