「――さて、じゃあ…おめェら」
「はっ!!」
再会も済み、ガープは部下たちを見渡した。
上司の声かけに部下たちは背筋を伸ばし次の指示を待つ。
そんな部下たちにガープはくいっと親指を立てて自ら壊した壁の穴を指さす。
「この壁直しとけ」
「えーーーー!!?そんな勝手な!直すぐらいならなぜ壊したんですか!!?」
「そうやって入った方がかっこいいじゃろ?わしはアスカにかっこいいおじいちゃんって思われたいんじゃ!」
「いや、そんな理由で壊さないで下さいよ!!じゃあ我々直すんであなたも手伝ってくださいよ!!」
「えーーーー!!?いいよ。」
ドーン、と孫馬鹿を披露するガープに部下たちは慣れているのかすぐに返す。
どうやら同じく孫娘のミコトで耐性がついたようである。
「偉いんじゃねぇのかお前のじいちゃん…」
「さぁ?仕事の事はよく知らねぇ。」
海軍本部の中将であり、未だに伝説と言われている海兵が部下と共に大きな体をかがめて板にくぎを打つその姿に戸惑いが隠せなかった。
しかしこうやって見てみれば確かにルフィと同じ血が流れているのだなと思う。
部下と共にトンカチでくぎを打っていたガープは不意に思い出したようにルフィに顔を向ける。
「そういえばルフィ、お前親父に会ったそうじゃな?」
「え?父ちゃん?父ちゃんて何だよ…おれに父ちゃんなんかいるのか?」
「何じゃい名乗り出やせんかったのか……ローグタウンで見送ったとアイツも言うとったぞ!」
ローグタウンと言われ思い出すのは風が激しい嵐。
アスカは知らないがルフィが死を受け入れようとした場所。
そして因縁の相手…スモーカーとの出会いの場所。
ガープから父親が見送ったと言われてもルフィはちんぷんかんぷんだった。
「ローグタウン……」
「あの町にルフィのオヤジがいたのか!?」
「興味あるルフィのお父さん…アスカ知ってる?」
「ううん。私もルフィもルフィのパパに会ったことないから…お姉さまは分からないけど…」
「おれの父ちゃんてどんなんだ?」
ナミに問われてもアスカはあの村で生活するようになってから一回もルフィの母と父に会ったことないので首を振る。
困惑するアスカやルフィをよそにガープは鼻をほじり釘を打ちながらルフィの父親の名前を軽く言った。
「お前の父の名は"モンキー・D・ドラゴン"…革命家じゃ。」
―――その名前にその場は静まり返った。
「……ドラゴン…?」
「ルフィのパパが…革命家…」
ただ、ルフィとアスカだけは分かっていないように首を傾げた。
しかしその瞬間―――
「………………!!!」
「え!?」
「「「えェ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!?」」」
ルフィとアスカ、そしてガープと副官のボガード以外のその場にいた全員が声を上げて驚き、腰を抜かした。
それを見てアスカもルフィも首をかしげる。
「か…革命家ドラゴンに息子がいたのか!!?」
「ルフィさんがあのドラゴンの子!!?」
「じゃ…じゃあ!!ドラゴンはガープ中将の子で!ミコトさんが…ドラゴンの娘!?な、何なんだコイツの家系は一体!!」
「ドラゴンのフルネームなんて初めて聞いた…!!」
信じられないように驚きを見せるナミやコビー、海兵たちを見てルフィは首をかしげる。
「おいみんな…一体何をそんなに……」
「バカ!お前ドラゴンの名前を知らねェのか!!?」
「あんたのお父さん!!とんっっっでもない男よ!!」
知らない方がおかしいらしく、みんな驚きすぎて教えてくれなかった。
知らないものは知らないし、父親なんてフーシャ村にいた時からずっといないのが当たり前だったから気にしたこともなくルフィはアスカを見た。
しかしアスカも首をかしげており、二人はロビンに振り返る。
「おい、ロビン…」
「何て説明すればいいかしら……海賊は…自分から政府や海軍を襲う事はないけど、今『世界政府』を直接倒そうとしている力があるの…それが"革命軍"……その頂点に立つ男がドラゴンよ。…今世界中で色んな国々でその思想が広がっていて王国に反乱を招きいくつもの国が倒れている…政府は当然怒り…その黒幕ドラゴンを"世界最悪の犯罪者"ずっと探し回っているんだけど……彼は素性の片鱗すら全くつかめない"謎の男"だった…のに」
「「のに?」」
「あっ!コレやっぱ言っちゃマズかったかのう!!ぶわははははっ!!じゃ、今のナシ。」
ロビンの言葉でアスカは理解した。
ルフィは理解していないようだが、そのルフィの父親の名を聞いて驚いたみんなに納得する。
そして、アスカはミコトを思い浮かべる。
ルフィは父親の顔も名前も分からないが、ミコトはどうなのだろうかと思った。
聡明な姉だから自分たちの父親とは何かしら繋がっているとは思っているが…一緒に暮らしている間そんな素振りみせていなかったから全く予想しかできない。
でも、なんとなく…おそらく動物系の能力者故の野生の勘か……ミコトとルフィの父親は繋がっている気がしてならなかった。
そのみんなが信じきれない話をした本人であるガープに至っては、呑気にも軽く撤回し、その軽すぎる撤回に再び驚きの声がウォーターセブンに響き渡るほど大きく響き、事情を知っているらしい副官が溜め息をついた。
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