(191 / 293) ラビットガール (191)

「お前はわしの孫なので!!!この島で捕らえるのはやめた!!と軍にはうまく言い訳しておくので安心して滞在しろ!!」

「言い訳になってないので逃げられた事にしましょう。そしてその娘さんは降ろしてあげてください」


用事を終えたのかガ−プは何気なくアスカを抱き上げ、そのまま去ろうとする。
しかし副官のボガードに止められてしまい、アスカを奪われてしまった。


「何よりワシは二人の付き添いなんでな…こいつらとはまァ…ゆっくり話せ、わし帰る。」

「うん。じゃあな」

「軽すぎるわァーー!!!」


外まで見送っていたルフィは祖父に連れてかれてはたまらないとボガードに降ろされたアスカを抱き寄せ、別れを惜しむことなくガープに手を上げるが軽すぎると殴られてしまった。


「惜しめ!!バカ者!!!久しぶりのじいちゃんだぞ!!」

「どうしろってんだよ!!!おれは殴られただけじゃねェか!!」

「それでもワシは孫に愛されたいんじゃ!アホ!!!!アスカを見てみい〜!!わしと離れたくないと涙を溜めているじゃろ!!!」

「溜めてねェじゃんか!アスカはおれの仲間なんだからもう連れていくなよな!!」

「なんじゃとーーー!!!?」


再び喧嘩が始まったが、アスカはいつもの事だし、ナミ達もすでに相手にするのも面倒だからか家の中から心の中でツッコミを入れていた。
喧嘩は何とか鎮火し、コビーとヘルメッポを置いて船へ戻っていく。
その際もう一度ルフィからアスカを奪い、頬擦りしてガープは帰っていった。







コビーとヘルメッポとの楽しい時間は過ぎるのが早く、あっという間だった。
コビー達は船に戻る時間だとルフィ達と別れを告げる。


「え〜〜〜〜〜!?本当にもう帰んのか!?メシ食ってけよ!メシ!!」

「僕らは敵同士…馴れ合うわけにはいきませんから…」


コビーとヘルメッポとの別れにはアスカも外に出てルフィの隣に立つ。
サンジとチョッパーも外に出ており、ゾロ達は中で見送る。


「ルフィさん!!この"偉大なる航路"の…!!後半の海の呼び名を知っていますか?"赤い土の大陸"の向こう側に広がるその最後の海を。……人は…もう一つの名前でこう呼ぶんです」

「?」

「"新世界"」

「…新世界……」


ルフィはコビーのその言葉に心を躍らせる。


「次の時代を切り開く者達の集う海!!その海を制した者こそが!!"海賊王"です!!!ルフィさん!!僕らきっとまたそこで会いましょう!!今度は僕はあなたを捕まえる!!もっともっと強くなって!!僕はいつか!!海軍の……た…!!"大将"の座についてみせます!!!」


そう言いきった後、コビーは自分がルフィに大きすぎる事を言った事を我に返り尻もちをついた。
アスカ達は大将の座がどれだけ高い壁なのかは分からないが、青雉やミコトと触れた事があるため、コビーが尻もちをつくのもわかる気がした。


「ご…ごごごごめんなさい!!ちょ…調子に乗りました!恥かしい!穴があったら入りたい!!あ…あなたに会って僕ちょっと気が大きくなっ…!!」

「コビー!」

「!?」


あわあわとさせ謝るコビーはルフィに名前を呼ばれ俯いていた顔を上げると…ルフィは決して馬鹿にしたような顔を浮かべず、ルフィはニッと笑う。


「おれと戦うんだろ?だったらそんくらいなれよ!!当然だ!!」

「……!!…た…大将ですよ…?」

「今度会ったら…おれ達もっと強ェぞ…もっとすげェ!!」


コビーは自分さえ押しつぶされそうな夢なのにバカにせず笑って信じてくれるルフィに涙がこぼれた。


「何だ、泣き虫はなおってねぇなコビー」

「本当、そんなんじゃお姉さまみたいに素晴らしい大将になれないわよ?」

「…っあなた方3人に今日また会えて本当によかった!!」


窓から顔を出すゾロも、ルフィの隣にいるアスカも、そして他の人達もバカにした笑いを浮かべず信じてくれて、コビーは頭を地面につけ、ルフィ達に頭をつける。
そして立ち上がり誓うように拳をむける。


「僕ら…!!!もっともっと強くなりますから!!!必ずまた!"新世界"で会いましょう!!」

「覚悟してやがれ!!お前らァ!!!今にドギモ抜いてやるぞ!!!!ひぇっひぇっひぇっひぇ!!」


ヘルメッポも自分の武器を抜き、ルフィ達に強くなると誓った。


「…ルフィ、お前また…とんでもねェ敵を生み出したんだじゃねェか?」

「コビーはやる男だ…おれは知ってんだ!しししし!!」


去っていくコビー達に手を振ってゾロの言葉に笑顔で答えるルフィ。
アスカも笑顔を浮かべて見送った。







コビー達が去った後、ルフィ達は裏にあるプールへ向かった。
水着は空島でも着た事のある物で、一見服のようにも見え、勿論背中を隠せるタイプである。


「ルフィ、ちょっと。」

「ふぁんふぁ?」


壁の陰に隠れて水水肉を頬張るルフィを手招きしてみんなに見えないように壁へ引っ張る。


「見える?」

「みふぇふぁいふぉ!」

「そう、ありがとう」


背中が見えないタイプとはいえ、見えない場所だからこそ不安があった。
だからアスカは毎回ルフィに確認してもらい、OKサインにアスカはホッとしルフィと他共にみんなに交じるためプールへ向かった。
泳げないので浮輪を借り、たまにはシュラハテンも羽を伸ばしたいだろうと思いブレスレットから蛇へと姿を戻し野に放つ。
アスカ達の声に釣られてきたのか、ガレーラの大工やアイスバーグ、そしてフンラキー一味とフランキー達が続々と集まってきた。
一般人までも参加し、いつのまにかプールはあっという間に大宴会へと変わった。
宴が好きなルフィ達は見知らぬ人でもすぐに溶け込み大騒ぎしはじめる。
プールの中央に繋ぐ橋から飛び降りるほどテンションが高くなっていくのはいい大人達。
しかもその橋はそれほど高くはないため度胸試しにもならない。
人間テンションがMaxになるとああなるのか…、とドボンドボンと落ちていく大人たちを見ながら17歳のアスカはそう思った。


「アスカ〜〜!!」


浮輪を手にプールサイドへ向かい飛び込む大工達や解体達、一般人から遠ざかろうとしたとき…聞き慣れた声に名前を呼ばれ、アスカは立ち止まりその声の方へ振り返ろうとした。
しかし…


「アスカ!いくぞ!!!」

「は?―――って、ちょ…!…っ!!」


テンションが上がっているのは何もガレーラ達だけはない。
ルフィもまたテンションが上がり楽しそうに宴会をしていた。
そこはいいのだが、ルフィに呼ばれたアスカは振り返ろうとした。
しかし気づいた時には自分の体にルフィの伸びた手が巻き付いており、抵抗する暇なくルフィに抱きかかえられながら橋から飛び降りたのだ。


「いいぞ〜!麦わらさーーん!!」

「いい飛び込みっぷりだぞ!!ルフィ〜〜!」


あ、これ飛び込むわ…と思ったときにはもう遅かった。
息を止める前にアスカはプールの中に入っておりボコボコと泡の音だけが聞こえた。
周りは酒も入っているというのもありその場の空気で忘れてしまっていた…―――ルフィとアスカが能力者だということを。
飛び込んだルフィと巻き込まれたアスカに周りは楽し気に指笛も鳴らしていたのだが…中々上がってこない二人に周りは怪訝とした。


「ってああーーー!!アスカとルフィ能力者じゃねえか!!」

「そ、そうだった!!アスカーー!!ルフィーーーっ!!!」


中々上がってこないアスカとルフィにウソップも疑問に思ったのだが…すぐにハッとさせ二人が能力者だということを思い出す。
それに大慌てしたチョッパーが何故か二人を助けようと飛び込んで事態を悪化させる。
ルフィとチョッパーをウソップ、そしてアスカの危機にサンジが飛び込んで救出した。


「あんた私のアスカに何してくれてんのよーー!!」

「ご、ごべんなばい…」


案の定、救出されたルフィは保護者その1であるナミにこれでもかと殴られた。
チョッパーは水を飲んだのかお腹がぽっこりと膨らみ、口から水を噴水のように出していた。
そのそばでアスカがサンジに手厚く看病されており、他人より弱点に弱いアスカは海水ではないから気絶することはないが体がだるく感じる。


「大丈夫かい!?アスカちゃん!!」

「まあ…なんとか…」


助け出されたアスカは海水じゃないためすぐに回復し、ナミが座っているビーチチェアに座っていた。
心配そうに色々世話をしてくれるサンジが温かい飲み物を持ってきてくれて、それにお礼を言いながら受け取り飲む。
寒い時期ではないため体の芯から冷えているというわけではないが、基本能力者故に水が苦手な体となったアスカにはホッと一息つく飲み物だった。
そうしている間にナミの説教も終わったらしいルフィは反省もどこへやら…またハイテンションで騒ぎに向かった。


「まったくもー!!全然反省してないんだから!!」


ひゃっほー!!とハイテンションで同じく宴を楽しんでいる人たちの波に消えていった。
あんなにも説教したのに数秒できれいさっぱり忘れたような船長にナミはむすっとし、そんなナミにアスカは『まあまあいつもの事だし』と宥めながら機嫌取りにオレンジジュースを取りに向かう。
もう十分にプールを味わったためプールに再び入る気もならず、タオルで髪を拭いながらジュースが置かれている方へと足を運んでいたとき…


― パシャッ! ―


カメラのシャッター音にアスカは足を止め、振り返る。
するとまたシャッター音がした。
振り返った先にいたのは、一人の小柄な男だった。
その男は構えているカメラをこちらに向けており、目と目があえば男はにこりと笑う。


「失礼…わたくし、記者の者でして…」

「はぁ…」

「では失礼します」


一般人がいるという事は記者もいるということで…アスカは別に不信には思わなかった…が少し気になった。
頭を下げた後その記者と名乗った男はアスカの傍から離れていき、アスカはなんとなくその後を見送った。


「はい、ナミ」

「あら!ありがとう、アスカ!」


気にはなったがずっと見ているのもなんだか変な気がしてアスカは気にしないことにし、まだ水気を吸っている髪をタオルで拭うのを再開させる。
オレンジジュースが注がれているグラスを二つ持ってアスカはナミの元へと戻っていった。
すっかりプールで遊ぶ気が削がれたアスカはナミとの会話を楽しんでいるとナミもあの先ほどの記者に写真を撮ってもらったらしく、機嫌よく笑っていた。


「ナミすわ〜〜ん!アスカちゅわ〜〜ん!!水水肉が焼けたよ〜〜!!」


ナミも写真を撮られてというのを聞きアスカはあの記者の信憑性が高まり『そうなのか』と納得する。
すると水水肉を焼いていたサンジがアスカとナミに向けて手を振って食べごろだと知らせてくれた。
ナミもアスカもサンジに返事を返しながらその水水肉を取りに向かった。

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