(194 / 293) ラビットガール (194)

船の完成を待って3日。
ついにログが溜まった。


「記録がたまった!!"記録指針"が次の島を指してる!!」

「んじゃ、後は乗る船だな!!楽しみだ!」

「そうね…驚かせるから完成まで見に来るなって言われてるし…」


フランキーから船を譲り受けるという話をされた時、完成するまで見に来るなと言われたため、気になるもののフランキーの言う通りに見には行っていない。
早く見たいという気持ちばかり積もるが、完成まで楽しみに取っておくことにしていた。


「おめェ達…その記録を辿るとどこへ着くのか知ってんのかい?」

「いいえ…どこ?……なんだか少し下を向いてるような…」

「んががが…そりゃそうら。次の島は海底の楽園"魚人島"らよ!!!」


首を傾げながら記録指針を見つめるナミにココロは機嫌よく笑って見せ、ココロの言葉に素早く反応したのはやはりサンジである。


「え〜〜〜!!?んぎょぎょぎょギョ…ギョ…『魚人島』〜〜〜!?ついに!!?」

「ええ!?どうしたんだサンジ!!」


サンジの変貌にゾロと力比べしていたチョッパーが驚きを見せ、獣型からいつもの姿に戻ってしまう。
そんな浮きまくっているサンジを余所にナミは机に肘を立てて溜息をつく。


「魚人島か…複雑」

「そうだなァ…お前の村の事があるからなー」

「でもまァ、ありゃ魚人っつても"海賊"だろ?」

「その通りだ!よくわかってんじゃねェかクソ野郎!!!」


思い出すのは、アーロン海賊団。
アスカは直接対決していないため記憶は薄いが、なんとなく覚えていた。
ナミには悪いが彼らに怒りは一切覚えておらず、その代わり同情もしていない。
空島同様、『痛かった思い出しかないなァ〜』、と思っているとゾロの言葉にサンジが珍しく褒め、目をハートにしたまま『バカのクセに〜』と回転し、更には魚人頭を熱く語りだす。


「魚人島は"偉大なる航路"の名スポット!!世にも美しい人魚達が海上に弧を描き魚達と共に戯れる夢の王国!!」


この中で人一倍人魚に憧れて興奮しながら語るサンジだったが……ふ、と何かを思い出したようにハッとさせ、サンジはココロへと振り返る。
その瞬間一瞬にして赤から青へと顔色を変化させ、項垂れた。


「夢見たっていいじゃねェか!!海賊だもの!!!」

「いるよ!ちゃんと若ェのが!!」


青ざめるサンジは泣きながら地面を叩く。
それは現実を見たからであろう。
それに流石のココロも声を上げるが、すぐいつもの酔っ払いに戻った。


「――ただし"楽園"には簡単に辿り着けるもんじゃらいよ。」

「"海底"っていうのが気になるけど…」

「そこはまー行ってみりゃわかるよ…問題はそこじゃらいね」


ココロの引っかかる言い方に一同首をかしげる。
しかしココロは詳しく教えてくれず、ぽん、とナミが座っている円状のテーブルに新聞を置いた。


「一面を見な…最近の新聞ら」

「……何コレ…『今月もまた14隻…船が消えた』……?どういう事?」


そう言われて目の前に置かれた新聞を手に取ってナミが呼んでみせた。
言われた通りの記事を読めば、その記事は船の消息がたったという記事。
話が見えないナミはココロへと顔を上げ、首を傾げる。
ココロは酒を煽りながらナミの疑問に答えた。


「"魔の三角地帯フロリアン・トライアングル"……"楽園"へ到達する為に必ず通る事になる海域ら…」

「……?」

「その海では毎年100隻以上の船が消息不明になるんら…――そして後々船から船員だけが消えちまった船を見つかったり…死者をのせて海をさ迷う"ゴースト船"の目撃情報が後を絶たない」

「オバケ出んのかーー!!?コエ〜〜〜!!!」

「生きたガイコツに会えるのかー!?」

「お前どんなイメージだそれ」

「やだ!!絶対遭いたくない!!見たくもないっ!そんな気味の悪い船っ!!!その海何が起きるの!?」

「ちょっと楽しそう」


その記事はただの遭難の記事とは少し違うらしく、雰囲気を作り恐怖を仰ぐように説明するココロの言葉に、ウソップを除くメンバーで特に怖がりのナミとチョッパーだけが体を震わせ恐怖していた。
しかし良く言えば怖いもの知らず、悪く言えばニブチン達は面白そうだと逆に楽しみにしていた。
ルフィ達は置いておくとして、いい反応をするナミとチョッパーに気をよくしたのか、ココロはご機嫌そうに笑った。


「んががが!さァね…その身に何かが起きた奴らはその海から出て来ねェんらから…わからねェ…霧の深い暗い海ら…気をつけな…とにかく遭難の多い危険な海ら。出航前にしっかり準備をしておく事ら」

「………」

「商船や海賊船のなれの果てのゴースト船には……『宝船』の伝説がつきものよね」

「"ゴースト船"を探すのよっ!!」

「まかせろーーーー!!」

「えー!!いやだー!!」


ひぃぃ、と二人が悲鳴を上げ、その反応を楽しんでいたココロだったのだが…ロビンの一言にナミから恐怖がなくなり、宝を求め光り輝いていた。
相変わらずのナミの裏切りに、チョッパーだけは怯え泣きかけていた。


「ただの遭難なら食糧も充分積んでくつもりだ心配はねェ」

「宝船か…刀もあるかな」

「……ま、がんばんな…」


恐がらせるつもりが炊きつけてしまい、ココロは何も恐れないルフィ達に苦笑いを浮かべる。
するとキウイとモズとチムニーとゴンベが慌てたようにルフィ達のもとに駆け込んできた。


「海賊にーちゃん達〜〜!!」

「にゃー」

「麦わら〜〜っ!!!」

「何か用か?」

「フランキーのアニキが…!!!みんなを呼んで来いって……!!!!」

「"夢の船"が完成したんだわいな!!!!」

「すっごいのできてるよーっ!!!」


キュイ達の言葉にルフィ達は一瞬だが目を丸くするもすぐ大喜びする。


「えー!?もうできたのか!?随分早ェ!!!」

「超一流の船大工が5人で夜通し造ってたんだわいな!!」

「よし!すぐ行こうぜ!!」

「うおおーー!!!」

「麦〜〜〜わら〜〜〜さ〜〜〜…ん!!!」


船が完成し、一同喜んでいたその時、フランキー一家がキウイ達同様ルフィ達のもとへ駆け込んでくる。
その表情はキウイ達とは違い、どこか焦っていた。


「あんた達どうしたんだわいな?息切らして…!!」

「ハァ…ハァ…実は…無理聞いて貰おうと………手配書…!!見ましたか!!?」

「手配書?」

「あんた…!!とんでもねェ額ついてるぜ!!麦わらさん!それに…他のみんなも追加手配されちまってる!!」

「おれもか!!?やった!!」


フランキー一家は話すより見た方が早いと、懐から手配書を吸うまい下にバラ撒いて見せる。
そこには人数分の手配書が並んでいた。





『"麦わらのルフィ" 懸賞金3億ベリー』


『"海賊狩りのゾロ" 懸賞金1億2000万ベリー』


『"冷酷ウサギのアスカ" 懸賞金1億5000万ベリー』


『"悪魔の子"ニコ・ロビン懸賞金8000万ベリー』


『"泥棒猫"ナミ懸賞金1600万ベリー』


『"狙撃の王様そげキング"懸賞金3000万ベリー』


『"わたあめ大好きチョッパー"(ペット)50ベリー』


『"黒足のサンジ"(写真入手失敗)7700万ベリー』




新しい手配書は一味全員懸賞金をかけられてしまった。
ウソップはそげキングとしてではあるが。
ナミは賞金首になった事に肩を落とし、チョッパーは賞金の少なさに愕然とし、サンジは写真ではなく全く似ていない似顔絵に絶句していた。
アスカも8千万から7千万もアップしついには億越えとなった。
しかし億越えになった事もだが、ついに写真付きにもなってしまった。
写真の自分はタオルで髪の毛を拭っており、その写真を見て脳裏にあのプールの時に見た記者を思い出す。
顔を引きつらせるアスカを始め、落ち込む者や、笑っている面々を見渡し、ナミやチョッパーなどの落ち込むメンバーに同情しながら手を上げる。


「……ま…まァ…心中お察しするというか…色々と言いてェ事はあるだろうがその……まー待ってくれっ!おれ達の頼みってのはこっちなんだ!!コレ見てくれ!!!」


言っては悪いがアスカ達の手配書はついでである。
もう一枚、懐から出されたソレが本題で、取り出されたソレとは…フランキーの手配書だった。
そこには『"鉄人(サイボーグ)"フランキー懸賞金4400万ベリー』と書かれており、写真はエニエス・ロビーで取られたものだろう。
血を流して後ろは煙が上がっていた。


「フランキー!!」

「そうなんだ…!!おれ達は何とか免れたが…アニキはダメだった…このウォーターセブンにいちゃあアニキの命が危ねェんだ!!今度捕まったって…おれ達の力じゃもう助け出せねェ!!」


フランキー一家全員がルフィ達に土下座をする。
それにルフィはフランキーの手配書を見ていた顔を上げ、フランキー一家を見つめる。


「きっとアニキはおれ達が心配で島を出ようとしねェからよ…!そんで…みんなで話し合ったんだ…!!麦わらさん頼む!!!無理矢理でもいい!!!アニキを海へ連れ出してくれ!!!あの人元々海賊の子なんだよ!!」


必死のフランキー一家にルフィは笑って頷いた。


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連載当初はゾロより賞金が少ないようにと考えたんですけどね(汗)



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