「お前らウソップの事はちゃんとハラを括ったな!?これが"筋"ってもんだ…」
「わかった…」
荷物をまとめているとゾロが全員を見渡し、もう一度念を押す。
それにルフィとアスカ、ロビンだけが頷いて返事をし、ルフィは荷物を背負った後まだ項垂れているナミ達を振り返る。
「おい、いつまで落ち込んでんだ。最初からその額すげェぞ」
「うるせェ!!アスカちゃんは絵じゃなくて黒潰しだったのに何でおれだけ絵なんだよ!!!!これのどこがおれだ!!?あァ!!?」
「そんなもんだぞ、お前は…」
「くぁwせdrftgyふじこlp…!!!」
「言葉にしろ、わからねェ」
初めての手配書で7700万はすごい。
アスカでさえ最初は1500万だったのだ。
しかしサンジが落ち込んでいるのは額の問題ではない。
写真入手失敗も別に構わない。
……構わないが…どうして似顔絵なのかという事である。
アスカの時は黒く塗りつぶされただけだというのに…自分は似顔絵…似ていない似顔絵…サンジはこの世の理不尽さを味わっていた。
アスカの場合、知り合いの某お姉さんが『こんなへんてこな顔が冷酷ウサギなはずありませんわ!!却下!』と権限を振りかざし黒塗りにさせただけの事である。
勿論部下たちは『えっ…知っておられるんですか?』と問えばそのお姉さんは『いいえ?でもこんな顔じゃない気がしますの。もっとこう…可愛いと思うんですの!!』と本気で惚けているのかボケなのか…とにかく我を通してアスカは黒塗りになっていたのだ。
手配書を見て激しく主張するサンジにゾロは冷たい一言を放つが、ゾロの言葉にサンジは言葉にならない怒りの言葉をゾロに上げる。
そしてその怒りは悲しみとなり床に沈んでいった。
「笑われるんだ…世界中のレディーから…」
「ダマされた…町の雑誌記者だって言ってたのに…可愛く撮れているからそれはいいけど…とうとう私も賞金首か…」
「あの男、海軍関係の人だったんだ」
ナミもついに賞金がかけられどんよりと落ち込んでいた。
アスカはもう慣れたのか諦めたのか…賞金が上がった事を海賊として喜ぼうとポジティブシンキングでいこうと開き直ったのか、もう嫌な顔せず写真付きになった新しい手配書を見ていた。
格好からして水着姿なのは間違いなく、あの記者は海軍関係だったことが今になった明らかとなる。
その脇でチョッパーが抗議していた。
「おれだって海賊だぞ!!ちゃんと男らしく戦ったんだぞ!!!もの申すぞ50ベリー!!!」
「まー次頑張れよ!」
「急ぐんだわいな!アニキが待ってるわいな!!」
ペット扱いもそうだが何より賞金の少なさにチョッパーは怒りまくっていたがすぐルフィに軽く流されてしまった。
モズとキウイに急かされルフィ達はフランキー達と新たな船が待つ場所へと向かった。
その場所は廃船島で、もう使われることのない木材が散乱していた。
「アーニキ〜〜!!」
「呼んできたわいなーーー!!」
「ん?……来たか」
キウイとモズの声に眠っている面々で目を覚ましたのはアイスバーグだけだった。
他は疲れと徹夜もあってか、中々目を覚ますことなく目を覚ましたアイスバークはゆっくりと体を起こす。
船の残骸の奥には大きな布で覆われているモノを発見し、恐らくそれが新しい船なのだろう。
「おお!でけェのがあるぞ!!」
「あれかー!!」
フランキーに呼ばれたため、フランキーの名を呼びながら彼を探すも、ルフィ達に姿を見せたのはアイスバーグとルフィ達の声で先ほど起きたパウリー達だけだった。
「来たな…あいにくフランキーは外していてな…だが船は出来てる。…俺が代わりに見せよう…この船はすごいぞ!図面を見た時目を丸くした。あらゆる海を越えて行ける…この船なら世界の果ても夢じゃねェ…フランキーからお前への伝言はこうだ麦わら…」
「早く見せてくれーーーっ!!」
「『お前はいつか"海賊王"になるんなら!!この"百獣の王"の船に乗れ』!!」
ルフィに急かされ布を引っ張り新しい船を見せる。
布が取られ姿を現したのは、メリー号よりも大きい船だった。
「うおーーーっ!!!でけーー!!かっこいい〜〜!!色々飛び出しそ〜〜〜!!」
「うおおコレくれるのかーー!!?」
「へぇ…メリーの2倍はあるな!」
「おっきな縦帆!!"スループ"!!?」
「キッチン見せろ!!キッチン!!!」
「立派な船!」
「あの船首、かわいい!」
各々目を輝かせてその新しい船を見上げて感想を述べた。
アスカはまず飛び込んできた船首の部分に目を奪われた。
ロビンがお花かと聞けば、返ってきたのはライオンだという。
どっちにしろ可愛いと思っているアスカからしたらどんな物を参考に作っても可愛くみえているため問題はない。
船に上がれば、芝生が敷いてあり、ルフィがゴロゴロと転がって大喜びしていた。
サンジもついに念願の鍵付きの冷蔵庫が装備されているキッチンを見てサンジは居ないフランキーにお礼を言っていた。
芝生や中を見て大喜びするルフィ達をアスカは目を細め自然と笑顔になって見つめていた。
ルフィは下にいるアイスバーグにフランキーの事を聞くために手すりから顔を出す。
「なァ!アイスのおっさん!!フランキーはどこだ!?お礼も言いたいのにっ!!」
「…もうお前らに会う気はねェらしい。麦わら、あいつを"船大工"として誘う気なのか?」
「うん!よくわかったな!!おれあいつに決めたんだ!船大工!!」
「それを察したようだ」
「イヤって事か…?」
「その逆だ。面と向かって誘われたら断る自信がねェのさ」
ルフィの言葉にアイスバーグは首を振って違うと言う。
「ンマー、おそらく本心は…おめェと海に出てェのさ…今まで大切に暖めてきたこの"夢の船"を託す事で充分わかるだろ?フランキーはおめェらの事を心底気に入っちまったんだ…だがあいつはずっとこの島にいなきゃならねェって"義務"を自分に課してる…」
「義務?」
「おれに言わせりゃすでにバカバカしい執着だ。お前らがもし…本当にあいつを連れてく気があるんなら手段を選ぶな。力尽くで連れてけ…それがあいつを解放できる唯一の手段だ」
「ムリヤリ?そんなんでいいのか!?」
驚きを見せるルフィにアイスバーグは笑顔で頷く。
そしてルフィはさっそくサンジ達を呼び、フランキーを連れ去る計画を立て、ルフィ達は街へと向かった。
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