ルフィ、サンジ、ゾロ、チョッパーがフランキーを連れて行こうと船を降り、町へ消えてから数十分…
フランキーは何故かパンツがない状態で飛んで木片に落下していった。
「なにこの状況…」
「よっと!…はー!楽しかった!!」
「ちょっとルフィ、何あれ…」
「ん?フランキーだ!!」
「うん、まぁ…そうだね……」
戻ってきたルフィにアスカはフランキーを指差すも全然説明してくれないルフィに諦め、前を向く。
ナミはパンツのないフランキーが突如降って降りてきたのに唖然としていたが、ハッとなり『アスカ!見ちゃダメ!!』と傍にいたアスカの目を手で覆って隠す。
「フランキー!!」
「!?」
ナミの言葉にアスカは『いや、そこまで純情じゃないんだけど』と思ったが言ったら言ったで猫科の事をぶり返されるのも嫌だし、小さい頃見飽きるほど見たことも説明しなければならないので面倒でいうのをやめた。
起き上がったフランキーは船に戻っていたルフィに名を呼ばれ振り返る。
そこには海パンを高々と上げはためかせているルフィの姿があった。
「船!!ありがとう!!最高の船だ!大切にする!!!」
「ああ…お前らの旅の無事を祈ってる…」
「このパンツ!!返して欲しけりゃおれ達の仲間になれ!!!」
ルフィの言葉にフランキーは口を閉ざした。
町からはフランキーへの抗議の声が響いていた。
「バカいえ…パンツ取ったぐらいでおれを仲間にできると思うなよ!!」
「ん?」
フランキーは大事なところを隠す事もなく腕をあげ、両手についていた星を引っ付かせ、見せるように上に上げる。
その背後には高波が岩を叩きつけているように見え、背後にも『なんのその男は裸百貫の波に向かって立つ獅子であれ』とデカデカと書いているように見える。
「甘かった…!!なんて気が強いんだ!!あいつ!男の中の男だ!!!」
「ただのド変態でしょうが!!!」
ルフィは何故かそれを見て感動していたがナミにツッコむ。
そのナミのツッコミにアスカもまだ目隠しされながらも同意して頷く。
「手荒でよければ手を貸しましょうか?」
「?」
黙って見ていたロビンは前に出て構え、"二輪咲き・グラップ"でフランキーの大事なところを力の限り握り閉める。
フランキーから悲痛な悲鳴が上がり、同じ男であるルフィとチョッパーが青ざめ、目隠しされているアスカは状況が飲み込めないがなんとなく察しがついていた。
「おいロビン!男のまま仲間にしたいんだよ!!取んなよっ!!!」
「見てるだけでイテテテテテ!!!!」
「"宝"を目前にした海賊に『手を引け』と言うのなら…それなりの理由を言って貰わなきゃ引き下がれないわよ」
男の大事なところを握り締めて潰す勢いのロビンは微笑みながらもっともらしい事を述べる。
「ぐおあーーーー!!だ…!だからこの島にいてェんだよ!おれァ!!お…お前らにゃ…感謝してるさ…!!したってしきれねェほどにな…!!!」
フランキーは痛みで気絶しそうになりながらもルフィ達の誘いを断ろうと必死である。
「一緒にいってやりてェが…おれにはここでやらなきゃならねェ事がある!!だから船を贈ったんだ!!!…そもそもおれは船大工をやめた身だ!!だからそいつはおれの造る生涯最後の船になる!!念願だったんだ…それこそが"夢の船"だ!!」
「待て…フランキー」
「!」
痛みに耐えるフランキーをアイスバーグは声をかける。
フランキーはゆっくりと痛みと戦いながら顔をアイスバーグへ向けた。
「コイツはまだ――お前の言う"夢の船"には成ってねぇハズだ」
「…………!!」
アイスバーグの言葉にフランキーは子供の頃話した自分の夢を思い出した。
まさかアイスバーグが思えていたとは思わなかったフランキーは目を丸くする。
「……!!やりてェ事が変わったんだ…!!」
「やりてェ事…!?それは違う…お前が今この島でやってる事は"償い"だ……!!」
「!」
「あの日トムさんが連行されて行った事を自分のせいだとお前はまだ悔いているんだ…――だがトムさんはあの日すでにお前を許し、道を示していた…!!お前が裏町のチンピラ共を纏め上げた事も、賞金稼ぎを名乗り『略奪者』達からこの島を守っていた事も…全てはトムさんが愛したこの"水の都"を守り抜くというせめてもの罪滅ぼし…旗からはとてもそうは見えねェだろうがな…」
「…!!見えねェだろうよ…そんなつもりは毛頭ねェ!!」
フランキーはふらつきながらも立ち上がりアイスバーグを睨む。
アイスバーグは表情を変えずフランキーを見ていた。
「大好きな船作りもやめて自分を押し殺して生きてきた…これからもずっとそうするのか!?――たとえトムさんが許しても、おれがお前を許してやっても…何も変わらねぇんだろうな…」
「………!!」
「もういい加減に…!!自分を許してやれよフランキー!!!……もうてめェの夢に…生きていいだろう…?」
アイスバーグの言葉にフランキーは痛みからか、涙を溜め泣き出そうとするも突然降ってきた何かを避ける。
「……!!何だァ!!?」
砂煙が収まり姿を現したのは1つのバッグだった。
壊れた階段に集まっていた町人達を押しのけ、現れたのはフランキー一家の面々だった。
「アニキィ〜〜〜!!!色々…!!勘弁してください!!!ホントにすいません!!どんな罰も覚悟の上です!!!…おれ達バカだから!!ねェ頭振り絞って一生懸命考えたんですっ!!!」
「ねェ頭で何考えたってんだよ!!!おれからパンツを奪う方法か!?アァ!!?おれを海賊にする方法か!!?でしゃばるんじゃねェよ!!おれの人生だ!!全ておれが決める事だ!!子分共に敷かれたレールの上を棟梁であるこのおれが喜んで歩けるか!みっともねェ!!」
「申し訳ねェ…!!でも少しぐらい考えたらダメですか!!?おれ達みてェなゴロツキを拾ってくれた"大恩人"の……あんたの幸せも考えたらダメですか!!?」
子分達の言葉にフランキーは衝撃を受けたように倒れる。
そんなフランキーにアイスバーグ達はふと笑みを浮かべた。
「…くくっ」
「どっちがバカらい?」
「どいつもこいつも…!!…い!!いっ!!痛でででで〜〜〜〜!!!ホ!ホギュア〜〜〜〜!!」
涙を溜めていたフランキーは急に痛み出し、暴れる。
「おォい!!ロビン!!加減してくれ!頼むから!!女になっちまう!!!」
「泣いてるぞ!あいつー!!」
「…………」
痛がるフランキーにルフィとチョッパーはまた青ざめた。
「ちきしょう!!ニコ・ロビン!!てめェ!!許さねェ!!!痛くて涙が止まらねェええ!!!」
ロビンは痛がってもがくフランキーに構えていた腕を解き、背を向けた。
「ん?アレ?お前何もしてねェのか?」
「ふふっ…私がやったのは初めの一回だけよ……ずるいわね…涙を痛みのせいして」
フランキーは心配する子分達にまた涙が溢れ手で覆う。
初めて出会った時からフランキー一家が出来上がるまでの思い出が一気に蘇り、フランキーは起き上がって座り込んだ。
泣き顔を見せず額に手を当てて俯く。
「…てめェらおれがいなくなって…生きていけんのかよ!!!」
「ウォーターセブンの裏の顔…!!おれ達…力あわせて立派に受け継いでみせますとも!!」
「安心してくれ!!」
「アニキ泣くなー!!」
「アニキーーー!!」
「たとえアニキがどんなに遠くへ行こうともおれ達ァ一生あんたの子分ですからね!!!」
その言葉にまたフランキーは涙が溢れる。
「ルフィーーーっ!!!」
フランキーが泣いていたその時、帰って来たゾロとサンジが慌てた様子で走ってくる。
「大変なコトになって来た!!」
「お前のじいさんが戻ってきたぞルフィ!!!向こうの海岸で攻撃態勢でおれ達を探している!!!」
「えぇ!?何で!?捕まえねぇんじゃなかったのか!!?」
「おれ達が知るかよ!出航準備急げ!!……うぉっ!!フランキー!!てめぇまだパンツはいてねェのか!!?」
走って来たゾロ達の言葉にルフィ達は驚き、ルフィは隣に居たアスカと顔を見合った。
アスカはサンジ達の言葉でナミの手を放してもらったのだ。
サンジがまだパンツを穿いていない無防備なフランキーに驚く。
それにパンツを返していないと気付いたルフィが海パンをフランキーに投げて返す。
「あ……返す!!」
「!」
「さァ乗れよフランキー!おれの船に!!!」
手すりに乗り手を腰に当てて偉そうに言うルフィにフランキーはサングラスをかけ、笑みをもらす。
「…へへへ!生意気言うんじゃねェよ!!ハリボテ修理しかできねェド素人共め!これだけ立派な船に大工の一人もいねェとは船が不憫だ!仕方ねェ!世話してやるよ!!おめェらの船の『船大工』!!!このフランキーが請け負った!!」
フランキーが仲間になり、ルフィ達は喜ぶ。
子分達は別れの涙を流して去っていくフランキーの背中を見送った。
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