(206 / 293) ラビットガール (206)

アスカに抱えられながら逃げ切った4人はホグバックの屋敷へ入っていく。


「ごめんくださーーーーい!」

「何だこの屋敷…真ん中がトンネルになってるぞ…向こうには中庭が見える」

「留守なんじゃねェか……?」

「それも困る…引き返したらゾンビよ?」

「でもアスカなら逃げ切れるんじゃないか?…ん?…おい、見ろ…奥で明かりがついたぞ…明かりっつうより…スポットライトだこの古井戸の…」


ウソップの言葉に4人は古井戸に近づくとその中から1人の女性が現れた。


「いらっしゃい」

「「「ギャアアアアアアアア!!!!」」」

「うわ…傷だらけ…」

「一枚 二枚 三枚 四枚 五枚 六枚 七枚…」


突然女性は手に持っていた皿をウソップだけに集中させて投げてきた。
その皿は見事にウソップに当たり、砕けていく。


「えーーーーっ!!?何だ何だ!皿を投げて来るぞ!!あの女!!」

「いでェ!なんかおれが狙われてねェか!!?」

「ええ…そうよ…あんたは屋敷に招待できない……そこの3人は入っていいわ」

「「え?何で?」」


首を傾げていると女性は再び皿を投げつける。


「あんたは行っておしまい!!!八枚!!九枚!!」

「ぐわーーーー!!!」

「もういい!待ていっ!!1人くらい特例で構わねェぜ!!シンドリーちゃん!!」


パリン、パリン、と割れる皿攻撃がウソップが襲われていると、扉が開き一人の男が姿を現す。
その声に女性は皿を投げるのを止め、古井戸から出る。


「驚かせて悪かったお前ら!!この女は昔 婚約していた大富豪の主人の愛を試す為に主人の宝物の十枚の皿を全て叩き割った所婚約破棄され顔にハナクソをつけられて追い出されたという不幸な過去を持つ皿嫌いの使用人シンドリーちゃんだ!!」

「いや…どうでもいい…」

「そして紹介が遅れた!このおれは世にも名高きドクトル・ホグバック!!通称"天才"だ!!フォスフォスフォス!!」

「十枚!!」

「ギャーーーー!!!」

「ウソップ〜〜〜〜〜!!!」


ホグバックが話していたがシンドリーが最後の一枚をウソップに投げ、ウソップは倒れてしまう。


「ちょちょちょっと!!シンドリーちゃん!!もういいって言ったのに!!言う事聞いてもらえないとおれ立場ないぜ!!」

「皿なんてこの世から消えてしまえばいい…」

「わかる!すげェわかるがおれ今喋ってたじゃねェかっ!!」

「チョッパー…アレがお前の言ってた…」

「ド…ドクトル・ホグバック!!本物〜〜!!?」

「なんかマヌケっぽいわよ?」

「というか自分で天才とか言ってる時点でバカなんじゃない?」

「クラッ!ナミ!!アスカ!!!」


想像を斜め上にずれたホグバックにウソップは呆然としていたが、隣のチョッパーは憧れフィルターが働いているのか、目がキラキラしていた。
そしてバカにするナミとアスカに怒りだす。


「じゃあ話は中で…今日は特例。4人とも入っていいわ…いらっしゃい」

「そ!そうそう!!おれの屋敷へ入れっ!!」

「何でおれがダメだったかわからねェが…とにかく入れてもらうか…」

「そうね、外のゾンビよりマシよ」

「というか疲れた…」

「あ…まだおれ…」


シンドリーに案内され4人は入っていく…ホグバックを残して…


「まだ…おれが……」







4人はシンドリーの案内で屋敷内の食卓へと座る。


「フォス!フォス!フォス!フォス!!よく来たな!!我・が・屋敷へ!!全く汚ねェナリをした奴らだな!ここへ何をしにきた!!」


何とか立ち直って4人より少し遅れてやって来たホグバックが話を進める。
ナミはまず念願だったというチョッパーへ目をやる。


「話は色々あるんだけど…まず…」

「…おれは後でゆっくり話を聞かせて貰うよ!」


遠慮するチョッパーにナミは頷いてホグバックへ顔を向けた。


「…墓地でゾンビに襲われて私達ここへ逃げ込んで来たの」

「ゾンビか……」

「他にも目を疑う様な生き物をたくさん見たんだ…この島一体何なんだ!?住んでるあんたなら何か知ってるだろう!?」


ウソップは手を上げてホグバックに問うとホグバックは驚いた顔せず淡々と答えた。


「そうか…襲われたのか……よくここへ無事に辿り着いたな…何よりだ…質問の答えならこうだ!おれはあれらが何かわからねェからここに住んでる…」

「!?」

「じゃあ!ドクトルは今ここでゾンビの研究をしているのか!!?」


チョッパーの言葉にホグバックは頷く。


「いかにも!!確かにゾンビと聞けば人は恐怖する…しかし"死者の蘇生"と言い換えるならば!!」

「………」

「そりゃあ全人類にとっての永遠の"夢"じゃねェか!!誰しも身近に生き返って欲しい人間の一人や二人いる筈だ…!!しかし人の生死を操ろうなど神をも恐れぬ邪道の医学…!!だからおれはこっそりと世間から姿を消しこの不思議な島で研究を続けている」

「そ!!そういう事だったのか!!でもその研究は成功すれば喜ぶ人は世界にいっぱいいると思うぞ!!おれは応援してるぞ!ドクトル・ホグバック!!」

「柔軟だな…ありがとう!ドクトル・チョッパー!」

「え〜〜〜っ!?そ…そんな!ドクトルなんて言われても嬉しかねーぞ!!コノヤローが!!」


憧れの人物に褒めてもらいいつもの照れ隠しをするチョッパーはふと目的を思い出し、色紙を取り出す。


「サ…サイン貰ってもいいかー?」

「ああ いいぜ」

「後で研究室を見せて貰ってもいいかー!?」

絶対に研究室は覗くな…!


サインを貰い研究室も見せてもらうようお願いしたチョッパーだったが、ホグバックは恐い顔をし断る。
余りの恐さにチョッパーは何度も頷いていた。
するとシンドリーがプリンを持って部屋へ入ってくる。


「プリンをどうぞ」


ベチャッ、とプリンを手掴みで皿なしのテーブルに置くシンドリーに目を丸くする。


「え〜〜〜〜〜っ!!?ちょっとシンドリーちゃん!!プリンくらい皿にのせてくれよ!叶わねェのか!?この願い!!」

「世界から皿なんてなくなればいい。」


ホグバックはこういう時のためテーブルクロスを死ぬほど洗っているからと食べ始め、それにウソップとチョッパーが続く。
ナミがスプーンを求めるが、アスカは初めから食べる気はなかったのか、プリンには見向きもしない。


「お風呂の準備したわよ…あんた達汚いから入ればいい」

「え…お風呂!?」

「どうしたの?アスカ…」

「え…いや……」


風呂と聞き、驚くアスカにナミは首を傾げる。


「そのお風呂って、個室ないの?」

「個室は一応あるが…」

「そっちに変更できない?」

「なんだ、大浴場きらいなのか?なら構わねェーせ?」


ホグバックは嫌な顔せずアスカの要望を受け入れ、シンドリーに準備させる。
シンドリーが出て行ったあと、プリンをすすっていたウソップが何かを思い出し顔をホグバックへ向ける。


「そうだ、おっさん…おれはどうでもいいんだけどよ…おれ達より先にここに変なガイコツが来なかったか……?」

「ガイコツ?」

「あー…アフロで…ノッポで…妙に明るくて…まァ、ガイコツが動いて喋ってる時点で充分変なんだけどな」

「……………」

「何か知らねェかな…?」

「い… いや知らねェ」


ホグバックは汗をかきながら答える。
幸いにもホグバックもプリンをすすっていたので表情はバレなかったが、何かを知っているようだった。
―――プリンを食べ終わった後は、シンドリーが用意した風呂へ向かう。

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