「海楼石ィ〜〜!!?」
ウソップ達はナミとアスカが着替え終えたのと同時にさっさと逃げようと暗く長い廊下を歩く。
アスカはぐったりとしていたが、歩けるまで回復する。
「そう、アスカの首についているのは多分海楼石よ。」
「でも何でまた…」
「きっとアスカを最初から狙ってたのよ!!ストーカーね!!気色悪い!!」
アスカの首についている首輪をチョッパーが触れさせて確認したとナミは頷く。
アスカはあの透明人間に海楼石の首輪を付けられたらしく、能力が使えない。
その上度数が強いのか、歩いたり走ったりするのに精一杯だという。
首輪と言ってもごつくなく、デザインが凝っていて傍から見たら首輪とは見えない。
「いい?もしまた変態が現れたらアソコを切り落としなさい!」
「何言ってんだお前ーー!!」
「躊躇なんてしてたらまたあのクソ猫科の変態みたいに犯されるわよ!!?さっきだって指を入れられたんでしょ!!?いいわね!?男なんて急所を蹴っただけで引くんですもの!!!アレを切り落とせばきっと犯す気を失くすわ!!!」
「やめてあげてーーー!!同じ男としてソイツが可哀想!!」
「
OK」
「オッケーじゃねェーーーー!!!」
チョッパーがナミ達にホグバックが疑われて不機嫌になっていると、プリンを食べた食卓へ戻ってきた。
だがそこには誰もおらず、薄暗くて静まり返っていた。
「で…何で真っ暗なんだ?」
「ここ、さっきの部屋よね?」
「ド…ドクトル〜〜〜!!どこ行ったんだ〜!?」
2人を呼んでも返事1つなく、ナミ達の声はただ屋敷に響くだけだった。
「…誰も居ない…電気も消されてる……」
「シ…シンドリーちゃーん?」
「お風呂いただきました――…」
「お2人はもうお休みになられましたでし…」
2人を探していると燭台にぶら下がっていた。
「ヒルドン!てめー…!!さっきはよくも墓場に置き去りにしやがったな!!?」
「面目ないでし…馬達と共に用を足しに行き目を離したスキに…」
「ウソばっかり!!あんた達島中のどいつもこいつもグルなんでしょ!!」
「そんな人聞きの悪い事を言わずに…こちらへどうぞ寝室へご案内致しまし…」
ヒルドンは燭台から階段先の二階へ降り4人を寝室へ案内させるよう先導するが、ナミ達は動かなかった。
「また性懲りもなく"ご案内"だと…!?」
「そこが本当の冥界への入り口かしら?せっかくだけど私達今すぐお暇させていただくわ」
「………」
「えー!!?ちょっと待って!もう少しドクトルと話させてくれよ!!」
着いていこうとするどころか出て行こうとする4人にヒルドンは困ったように眉を下げる。
「オホホホ!フラレたわねヒルドン」
するとどこからか女性の声が響いた。
「放っといて欲しいでし…ちゃんと部屋へお連れしまし」
「もういいんじゃない?このコ達色々と気づき始めてるわよ…ヘマやって逃げられる前に…」
「何で…絵が…」
声のする方へ目をやるとそこには他の絵画と同じように傷だらけの女性の絵画が生きているように喋っていた。
「帰さないわよ!!ボーヤ達ィィ!!!!」
「ギャアアアアアアア!!!」
「うわァ!!チョッパーーーー!!」
「絵の中からゾンビ!!?」
その絵画から這い出てくるように女性が出てきて近くに居たチョッパーを捕まえて絵の中に引きずり込もうとしていた。
「ギャアアアア!!」
「!アスカ…!!」
チョッパーを捕まえていた女性の絵の頭にアスカが近くにあったイスを持ち上げて力の限り叩きつけた。
気絶した女の絵の手から解放されたチョッパーは号泣してアスカに抱きつく。
「ありがどーーー!!アスカ〜〜!!!」
「ケガがなくてよかった…」
ハァハァ、と息を上げてチョッパーの背中を撫でてあげるアスカだが、自分の力が海楼石のせいで弱まっているのに眉を潜める。
イスを叩きつけるだけでもう息が上がっていた。
「ブヒヒヒ…!」
壁の上に飾ってあった豚の顔の飾りが組んでいた腕を離し、下にあった剣をウソップに投げる。
「うおっ!!」
「この部屋のゾンビ部長はこの『ブヒチャック』様だ!!この部屋から一歩たりとも出られると思うな!!ブヒ!」
「壁掛け剥製が喋った!!!」
ブタが喋った事に目を丸くしていると、下の敷き皮が動き出す。
「イテテ!イテテテ!!」
「何!?床の敷き皮が…!!」
「………ッ!!」
「誰だ!背中に剣を刺すのは!!」
「わあっ!」
「ぎゃあああああああ!!!ナミの言う通りだ!この屋敷は…ソンビだらけだったんだァ!!!」
熊の敷き皮が高く盛り上がり、ウソップは咄嗟に燭台にしがみ付く。
ナミとアスカは転げ落ちるように下におりたのだが、力が出ないアスカはナミのように上手く着地できず転がってしまう。
「痛…っ!!」
「オイ燭台に一人ぶら下がってるぞ!!」
「叩き落とせ敷きグマ!」
「落とせ!!」
絵画達の言葉に敷きグマは燭台にしがみ付くウソップに向かって手を伸ばすが、ウソップはろうそくを手に取り敷きグマへ投げる。
「ろうそくだヤベー!!あちゃちゃ!!腐れ熱ィ!!」
「火だ!!コエーーー!!消せー!!」
敷きグマに火が移り、必死に手で叩いて火を消そうとし回りの絵画も火を恐れていた。
「おめェらの弱点はわかってんだ!!この!この!この!!全員くらいやがれーーーっ!!!」
ウソップが燭台のろうそくを抱え、全部下に投げて炎を広げる。
「危ねェ!!火事になるー!!火を消せー!!」
「チョッパー!!ナミ!!アスカ!!扉へ!屋敷を出るぞ!!」
「うん!!」
「出るー!もういいー!!」
「わかった!」
ウソップがカブトを構えながら扉を開けるナミを援護する。
「早く開けろ!」
「こんなとこもうたくさんだァ!!」
「?…??」
「ナミ?」
「何してんだナミ?」
「それが…」
「まさか…」
扉を引いても押しても動かずナミは涙目にチョッパーたちを見る。
「開かないーーーーっ!!!閉じこめられてるーーー!!」
「よくも…」
「もう追いつかれたっ!!」
扉にもたついていると敷きグマが恐ろしい顔をしながら大きな体を揺らし近づいてくる。
咄嗟にウソップが敷きグマの近くにある壁を壊し、逃げる事に成功するが化け物達のいる部屋に戻ってしまった。
「あ…危ねェ!!とにかくこの部屋を出ろ!!別の部屋へ!」
「逃がさねェぞー!待てェ!!」
「うわァ!!」
絵画に追われ4人は暖炉の中に入ってしまい、追い詰められてしまった。
「うわァ!ここ…暖炉の中だよっ!!」
「ダメだ!もう逃げ場が…!!」
襲い来る絵画達に悲鳴を上げていると暖炉の置くの壁が4人の体重で回転し4人は姿を消す。
「おい!あいつら消えたぞ!!?暖炉で消えた!!」
「しまった!!隠し通路が開いたんだ!!」
「ホグバック様の研究所へ行かれていまうぞ!!」
「追え!!」
絵画達も4人を追うように壁に手をやるも、向こうから押さえているのかビクともしない。
「……ブヒヒ…慌てる事はねェ…屋敷中どこへ逃げても我らの仲間"びっくりゾンビ"がわんさかいるんだ…ブヒ!」
ブヒチャックが不敵に笑う。
その頃4人は…
「「あああああああ!!!!」」
「廊下はダメよ!絵のある場所はダメ!!どっか……!…あの部屋へ!!」
廊下にあった絵画達に追われ必死に走っていた。
目の前の部屋に飛び込むように入るとそこには笑顔の女性が視界一杯に写る。
「うわ!また絵…!!………ハァ…ハァ…いや……写真か…よかった…ゾンビじゃねェな…」
「これ…あのコじゃない…?お皿が嫌いなシンドリーちゃん……何?この部屋」
4人を向かい入れたのはゾンビ達ではなく普通の絵画だった。
辺りを見渡すとシンドリーの絵画が数多く飾られている。
「改めて見るとキレイな人ね…使用人のシンドリーちゃん…」
「本人の部屋か…?」
「自分の部屋にこんなに自分の写真を飾る?」
「でもあいつはよ顔にも体にもすごい縫いキズがあったぞ?」
思い出すのは無愛想な顔に縫いキズ。
それは顔だけではなく体中縫いキズが施されていた。
この部屋にある写真にはその傷が見当たらない。
するとナミが部屋にあった新聞を手に取る。
「ビクトリア・シンドリー……」
「ん?」
「ずいぶん有名な舞台女優だったみたい…見てこれ全部彼女に関する記事よ…」
「舞台女優…以前もどっかで使用人してた様な事言ってなかったか?」
「うん…皿割って主人に追い出されたとか言ってたよね…」
「これを見る分にはそんな経歴考えられないわね……元々貴族の家の生まれみたいだし…子供の頃から人気者で………え…」
新聞を読んでいたナミは目を丸くする。
「どうした?」
「舞台から転落…彼女10年前に事故で死んでる…」
「え〜〜!?なななな…!何言ってんだお前っ!!生きてたじゃねェかよ!!死んでやしねェよ!!」
「でも転落死って新聞で書いてるんでしょ?」
「……その死亡記事が本物なら…あいつは一度死んで生き返った事になるぞ!?……この島にいるのは…本物のゾンビなんだ!!おれ達が見たのはみんな…蘇った死者なんだ!!」
アスカ以外の3人が悲鳴を上げ、ウソップが後ずさると何かに躓きこける。
そのウソップが躓いたものを見たナミは瞬時に目をベリーにした。
「ちょっとそれウソップ!宝箱じゃない!?」
「変わり身早ェーー!!」
さっきまで悲鳴をあげ怯えていたのが一転し、目を輝かせるナミにチョッパーは驚きを隠せないでいた。
そしてその宝箱を開けると財宝ではなく、ゾンビが飛び出す。
「残念〜〜っ!!財宝置き場はここじゃねェよ〜〜〜っ!!」
「「「ギャ〜〜っ!びっくり箱〜〜〜〜!!」」」
3人は必死に部屋から出て、廊下に出たゾンビ達からも必死に逃げ惑う。
それをアスカは怯えた素振りも見せず3人が走ったためそれについていく。
能力を封じられ、力が使えなくてもアスカはアスカだった。
そんな4人が逃げた後をカランコロンと下駄を鳴らしゆっくりと追いかける1人の陰が廊下に浮かび上がる。
「お、用心棒…」
「おお…アンタか…」
「屋敷内に迷い人の様ですね…!ヨホホホホ!問題ありません!!私が捕らえましょう!!」
その口調はどこか聞いたことあるのだが、用心棒が追ってきている事など知らず4人は逃げ続ける。
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