(214 / 293) ラビットガール (214)

アスカが花嫁となりつつある中、ウソップ達はサニー号へと急いだ。


「サニー号があったわ!」

「成程ここへ通じてたのか…上へ行けばいきなりボスの部屋だったとはな階段が下ろせる様になってる…」


ナミがサニー号を見つけ指差す。
サニー号へ上がると荒らされ、足跡があちらこちらにある。


「おい!ずいぶん荒らされてるぞ!!」

「ゾンビ達の仕業ね、ドロの足跡だらけ…」

「えっ!?じゃまだいるかも…!!」


ロビンの言葉にチョッパーは震えながら周りを見渡す。


「確かに荒れてんな…別にまだ取るもんなんてねェのに…」

「ゾンビいないか…」

「まず肝心のあいつらは……見当たらねェな…」

「おーい!ルフィ〜〜!ゾロ〜〜!サンジ〜〜!!」

「いた!3人共ダイニングにいたわ!」


外にはいないのか、どこ探してもルフィとサンジとゾロは居ない。
転がっていないかと探してもおらず、ナミが見つけたとダイニングへ4人を呼ぶ。
そこには洗濯バサミや棒やらでデコレートされている3人がイスに座らされていた。


「完全にゾンビ達にデコレートされているが…」

「……無残ね」

「おォい!!てめェら起きろォ!!!寝てる場合かァア!!!!事態は深刻なんだぞ!!」


フランキーが3人を起こそうと蹴る殴る銃を放つで乱暴な起こし方をするが、3人は眉一本動かすことなく目を覚まさない。


「……起きねェ…」

「起きないわね…」

「神経あんのか?コイツら…仕方ねェどいてろバズーカで…」

「いや…大丈夫だ…」


バズーカを構えるフランキーだったがウソップが止める。
そして息を吸い…


「美女の剣豪が肉持ってやって来たぞ!!!!」

「美女!?」

「肉!?」

「剣豪ォ!!?」

「ダメだコイツら!!!」


ウソップの言葉に3人は目を覚ます。
その起こし方に突っ込むものが居ないがまぁ、起きたらいいのだろう。
ルフィは寝ぼけているのか、目の前に居たフランキーに殴りかかろうとしていた。


「このヤロ!おれの影を…」

「静まれ!!ここにモリアはいねェ!!」

「ん?ここは……」

「サニー号だ。」

「サニー号!?何で元の場所に…」


戻ってきた覚えのないゾロ達は首を傾げるが、足元にある影がない事に気付く。


「イヤ…でも夢じゃねェ…影がなくなってる…!!妙な感じだ…」

「おい!大変だ!!一大事だ!!!食い物がなんもねェぞ!!」

「!」

「あれだけ大量に積んだ食糧がカラだ…保存食を残して全部持ってかれてるぞ……」


食糧庫が空なのにルフィは騒ぎ、唯一残っている保存食を食べながら涙を流す。


「チーズや干パンじゃ食い足りねーーっ!!肉ーーーーー!!!」

「まったく面目ねェ…油断しすぎてた…!」

「海賊弁当も失くしちまった〜〜〜…チーズじゃダメだ!チーズじゃ!!」

「ところでアスカちゃんがいねェ様だが……?」


サンジは部屋を見渡すが、サンジが心配していたナミやロビンの姿に無事を確認が出来たのだが、アスカがいない事に気付く。
アスカの不在に怪訝としていたサンジにウソップは全てを話した。
すると見る見るサンジの表情が険しくなっていく。


「連・れ・去・ら・れ・た・ァ!!?なぜ地の果てまで追わねェ!!!そいつはどこのどいつだ!?すぐにおれが行って奪い返してくる!!!」

「すまねェ!!でも追いかけ様のねェ状況になっちまって…!!とにかく話を全部聞いてくれ!!」


ウソップは暴走しかけるであろうサンジを押さえ、指を2本立てて見せる。


「いいか!これから取り返さなきゃならねェもんは大きく分けて二つだ!!」

「"めし"!"アスカ"!!…あと"影"もだろ?3つだぞ!!」

「おお…意外なもんがランクインしてた…ひとまず"アスカ"と"影"の話をさせてくれ!」


ウソップは得た情報をルフィ達に伝え、ルフィ達もウソップ達の知らない情報を交換する。







「んな……!!?け……け…!!結婚だとォ〜〜〜〜〜〜〜!!!!フザけんなァ〜!!!!クソ許さ〜ん!!!!」


ウソップ達の情報にサンジは船の手すりの腕に乗り嫉妬の炎を燃やしていた。


「アスカと結婚って勇気あんなァ……家事全然ダメだし恐ェーのに…!そんでおれが巨人!?ゾンビってそうやってできるのか!!」

「じゃルフィとあのコックのゾンビは確認済みってわけだな?ウソップ」


ゾロは確認するようにウソップに目をやるとウソップ、チョッパー、ナミは相手が七武海だと分かり震えていた。


「あ…あいつが"七武海"の一人だったなんて……!!」

「急に恐くなってきたおれ…!」

「私もよ…!」

「知らなかったのか?おめェら」


震える3人を見てフランキーは突っ込むが、3人にそんな余裕はない。
ルフィはゾロの影が入ったゾンビを知っていると言うが、多分本人がそのゾンビを見たら怒るであろう。
ウソップは復活し、なにやら作業をしていた。


「じゃあその3人のゾンビを探し出して口の中に塩を押し込めば影は返ってくんだな?しかしそんな弱点までよく見つけたな」

「弱点にしろ、お前らをまず救出に来た事にしろ、助言をくれたのはあのガイコツ野郎だ」

「えーっ!?ブルックに会ったのか!?」


ゾロの問いにフランキーはマストのイスに座りながら答え、ルフィはブルックに会ったと言うフランキーの言葉に顔を輝きだす。
しかしフランキーは目を伏せ、声を沈めて口を開いた。


「会った……会って…ヤボな質問しちまってな…いや…お前が初めにアレを仲間にすると連れてきた時ゃさすがに存在ごと完全否定したが…あの野郎…ガリガリのガイコツのクセによ…話せばなかなか骨がある。ガイコツなだけに…あいつァ男だぜ」


フランキーはブルックに会い、ブルックの心の奥を聞いた。
それは50年間置いてきてしまった仲間、ラブーンのことだった。
その話を聞いたルフィ、ゾロ、サンジ、ウソップ、ナミは唖然と聞いていた。


「ラブーン…」

「…………」

「うそ…それって…」

「あいつだ…」

「ホントかよ…」

「あいつって?」


唖然と呟く5人にチョッパーが首を傾げる。
それに答えてくれたのはルフィだった。


「ああ…おれ達知ってんだ…そのクジラ…」

「……!?何!?どういう事だ!!?」

「"偉大なる航海"の入口にある"双子岬"そこにクソでけェクジラがいて…世界を分かつ壁に頭をぶつけ吠え続けてた…『必ず戻る』と約束した仲間の海賊達を50年待ち続けてるってんだ…すでに海賊達は逃げ出したって情報もあったが…ラブーンはそれを認めず吠え続けてた……何とかルフィがその壁にぶつかる自殺行為だけはやめさせたが…あいつは今も生きてその岬で仲間を待ち続けてる!!」

「とんでもねェ話だ…50年も互いに約束を守り続けてたんだ…!」

「まさかあのラブーンが待つ仲間の一人が…あの…ガイコツだったとは…」

「こんな事ってあるのね……」


同じ約束をしたルフィ達はお互い見合いしみじみ呟いた。
その話を聞き、人の感動話に弱いフランキーは大泣きしだす。


「ヴォオオ〜〜〜〜!!骨もクジラも大好きだチキショーーー!!!」

「「「うるせェよっ!!!」」


豪快に泣かれる為、ゾロ、サンジ、ウソップは耳に指を突っ込みフランキーを怒鳴る。
ルフィはブルックがラブーンの待ち人で仲間にする事を決め、興奮したように声を上げる。


「うは〜っ!!ぞくぞくしてきた!!あいつは音楽家で!喋るガイコツで!!アフロで!!ヨホホで!!ラブーンの仲間だったんだ!!!おれはあいつを引きずってでもこの船に乗せるぞ!!仲間にする!文句あるかお前ら!!」

「文句言ってもあんたはどうせ仲間にするんでしょ?」

「ふふっ……そうね、もしあったら意見が変わるのかしら?」

「会わせてやりてェなァ!あいつ…ラブーンに!!」

「賛成だチキショーーーッ!!」

「おれもだコンニャローーーッ!!!おれもうガイコツ恐くねェっ!!」

「そんなわかりきった事より!!アスカちゃんの結婚阻止だ!!おれァ!!」


盛り上がるルフィ達をよそにゾロは黙って船を折り、スリラーバークへ戻ろうと歩いていた。


「ゾロ!!どこ行くんだ?」

「さっさと乗り込むぞ…奪い返す影が一つ増えたんだろ?」


ゾロの言葉にルフィは歯を出して笑う。


「しししし!!よっしゃァ!! 野郎共っ!反撃の準備をしろ!!!スリラーバークを吹き飛ばすぞォーーー!!!」

「ゆけーー!!」

「「おめェもだアホ!!」」


行きたくないウソップはサンジと同じく行きたくないナミに突っ込まれ、渋々戦闘準備をする。
するとスリラバークを見上げながらゾロは眉をひそめながら呟く。


「しかし…おれ達の影の入ったゾンビっての探し出すのは一苦労しそうだな…」

「それに…!!本当に!!ルフィのゾンビはとんでもねェんだぞ!!普通の巨人の2倍はあるんだ!お前らでも勝てるかどうか…!!」

「ゾンビなんて探さなくていいよ!おれのゾンビは見てみたいけどな」


ルフィは腰に手をやりながら平然とそう答え、ゾロ達はルフィに振り返る。


「何言ってんだ。おれ達ゃこのままの体じゃ二度と太陽の下へ出られねェんだぞ?」

「だってお前…あの時ゾンビのおっさんが言ってたろ?ゲッコー・モリアをぶっ飛ばせばみんなの影が戻るって!」


「…………!!」

「た…確かに言ってた……またコイツは核心を…」


核心を突くルフィにサンジが呟き、ルフィはまっすぐ上の建物を指差す。


「で あの階段登ったらモリアがいるんだろ?」

「うおっ!!確かに!」

「とにかくまー、おれはモリアをぶっ飛ばしに行くからよ!影はそれで全部返って来るからサンジ!お前アスカの事頼むぞ!」


幼馴染も大事だがひとまずボスであるモリアを倒さなければ日陰生活は免れないのでルフィはやる気数倍のサンジにアスカのことを任せる。
サンジはルフィの言葉に再び嫉妬と怒りの炎を纏い叫ぶ。


「当ったり前じゃアア!!!透明人間だか陶芸名人だか知らねェが霧の彼方へ蹴り飛ばしてやらァ!!!結婚なんざさせるかァ〜〜〜〜!!!アスカちゃんと結婚すんならおれを倒してからじゃボケエエエエ!!!!!!」

「言い忘れたがあの透明人間、風呂場でアスカの裸じっくり見てたぞ」

「あとやらしい事もしたわよ」

「ぅんぬァアアアアにィイイイ!!!?オーノーレーーー!!!!」


ウソップとナミの追加情報にサンジに纏う炎は大きくなりサンジは何かに憑かれたような顔をしていた。


「これ以上刺激してやるな…何かに変身しそうだ……」

「アスカの事は目の前で連れ去られた責任を感じてる…おれもサンジと一緒に行くぞ!第一"七武海"なんかともう二度と会いたくねェ!!」

「私も行くわ!私のアスカと結婚できるのはお金持ちでイケメンで地位と名誉があってアスカと私を一生楽な生活をさせてくれる人じゃないと許さないわよ!!!」

「おい、なんかそれ自分のためだろ…」

「しかも以前よりレベルアップしてやがる…」


サンジほどではないが、怒りの炎を宿すナミのアスカの将来の旦那候補条件にウソップとゾロが呆れながら突っ込む。
ブルックの方はフランキー、ゾロが応戦に行く事になった。


「アスカとガイコツさんの2極…!差し詰め解決を急ぐのはそこね…後は確かにモリア討伐が決着のカギ…」

「ほんじゃコレ、お前ら一袋ずつ持ってけ!」


ウソップが全員に投げ渡したのは1つの袋。


「ん?」

「おれ様特製!"ゾンビ昇天ソルトボール"だ!!」

「あァ…お前さっきコレ作ってたのか…さすがだな」

「だいたいな…!危機感のねェお前らに一言言っておくが!!この海がいくら深い霧に包まれてるとはいえ日の光が全く射さねェって保証はねェんだ!!今は夜中だから安全なだけさ!!つまり日の昇る"夜明け"が最悪のリミットだと思え!!」


ウソップの言葉にルフィは拳を握り、気合を入れる。


「確かにそうだな!夜明けまでメシ食えねェなんて最悪だ!!おれ達にケンカ売った事を後悔させてやるぞ!!ゲッコー・モリア!メシは倍にして返して貰うぞ!夜明けまでに!!」

「そうじゃなくて!!"影"奪回のリミットの話をしたんだよ!!!」

「アスカちゃ〜〜〜〜〜ん!!!!」

「海賊なんかにアスカは渡さないわよーーーーー!!!!」

「いくか」

「おお!」

「勝手にしろ…」


ウソップは忠告を聞くも心に留まらせないルフィ達に肩を落とし、みんなの後を追う。

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