(226 / 293) ラビットガール (226)

被害者達はくまにやられ、意識がない仲間に声をかけ続ける。
ローラは突然あらわれたくまを見上げ、拳を握る。


「ひどい仕打ちじゃないの!何年も暗い森でモリアの支配に耐えたっていうのに喜びも束の間…七武海がもう一人現れて私らを全員殺すって!?」

「汚ェぞ畜生ォ!今麦わら達がどれ程の戦いを終えた後か知らねェわけじゃあるめェ!!!」

「分が悪くても元気の余ってるおれ達が相手だ!!七武海が何だってんだ!!」

「お前なんてさっきのオーズやモリアに比べりゃデカくもねェや!!」

「いいから下がってろお前ら!!」

「!!」


刀を抜き、恐々だがくまを睨みつける被害者達にゾロが一喝しとめる。


「ご指名はおれだ!聞こえなかったのか……!!ケンカは買った…加勢はいらねェ…恥かかせんじゃねェよ……!!」

「!」


ゾロの言葉に被害者達は刀を納め、後ろに下がる。
黙って見ていたくまがゆっくりと口を開いた。


「なかなか評判が高いぞ…お前達…"麦わらのルフィ"の船には腕の立つできた子分が数人いるとな…」

「「「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ〜」」」

「一人残らず照れとる場合かァ!!!」


くまの言葉にゾロ・ロビン・アスカ以外が褒められ照れる。
それについローラが突っ込んでしまう。


「色々と騒ぎを起こしているんだ…知らず知らず名が揚がるのは……何も船長だけではない」

「おいゾロ!待てって!無茶だろ絶対!骨のズイまでボロボロじゃねェかよお前っ!!」

「災難ってモンはたたみかけるのが世の常だ言い訳したらどなたか助けてくれんのか?死んだらおれはただそこまでの男…!」


ゾロはとめに入るウソップをよそにくまに"羅生門"を放つ。
しかしゾロの刀はくまに当たらず岩を真っ二つにするだけだった。
後ろに気をやっていたゾロは目の前に現れた腕を上げるくまに気付き、咄嗟に避ける。
ゾロに向けて腕を伸ばし、仕掛けたくまだが避けられ、瓦礫に何かのマークが付いていた。
そのマークに首をかしげていると再びくまがゾロに手を向ける。
ゾロは素早く避けると後ろにあった瓦礫にまた同じマークのものが瓦礫を何枚もへこましていた。
避けたゾロだったがすぐ息が上がっていて、ウソップはハラハラと見つめている。


「見ろ!何もしてねェのに息が上がってる…!!」

「何なの!?アイツの能力って!ガレキについた"マーク"なに!!?」

「見ろ!!あの掌!!」

「んに…肉球!?」

「何で人間の掌に!?」


被害者達の指差す方を見るとくまの手のひらには肉球らしいものがあり、目を丸くする。
ゾロは"三十六・煩悩鳳"をくまに向けるもその肉球がゾロの斬撃を跳ね返り、被害者達の方へと放たれる。
ギリギリで避けることが出来たが、ウソップ達は斬撃を跳ね返した事に驚いていた。


「ゾロの斬撃を手で弾いた!!そんな事できるのか!?」

「それがてめェの能力か!あらゆるものを弾き飛ばすちから…!!」


睨みつけるゾロにくまはゆっくりと口を開ける。


「おれは"ニキュニキュの実"の…"肉球人間"…!」

「に……!」

「肉球人間!!?」

「何だその和やかさ!悪魔の実に"癒し系"ってあんのか!?七武海だか慈悲深いだか知らねェが…コイツもしかして大した事ねェんじゃねェ…」


フランキーの言葉はくまによって遮らされる。
くまはゾロの傍から姿を消しフランキーの前に現れ有無を言わせず肉球をフランキーの体に衝撃を与える。
フランキーは口から血を吐き、瓦礫に叩きつけられる。


「フランキーーーー!!!」

「"サイボーグ"フランキー…お前の強度はその程度か…?」

「もしかして…"大気"を弾いてるんじゃ…普通の大砲はフランキーに通じない筈!」


ロビンの言葉にくまはゾロの目の前に戻り足をあげ、瓦礫に突きつける。


「゙パッド砲"という……光速で弾かれた大気は衝撃波を生み、突き抜ける!………まったなしだ……」


くまはゾロに顔をあげ、"つっぱりバット砲"を連射する。
隙間なく放たれたバット砲にゾロは何とか避け、くまに刀を向けるが肉球に弾かれ瓦礫に叩きつけられる。


「ゾロ!!」

「斬撃ごと弾かれた!?」

「ハァ…ハァ… ゲホ…!コノ……!!」


手も足も出ず、思わず悪態を付いてしまうゾロの背後に一瞬にして回り込みとどめを刺そうとするも、サンジに顔を蹴られよろける。


「うおー!!サンジーーーー!!!」

「肉球でハジかれてねェぞ!頭蓋骨なんかバキバキだコノヤロー!!」

「てめェ余計なマネ…!!」


喜ぶのも束の間。
くまではなくサンジが足を押され痛み出す。


「おあああああ……!!!」

「!!?」

「"黒足の…サンジ"…お前がそうか…」

「サンジの蹴りでビクともしねェ!!!どういうこったコリャ…!」

「何だ!?コイツの固さ…!顔は鋼造りか!?」

「ひ…ひ…!!"火の鳥星"!!!」


今度はウソップが火の鳥星を放つが、肉球で弾き返されてしまう。


「"狙撃の王様"…大それた通り名だ……」

「うわああああ〜〜〜〜っ!!!」

「やはりこれだけ弱りきったお前達を消した所で何の面白みもない…政府の特命はお前達の完全抹殺だが…」


くまは両手を広げ、半透明の肉球を作り出す。


「何やってんだ?ありゃ…変な形の大気の層が見える…」

「どんどん縮むぞ」

「"肉球"で弾いて…大きな大気の塊に圧力をかけてるんだ……あんなに小さく圧縮されてく…!!」

「あれ程の大気が元に戻ろうとする力は……例えばものすごい衝撃波を生む爆弾になる……!」

「爆弾!?要するに爆弾作ってんのか!!?」


くまは大気を小さく手のひらで包み込む。


「お前達の命は…助けてやろう……そのかわり"麦わらのルフィ"の首一つ…おれに差し出せ」

「「「!!?」」」

「その首さえあれば政府も文句は言うまい」

「仲間を売れってのか…!?」


くまの言葉に一瞬喜ぶが、次の言葉にみんな表情を険しくさせる。


「さァ…麦わらをこっちへ」

「「「断る!!!!!!」」」

「………残念だ」


その場にいた全員がルフィを差し出すことを拒絶し、くまはその大気を叩きつけた。
大きな音が静かなスリラーバークの森に響き渡る。

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