(231 / 293) ラビットガール (231)

「人〜〜ん〜〜魚ほ〜〜う!!そう!全人類の憧れ人魚!!海の宝石!人魚!!そんな人魚におれは出会ったァ〜〜〜〜!か〜〜〜わウィ−なァ〜〜〜〜〜!!!人魚なんておれ初めて会ったよ!ケイミーちゃんて言うの?」


人魚と出会いテンションが上がったのはやはりサンジだった。
サンジはハイテンションでさっきからくるくると回っている。


「おめーココロのばーさんに会ったじゃねェかよ」

「スリラーバーク?いや恐かねェよ!今までで一体何が恐かったかって?…ゲフッ!!」

「すまねェサンジ!!アレはなかった事にしよう!!」

「あんたら失礼よ…」


ココロの姿を思い出しサンジは吐血してしまう。
吐血するほど嫌なサンジにさすがのアスカも呆れてしまう。
しかしその場に居なかったルフィはココロが人魚だというのを知り露骨に嫌な表情を浮かべ、ナミに殴られていた。


「まったく…この男共の人魚への願望ときたら…」

「でも可愛らしい人魚さんね」

「人間を恐がらないなんて珍しいね」

「あら、アスカは人魚さんを知っているの?」

「え?」

「今の言葉、そういう感じに聞こえたわ」

「えっと…パパに話を聞いて……ほら、パパって四皇だから…」

「そう…そうね。」


頭がキレるロビンに悟られないように心では冷や汗かきまぐりのアスカを見てロビンは少し間をおき頷いた。
とりあえず深く聞かないロビンに感謝しながらアスカは相変わらずのポーカーフェイスだったが内心ホッと胸を撫で下ろす。
アスカは直接人魚と関わりはないが、天竜人の奴隷時代に無理矢理ピラニアとサメとの鬼ごっこさせられる人魚達を見せられそれ以来人魚は人間を恐がるものだと思っていたのだ。
それはありがち間違いではないが、アスカはケイミーのような人魚を知り素直に驚いていた。
するとブルックがケイミーに近づく。


「いやー、私も人魚にお会いするの初めてですよ!…すいません、お金貸して下さい」

「何でだよ!!」

「ガイコツ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

「オラ!!!恐がらせてどうすんだ!!向こう行け!」

「頭も開きます!面白いでしょ?」

「面白〜〜い!!」

「受け入れ早ェな!」


ガイコツのブルックに驚きを見せるケイミーだったがブルックが頭を開け閉めするのを見て受け入れる。
その速さはウソップが突っ込むほどだった。


「ところでお前うんこ出んのか?」

「何を聞いとんじゃクラァ!!!」

「あ、うんこはで…」

「出ェ〜〜なァ〜〜いィイイ!!!!!」


ルフィがブルックの時と同じ質問をし、それに答えようとしたケイミーだったが知りたくないサンジに遮られてしまう。
そんな和気藹々な中、ヒトデが悲しげな雰囲気を背負っていた。


「ケイミーケイミー?おかしいおかしい…誰かが足りなくない??その楽しい輪の中に足りないものってな〜〜んだ?答え、おれ…」

「そうだ気になってたんだ!おいケイミー、何だ!この喋る手ぶくろ!」

「ごめーん!すっかり忘れてた!!ペットの"パッパグ"私の師匠なの!ヒトデ!」

「ヒトデって…喋るんだっけ??」

「ペットで師匠っておかしくない?」

「飼われてやってんのよ…訳あってな………ケイミーはいつもハマグリをくれる」

「エサね」


パッパグはギターを取り出し注目してくれた事に調子に乗って歌いだす。
しかし振り返ってみると誰も聞いてないうえに再び無視されていた。
また塞ぎこんでいたらルフィが声をかけてくる。


「ほんでおめー何で喋るんだ?」

「よく聞いてくれた!!ガキの頃おれは自分をヒトだと勘違いしててな…ヒトデだと気づいた頃にはもうヒト語を喋ってた」

「それで喋れちまうもんなのか」

「"勢い"ってコエーよな!!この世は勢いだお前!そういうわけで!おれはヒトデのパッパグ!新進気鋭のデザイナーだ!!助けてくれてありがとう!お前らみんな愛してるぜ!!」

「でもよかった…私達 今ちょうど進路で困ってて聞きたい事が……」

「おいナミ!!タコ焼きが先だぞ!」

「あ、そうそう!お礼のタコ焼き!じゃあはっちんとどこかで待ち合わせしなきゃ……」


話しかけて放置するルフィにアスカは『鬼だな…』、と思いながらもアスカも決して話しかけない所を見るとルフィの幼馴染だ、と思う。
お礼のたこ焼きをせがむルフィに思い出したケイミーだったがケイミーの電伝虫が鳴る。


「もしもしはっちん?こちらケイミーだよ!はぐれてごめんね?今どこにいるの――?」

≪………………≫

「?」

≪おー!その声ケイミーか!モハハハ…!わいが誰かわかるかい?ハチじゃないぜェ〜〜〜!?」

「えーー!?はっちんじゃないの〜〜〜!?」

≪マクロだよォ〜〜〜!!毎度お馴染みズッコケマクロ一味だよォ〜!!自分で言っちゃったよ!ズッコケって!!≫

「なにかトラブルみたいね……」


ロビンの言葉にアスカは黙ったまま頷く。
ケイミーは知り合いらしいその相手に怒った顔を作る。


「むっ!どうしてあんたがはっちんの電伝虫持ってんの!?」

≪ハチの野郎をやっつけちゃったからに決まってんだろ!モハハハ!≫

「うそよ!!はっちんがお前達なんかにやられるわけないよ!!!」

≪まァそうだな…いつもならわいらハチには敵わねェが今回はなんとあの『トビウオライダーズ』と手を組んでいてねェ〜!モハモハハ!!!」

「!」


トビウオライダーズという言葉を聞き、ケイミーは目を丸くする。
すると相手が変わったのか別の男が電伝虫に出た。


≪ニュ〜…ケイミー無事だったか…よかった…≫

「あー!はっちん!!本当にやられちゃったの!?」

≪ちょっと…油断したんだ……おめ−はここに来ちゃダメだぞ!!ニュ…おれは一暴れしてすぐに帰るから大丈夫だ!!≫


ハチという男が来るなというとマクロがまた出る。


≪モハハハハー!!おいケイミー!コイツはこのまま売り飛ばしちまうぜ!!タコの魚人は珍しいから高く売れる助けに来たきゃ来るがいい!ここはシャボンディ諸島44番グロ−ブから東に5qの海人拐い組『トビウオライダーズ』のアジトだ!≫

「!」

≪ニ゙ュ〜!!ダメだケイミー!来るんじゃねェぞー!!≫

≪黙れコノタコ助!!!≫


マクロの"シャボンディ諸島"という言葉にアスカが一瞬反応を見せるがそれに気付く者は居なかった。
アスカは表情は変えずもみんなにバレない様に服を少し握り力を入れて体が震えるのを耐える。
ハチという男はマクロに殴られたのか、苦しそうな声を上げた。


≪じゃあな!≫


マクロはそのまま電伝虫を切る。


「はっちん…………!!」

タコ焼きは?

「「そんな事態かい!!!」」


シリアスな場面から一転してルフィの一言で変わってしまい、場を弁えずたこ焼きを催促するルフィはサンジとフランキーに突っ込まれフラキーに殴られる。
ナミは聞いたことある男の声に頬に手を当てる。


「ちょっと待って…今の電伝虫の"はっちん"て男の声……なんか知ってる声の様な……!!気のせいよね…そんなハズないか…」

「ごめん!ルフィちん!!タコ焼きまた今度でいい!?私すぐに友達を助けに行かなきゃ!」


はっちんを救うためたこ焼きは後でと言うケイミーにルフィは不満気な声を上げ、1人で救おうとするケイミーにナミがとめに入った。


「ちょっと待ってケイミー!首つっ込んで悪いんだけど捕まった友達の救出なら私達も協力するから…あ、間違えた。コイツらが協力するから

「「お前は!?」」

「そのかわりあんたは魚人島に行く方法を私達に教えてくれるっていうのはどお?」

「え!いいの!?ナミちんはっちんの救出手伝ってくれるの!?ルフィちん!!」

(ナミちん…ルフィちん…)

「いいけど誰だ?はっちんて…」

「私が働いてるタコ焼き屋の店主!世界一美味しいんだよ!!」

「そりゃあ一大事だ!!野郎共!命にかえても"タコ焼き"を救出だ!!!」

「「「おーーーーーっ!!!」」」

「店主は?」


たこ焼き屋の店主だと知ったルフィが態度を変え、すでにたこ焼きしか頭にない事にアスカはケイミーのあだ名呼びに呆気に取られながら突っ込む。
船長がやる気になり早速波はケイミーが呼んだ魚達の案内で船を進める。
すると筋トレを終えたゾロが上から飛び降りてきた。


「もう船出すんだな…魚人島へ行けそうなのか?」

「それよかコイツ見ろ!人魚のケイミー!本物だぞスゲーんだ!!」

「こんにちは!!」

「へェ…人魚か………………………………初めてみた」

「消した!!今記憶を消した!!!」


ゾロはココロの記憶を消去し、人魚は始めてだと真顔で呟きチョッパーに突っ込まれる。
ゾロに挨拶したケイミーはすぐ顔を曇らせる。


「だけど心配…はっちんの声…随分弱ってた…きっと酷い事されたんだ………」

「まー、あいつも相当頑丈だから大丈夫だ。それよりおめェら軽く引き受けてくれたが腕っぷしに自信あんのか?」

「うん、強ェぞ!」


軽いルフィの言葉を信じていないのかパッパグはこれからの相手を話しだす。


「先に言っとくがこの辺りにゃ"人拐い"って裏稼業の集団が何十チームも存在する!『シャボンディ諸島』という場所で人間の売買が盛んに行われてるからだ」

「人間を売り買いすんのか!ひでェな…」

「……………」

「中でも『人魚』はい〜い値で取り引きされるから"マクロ一味"って魚人の3人組はしつこくケイミーを狙って来るタコ焼き屋のハチはたぶん…今回おれ達が海獣に食われて帰って来ねェのをマクロ一味に拐われたと勘違いして乗り込んでったんだと思う」

「うん… たぶんそう…はっちん優しくてまっすぐな人だから…私のせいだ……」

「タコだのハチだのと聞くと…おれはあのアホな魚人の顔が浮かぶ……」

「もし本人なら助けやしねェ……まァそんなわけねェが…」


パッパグとケイミーの話を聞き、タコの魚人とハチという名前にゾロとサンジは嫌そうな表情を見せる。
それに新人のブルックは首を傾げるが、パッパグ達の話しは進む。


「いつもならハチの圧勝で片がつく所だがよ………噂の『トビウオライダーズ』が絡んで来るとは……」

「何だそれは…」

「最近急にここらの海でハバきかせ始めた人拐いの集団の一つだ狙われたら最期って評判さ…ボスは『デュバル』って名の"鉄仮面"の男…!その素顔は誰も知らねェ…何でも人を探してるらしくてな…ここらを通る船全てをチェックしてるって話を聞いた」

「まあとにかくよ!ケイミー!!心配すんな!"タコ焼き"は必ず助ける!!」

「"タコ焼き屋"だぞ…」

「うん!ありがとう!」


ルフィの言葉に元気が出たのか、ケイミーはブルックの曲を聞き笑みを浮かべていた。
暫く進むと魚達が突然海へもぐり始める。
魚の言葉を聞き、ケイミーは目を丸くする。


「え?」

「どうしたケイミー?」

「魚達が…『悪いけどここまで』だって…」

「うわ来た!!『トビウオライダーズ』!!!」

「どこに!?何も見えねェぞ!!」

「違うよ!海じゃなくて!空!!」


海を見ても何の動きもないことに首を傾げているとケイミーとパッパグは空を指差し、ルフィ達は顔を上げるとそこには巨大なトビウオをバイクのように乗り込んでいる人間がこちらにまっすぐ向かってきていた。


「うわァ!!魚が飛んでる!!」

「トビウオって…こんなに飛ぶんだっけ!?」


目を丸くしているとトビウオは急低下し、サニー号へ攻撃を仕掛ける。
しかしなんとか直撃は免れたが攻撃の時の振動で足元がぐらつく。


「危なかった!」

「また来るぞ!」

「気をつけて!!あのトビウオは海から飛び出て5分は飛行できるの!」


ケイミーが声をあげる中、上空のトビウオライダーズ達が何かを連絡しあっていた。


「オイ見たか?」

「見た!間違いねェ!!麦わらの一味だ!すぐ連絡だ!」

「了解!人魚一人お迎えに来たつもりがこりゃとんだ収穫だ……!デュバル様震えて喜ぶだろうぜ!」


トビウオライダー達は再びルフィ達へ攻撃を仕掛けようとする。
それを見たルフィが構えた。







トビウオライダーズからの連絡に男は静かに口を開く。


「おい マクロ一味………」

「ヘイ!デュバルのだんな!!」

「おめェらの…誘き寄せた人魚今海賊船に乗ってるらしいぜ……」

「え!?海賊船!?ケイミーが!!?」


マクロの言葉と同時に男の持っているコップが手の力だけで割れ、手を濡らす。


「待ちかねた…その海賊船こそが…おれが待ち侘びた船…!!殺してやる……!!!おれの人生を狂わせた男!!!!」


男は麦わら一味のある手配書を見ながら憎憎しげにそう呟いた。

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