その後無事町を出たエース達は、あの男の事についてサボに問い詰める。
サボは人違いだと言い切ろうとしていたようだが、あの男の反応やサボの反応からして知り合いであるのは確かである。
しかしサボはやはりあの男の事を否定していた。
「何だよ!何も隠してねェよ!!」
「…そうなのか?」
「そうなわけねェだろ!話せサボ!!」
「「おれ達の間に秘密があっていいのか?話せ。」」
詰め寄られたサボはやはり惚け、惚けるサボに二人はズイっと顔を近づかせ、2人はサボの首を絞める。
アスカはというと白状させるのを二人に任せて後ろでただ黙って見ていた。
「話せよてめェ!ぶっ飛ばすぞ!!」
「…ぐ!…ァ!は、話す!話すよ!!!」
流石に隠し切れないと思ったサボは、渋々ながらも己の生まれを三人に話す。
サボの過去に三人は目を丸くして驚いた。
「貴族の息子!!?」
「誰が!?」
「……おれだよ…!!」
「「えええ!!?………で?」」
「お前らが質問したんだろ!!!」
驚いて見せるもルフィとエースは鼻に指を突っ込み惚けた表情を見せ、人を脅しておいてその態度に当然サボは怒りながら突込みを入れる。
アスカはまだ驚いているのか唖然としていた。
「…本当は親は2人共いるし…孤児でもなければゴミ山で生まれたわけでもねェ。今日おれを呼びとめたのはおれの父親だ。お前らにはウソをついてた、ゴメンな…」
「謝ったからいいよな!!許す。」
「うん」
「コトによっちゃおれはショックだ。貴族の家に生まれて…なんでわざわざゴミ山に…」
サボはゴミ山で生まれたと言っていたが、本当は貴族の生まれだという。
三人に嘘をついていた事を謝るサボにルフィはすんなりと許し、アスカはルフィが許したため、ルフィの言葉に頷く。
だが、エースはルフィほどすぐに許せるわけもなく、サボに背を向けてしまう。
そんなエースの言葉にサボは俯き、記憶の中にいる親を思い出す。
「あいつらが好きなのは『地位』と『財産』を守っていく"誰か"でおれじゃない!!王族の女と結婚できなきゃおれはクズ。その為に毎日勉強と習い事…おれの出来の悪さに両親は毎日ケンカ…あの家におれはジャマなんだ。お前らには悪いけど…―――おれは親がいても"一人"だった…」
「「「…………」」」
「貴族の奴らはゴミ山を蔑むけど…あの息が詰まりそうな"高町"で何十年先まで決められた人生を送るよりいい…」
「そうだったのか…」
サボは絵を描いて見せても破り勉強させる父親、喧嘩しても相手ばかり心配して自分を心配しない母親を思い出し、眉を潜める。
サボの言葉を聞きエースは振り返る。
「エース、ルフィ、アスカ…!!おれ達は必ず海へ出よう!!この国を飛び出して自由になろう!広い世界を見ておれはそれを伝える本を書きたい!!航海の勉強なら何の苦でもないんだ!もっと強くなって海賊になろう!!」
サボは自分の事など忘れ、これからの事を考えようとしていた。
サボも前を向こうとしていた。
そしてサボは改めてエースとルフィとアスカを海賊に誘う。
エースは元々サボと海賊になるつもりだったし、ルフィもシャンクスに憧れて海賊になるつもりだった。
アスカも、そんなルフィについていき海賊になるつもりでいたため、誰も反対はしない。
エースはサボの誘いに笑顔を浮かべ、海に向かって自分の目標を言った。
「ひひ!そんなもんお前に言われなくてもなるさ!!おれは海賊になって勝って勝って勝ちまくって最高の"名声"を手に入れる!!おれの生きた証になる!世界中の奴らがおれの存在を認めなくてもどれ程嫌われても!!"大海賊"になって見返してやんのさ!おれは誰からも逃げねェ!!誰にも敗けねェ!恐怖でも何でもいい!おれの名を世界に知らしめてやるんだ!!」
「ししし…!そうか、よーし!おれはなァ!!」
二人の言葉を聞いてルフィも笑って二人に負けないぐらい声を出して目標を告げた。
アスカは昔から知っていたため、何の反応もなかったが、初めて聞いたエースとサボは目を丸くして唖然としていた。
「「…は??」」
「なっはっはっはっはっはっ!」
「……お前は…何を言い出すかと思えば…」
「あははは!面白ェなルフィは!おれ、お前の未来が楽しみだ!!…でも3人共船長になりてェってマズくねェか?」
「思わぬ落とし穴だ。サボ、お前はてっきりウチの航海士かと…」
「お前ら、おれの船に乗れよー!」
「じゃぁ私が船長になる。」
「「「は!?」」」
それぞれ目標は違えど、海に出るという夢は同じだった。
それぞれ船長になるつもりだったらしく、お互い船長になるのを許らなかった。
中々船長が決まらないため、今まで黙っていたアスカは手を上げて船長に名乗り出た。
そんなアスカに三人は驚き思わずアスカを見てしまう。
三人に振り返られたアスカは相変わらず表情乏しい顔で手を上げたまま、上げていない方の手で自分を指す。
「私が、船長に、なる。」
「いや、二回言わなくていいから……ってそうじゃなくてだな、アスカは何もしなくてもいいんだぞ?」
「なんで?私だけ置いていくの?一人にしないって言ったじゃん!エースの嘘つき!」
「いやいや!連れて行くけどよ!連れて行くけど船長は危険だぞ〜?」
「知ってる。」
「駄目だぞ!アスカ!船長はおれだ!!」
「いや、だからおれだって…」
「バカ、おれだって」
「……………」
エースとサボからしたらルフィとアスカは可愛い弟・妹分である。
そのためアスカは船に乗せるが船長という危ない役割をさせるつもりは端からなかった。
危険だという理由でハブられたアスカはムスッとした顔をエースに向け、エースは拗ねたアスカのご機嫌取りに必死だったのだが、ルフィが船長になるのは自分だと言い出し、再び三人は口論しはじめた。
もうアスカは呆れて自分が船長になると言うのをやめ、三人が落ち着くまで木を背もたれに座って待つことにした。
「…将来の事は将来決めよう。」
「もしかしたら3人バラバラの船出になるかもな!!」
「あ!ダダンの酒盗んで来たな!?」
「ねェなんでそこで私は数に入っていないの。」
「「「アスカはおれの船に乗せる。一人は危険だからな!」」」
「……………」
そして数十分後…どうやらケリはついていないが、結論としてここで争っても意味がないと察したようで、口論は終わりを告げた。
口論が終わったとアスカは立ちあがって三人の元へと歩み寄る。
もしかしたら、の話に自分が入っていない事にムッとさせ眉間にしわを寄せるアスカの問いに、三人が三人同じ答えが返って来た。
それにアスカは何も言う気にもならず、ただアスカもアスカで気に入らないのか頬を膨らませていた。
そんなアスカを余所にエースは一瓶の酒を取り出した。
「お前ら知ってるか?盃を交わすと"兄弟"になれるんだ。」
「兄弟〜!?ホントかよー!!」
「海賊になる時は同じ船の仲間にはなれねェかも知れねェけどおれ達3人の絆は"兄弟"としてつなぐ!!どこで何をやろうとこの絆は切れねェ…!!これでおれ達は今日から兄弟だ!!」
「「おう!!!」」
「……お、おうー…」
エースが取り出したのはダダンの酒だった。
黙って持って来たらしい酒を人数分の4つのおちょこに注ぎ、4人は絆を強めようとする。
エースの言葉にルフィとサボはノリノリだったが、アスカは少し気恥ずかしいのか声が小さかった。
「まずい…」
「まずいな…」
「あぁ、まずい。」
「まずい!」
兄弟の盃には酒が必須。
そう思い酒を用意して飲んだのだが…やはり子供には酒は早かったのか、飲み込んだもののその味は美味しいとは言えなかった。
全員その大人の味のまずさに顔を歪ませる。
「あ、兄弟ならお姉さまも混ぜたら?お姉さまだけ仲間はずれは可哀相だよ」
「「お姉さま?」」
「姉ちゃんか!いいな!それ!!」
「「姉ちゃん??」」
お酒の不味さに顔を歪めていたアスカが不意に海にいるであろうミコトを思い出し、ある提案を言った。
それにルフィも乗るがエースとサボは"姉"という言葉に首をかしげた。
「だれだ、それ?」
「ルフィのお姉ちゃんなんだけど…とっても素敵な方なの!!!」
「ルフィ、お前姉ちゃん居たのか!?」
「おう!姉ちゃんは自慢の姉ちゃんだ!!」
「「…………」」
「「だめ?」」
「「…ゔ……」」
サボもエースも知らない姉だという人物を仲間にするのはどうも気が乗らない。
2人からしたら新参者だし、何より何の接点もないルフィの姉を仲間に引き入れるなんて考えてもいなかった。
しかし、可愛い末っ子達の上目使いに長男ズは言葉に詰まってしまう。
まァでも会わないだろうなァ…と思ったため、軽い気持ちで二人は頷いてしまう。
しかし、二人はその後ルフィの姉と会う事になることになるのだが、今の二人にそれを知る術はなかった。
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