ダダンは言った。
「ガキどもを追い出すんだ…!」
と。
ダダンの言葉に部下であるマグラとドグラは驚きはしたが、今のダダンの顔を見れば納得してしまう。
「このままじゃダダン一家はあの4人に乗っ取られちまうよ…!!…いや!その前に私の身が持たない…!!」
そういうダダンの顔は連日悪ガキどもであるルフィ達4人が暴れまわっていてくれているせいでクマが出来ていた。
食料を持ってくるのは良い。
弱肉強食ルールは自分が作ったのだから別にそこは構わない。
だが、あんなにもエースが邪険にしていたルフィとアスカが何をきっかけに打ち解け、更には何故かサボが加わったことでルフィ達が打ち解ける前まであった静かな時間が一気に騒がしくなったのだ。
食事をするにも取られまいと大暴れ、見兼ねて4人共々風呂に入れて汚く汚してくれた部屋を綺麗にすれば風呂から出てきたアスカ以外の3人は体を満足に拭かずにせっかく綺麗にした部屋を濡らし、更には追いかけっこ等で遊びはじめ綺麗にした部屋を再び汚していく。
寝たら寝たで最後の特訓というもので床を壊し下の部屋で寝ていたダダンの上にルフィが落ちる始末…
不仲だった3人がどうしてここまで仲が良くなり騒がしくなったのか…小一時間問い質したいくらいである。
「まーまー、お頭」
「乗っ取られているのはとっくの昔からでニーですか〜」
「じゃかァしィ!!!もうこれ以上面倒は見きれないよ…!!!追い出してやる!!ガープとの約束など知ったことかァ!」
ドフラもマグラも荒れる頭を宥めた。
ダダンは強制的にエースとルフィとアスカを預かる事になったためそれほど愛情はないのだと自分では言っている。
ただ犯した犯罪に目を瞑ってくれるから預かっただけだとも言っている。
だからガープの約束などダダンは知ったことではないんと思っていた。
だが…
「おい!」
「〜〜〜〜ッ!!!」
そんなダダンの背後に一人の男が声をかけてきた。
ダダンは噂をしていたこともあって、その声がガープの声に聞こえたのか三人は先ほどの話を聞こえていたと思い硬直する。
だが、その人物はガープではなかった。
その人物とは…
「マキノ〜!!」
「村長さん!」
フーシャ村にいるマキノと、村長だった。
ダダンは2人の姿にガープではない事にほっとしながら、ルフィとアスカに用があるという2人に根城に案内した。
外にいた部下にアスカとルフィを呼ぶよう指示すれば、部下から聞いたアスカとルフィは二人の名前にエース達としていた事を投げだし、駆け足で玄関のところへと向かう。
久々の村長とマキノの姿にルフィはマキノへ、アスカは村長へとダイブした。
2人は子供達を受け止め、マキノも村長も久々のルフィとアスカに笑顔を浮かべていた。
「元気そうじゃの! 半年も戻ってこんから心配して様子を見に来た。」
「ガープさんには内緒よ?」
フーシャ村からここに連れてこられるとき、ガープは一応村長には言っておいたらしい。
だから村人全員がルフィとアスカがここにいることは知らないまでもどこかに預けられ特訓しているというのは知っているようである。
「だれだ、あいつら…」
「なんかルフィとアスカの知り合いらしい」
「…………」
エースとサボは、アスカとルフィが村長とマキノの名前を聞いて飛んで向かったため、興味があり2人も外へと向かった。
玄関のところで様子を見てみれば、アスカもルフィも嬉しそうな顔をしてエースの知らない2人に抱き付いていた。
正直それを見てエースはなんだか気に入らないと思う。
ムスッとさせるエースにサボは『ブラコンでシスコンかァ…将来が楽しみだなァ』と零し、エースは『煩い』と不機嫌に返す。
エースはルフィとアスカを取られたようで気に入らなかったらしい。
「そうだ!プレゼントがあるの!」
「「プレゼント?」」
村長はよりにもよって山賊に子供達を預ける事を良く思っていないようで、ダダンと睨み合い憎まれ口を叩き合っているその傍で、アスカとルフィにプレゼントがあるとマキノが言った。
マキノの言葉に首を傾げていると、コテンと首を傾げる2人に笑みを浮かべながら『そうよ』と言って持っていたカバンからあるものを取り出す。
「ガープさん、きっとこういうのは気にしないだろうと思って…じゃーん!新しい服よ!」
そう言って取り出したのは子供服だった。
それもアスカとルフィだけではなく、ガープからエースの事を聞かされていたようで三人の分もある。
余分に持ってきていたからサボの分も用意でき、マキノは玄関でこちらの様子を見ているサボと何故か自分を睨むエースに声をかけた。
サボはマキノの呼びかけにすぐに応じたが、どちらかと言えば警戒心が強い方のエースは応じることなくそこから動かなかった。
正直嫉妬して気に入らないのもあるが、ダダンや端町などの連中しか知らないエースはマキノのような普通の女性との接し方が分からず戸惑っているようである。
戸惑いの色が濃いエースにマキノは笑みを浮かべてまた呼びかけた。
だがやはりまだ警戒が強いらしいエースは動かず、そんなエースに女の子らしい服を貰って嬉しそうにしているアスカが気づき、小走りにエースの元へと向かって手を取った。
「エース!服だって!行こう!」
「お、おい!アスカ!!」
何故来ないのかなどアスカは浮かれていて気づいていないが、エースはアスカに手を引っ張られてしまい、アスカだから手を払うことも出来ず仕方なくマキノの元へと行く羽目となる。
まだ表情が硬いエースにマキノはニコニコとを笑顔をエースに見せ、その笑みに少しだけエースは警戒を解き始める。
だが、照れがあるのか表情が硬いのは変わらない。
「エース君はやんちゃだって聞いてたけど…意外にいい子なのかな?」
「そ、そんな事…」
持ってきたのはルフィとアスカとエースの服だけ。
サボの事はここに来て初めて知って、マキノは内心合う服があるのか不安だった。
しかしエースと同じような背丈だったので、余分に持ってきていたエースの服で間に合いほっとする。
アスカの服は女の子らしくスカートも入っているが、よくガープからお転婆になって山で遊んでいると聞いてズボンやスカートの下に履く子供用のスパッツも入れていた。
だからアスカの方が服が嵩張ってしまうのだが…これは女の子のため仕方ないと言えば仕方ないだろう。
エースは上を脱ぎ丈を合わせるマキノの言葉に言葉を詰まらせながらも素っ気ない態度をとるが、その態度が照れているようにしか見えず、ルフィとサボは笑ってしまう。
アスカは半年ぶりのマキノにベッタリで先ほどからマキノの服を握って離れない。
エースは笑っているサボとルフィをキッと睨むが、マキノに『こら!うごかないの!』と軽く叱られ、言い返すことも出来ずにいた。
それがまた2人の笑いを誘い、エースは『あとで覚えておけよ…!』と2人に心の中でそう零した。
しかし、マキノが自分から離れないアスカに『アスカ、この服どうかしら?』と聞き、アスカはマキノの服を握ったままエースを見て『いいんじゃない?』と返し、エースはアスカの言葉に機嫌も直っていく。
あからさまにアスカの言葉一つで機嫌を直すエースにマキノは笑みを深め、その笑みとその暖かな目線に気づいたエースは慌ててマキノから顔を逸らす。
それがまた可愛くてマキノはまた笑みを深める。
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