アスカを持ち上げていたチャルロスはアスカを背中が見えるように抱き直す。
グッと背中の服を握り力を入れるチャルロスにアスカも、そしてルフィも、アスカの事情を知っているチョッパーも…チャルロスが何をしようとしているのか分かった。
ルフィは手を伸ばし幼馴染を助けようとする。
しかし…
「――ッいや…!!お願い!やめてっ!これだけは…!!……いやっ!!いやああああああああああっ!!!!!」
「アスカ!!」
「な……!?」
アスカはみんなが…仲間が見ている中…背中の服を破られ露わにされたのだ――――天竜人の奴隷である証の焼印を。
アスカの声は悲鳴と言えるほど軽いものではなく、普段のアスカを知っているナミ達からは想像もできないほどの声を上げた。
ルフィはアスカの背中を露わにされ手を止めてしまう。
「どうだえ!!!この紋章はわちしの奴隷だっていう証拠だえ!!!コレはわちしの"物"だえ!!!お前の"物"じゃないえ!!」
チャルロスはルフィだけではなく、会場全員に見せ付けるようにぐったりするアスカを抱き自分が回ってその焼印を会場の全ての人間に見せる。
焼印を無理矢理ナミ達に見られたアスカはもう抵抗する気力すら起きないのか、せめてチャルロスの肩に顔を埋めナミ達の反応を見ないようにしていた。
「アスカ…そんな……」
「アスカ…!!」
「おい…あれは……っ!」
ナミ達はぐったりとしているアスカの背中の焼印に言葉を失う。
あの紋章はまさに世界貴族の奴隷の証。
…アスカは世界貴族の奴隷だった、証。
普段のアスカの姿と、その奴隷だった証が刻まれているアスカの姿が別人のように感じ、ナミは妹のように可愛がっているアスカの背中の痛々しい証に涙を浮かべる。
ローはアスカの反応に予想の一つと考えていたのか、その確実の低い予想が当たり驚いていたが、すぐ大喜びするチャルロスを殺さんばかりに睨みつけ、ベポから刀を返してもらう。
アスカはみんなに見られたくない人間以下の証を見られたからか無反応になっており、そんなアスカをチャルロスは何をどう勘違いしたのかアスカを慰め始める。
「おー、よしよし!海賊などゲス共の奴隷にされて辛かったえ〜〜!!」
動かなくなったアスカの頭をチャルロスは優しく撫で、あやす様に体を揺らす。
「もう大丈夫だえ!あちしがお前を救ってやるえ!!あの時は執事達が間違えてお前を売ってしまったがその執事達はサメと犬の餌にしたからもうわちしと離れる心配はないえ!これからは死ぬまでずっとだえ!!!!」
「―――――だったら…」
「ん?」
どんなに声をかけても無反応だったアスカはここで初めて反応した。
チャルロスは顔を上げたアスカの顔を覗きこむ。
その顔はナミ達からも見え、アスカの表情を見てナミ達は息を飲んだ。
アスカは本当に感情のない顔をしていたのだ。
瞳も、口元も、眉も、何もかもピクリとも動いていない。
ただ動かして言葉を出すだけのモノになった唇はゆっくり動く。
「だったら……そこの人魚をあの海賊達に与えてください…」
「え…ちょ…」
「そんな事かえ!?いいえ!いいえ!!やるえ!!!」
「!!?」
自分を犠牲にするアスカの言葉にナミは反対の声を上げようとするもチャルロスに遮られてしまった。
ナミが悔しそうにする中、チャルロスは人魚の時より嬉しそうにアスカを抱きしめる。
「むふふ!!お前がわがままを言うのは初めてだえ!!よっぽど辛かったんだえ!帰ったら一杯可愛がってあげるからこれからも思いっきり甘えるえ!!!そうだ!この前お前にぴったりなベッドを買ったから一緒に寝るえ!!!!」
サンジは妹と思って可愛がっているアスカを奴隷にし、そして今この瞬間もアスカを奴隷として扱うチャルロスからアスカを奪おうとし、ローも能力を使おうとした。
しかしその瞬間、タン、と誰かの足音が大きく響いた。
その音に二人は動きを止め、音の方へと目をやる。
そこには…大喜びするチャルロスを睨み一歩一歩チャルロスに歩み寄るルフィがいた。
チャルロスはそれに気づき、まだ諦めていないのかとアスカを抱えながらルフィに銃を向ける。
「あちしのウサギに近づくなえ!!!この!!この!!!」
「!!」
取り返しに来たと気付いたチャルロスは銃をルフィに向けて撃つ。
ゴムだから効かないのは知っているが、アスカは咄嗟にチャルロスの銃を持っている腕に抱き着きルフィから銃弾を逸らす。
チャルロスは腕を抱き着かれ、そのままの勢いで後に下がり階段につまづいて尻餅をついてしまった。
「〜〜〜〜っ!!!」
「チャルロス聖!!!…この…!!」
「――――――ッ!!!!」
「アスカ!!!」
「!!」
御付きの男が痛くて言葉が出ないチャルロスに駆け寄り、その原因を作ったアスカに電流が流れる銃を撃つ。
その銃はアスカの肩に当たり、電線を伝ってアスカの体中に強い電流が流れ、アスカは立っていられず倒れてしまう。
「何するえ!!!!アレはわちしのモノだえ!!!」
倒れるアスカを見てチャルロスは銃を持つ男を蹴る。
そして体を痙攣させているアスカに近づき髪を掴んで上に上げる。
それにルフィが反応し動くが他の御付きに邪魔されてしまい、ナミ達も動くも囲まれてしまった。
「ぐっ!」
「お前なにしてくれたんだえ!!!わちしへの恩を忘れたんだえ!!!?」
「ご、めん……さい…っ」
「お前はわちしに従ってればいいんだえ!!!!!」
「――ッ!!」
ガッと音をさせチャルロスはアスカの顔を思いっきり殴る。
アスカは殴られた勢いでイスに頭を打ち、気絶してしまった。
ナミ達は殴って気絶させたチャルロスに頭に血が上り、ローも我慢の限界が来たのかサークルを出現させ、チャルロスを粉々に切り刻もうと刀を抜きかける。
しかしその瞬間―――
「悪いお前ら……コイツ殴ったら海軍の"大将"が軍艦引っぱって来んだって…………」
チャルロスはルフィに殴られ吹き飛んだ。
ルフィは首に掛かった帽子を被る。
243 / 293
← | top | back | →
しおりを挟む