(244 / 293) ラビットガール (244)

チャルロスが―――天竜人が、下々と呼ぶ人間に殴られ吹き飛んだ。
それは誰も予想だにしていない事態であり、言葉さえ失うものだった。
天竜人を殴ったからではなく、彼らに危害を加えれば『大将』がくるから謝る船長にゾロは、キン、と音をさせ抜きかけた刀を収める。


「お前がぶっ飛ばしたせいで斬り損ねた………」


天竜人をルフィが吹き飛ばしたのを見て周りは唖然とするもキッドだけは笑っており、ローもゾロと同じく溜息をつき抜きかけた刀を収め、能力を解除する。
ナミ達は我に返りすぐアスカとハチへ駆け寄る。


「アスカ!!」

「ハチ!しっかりして!!」

「ニュ〜…お前ら…大変な事を…!」

「まー、ルフィだから仕方ないわ!」

「チョッパー!アスカちゃんは…」

「うん、大丈夫!!気絶してるだけだ!」


チョッパーはアスカに駆け寄りぐったりと動かないアスカを診る。
女性主義であるサンジはピクリとも動かないアスカを心配そうに見つめていたが、チョッパーの言葉にホッと安堵する。
チョッパーはアスカを診た後血だらけのハチを診に行く。


「そうか、よかった…!……さて……」

「じゃ、やる事ァ決まって来たな」

「舞台裏のどっかにあると思うよ!ケイミーの首輪のカギ!!おれ、ハチとアスカの傷診なきゃ!頼むよ!」


そう言ってチョッパーはカギをフランキーに任せアスカをなるべく動かさないように持ち上げハチへと駆け寄る。
アスカの方は気を失っているとはいえ、ぶつけた拍子に頭から血が流れていた。


「おのれ!!!下々の身分でよくも息子に手をかけたな!!!!」

「天竜人を怒らせたァ〜〜!!!」

「キャーーーー!!!」

「逃げろ外へ!!!」


倒れる息子を唖然と見つめるロズワードは怒りが湧き上がりルフィへ銃を撃つ。
それに我に返った客たちは一斉に避難する。


「この世界の創造主の末裔である我々に手を出せばどうなるか!!」


当たらなくても銃を向けるロズワードに今度はサンジが銃を蹴り落とす。


「貴様!ロズワード聖に!!」


襲い掛かってくる衛兵にサンジは蹴りつけて一発で倒す。


「行け!ケイミーちゃんを解放しろ!!!」

「よしきた!任せろ!!」


サンジは次々と襲いかかる衛兵を蹴り飛ばす。
その間にも御付きが衛兵を更に呼び、衛兵達の数が増えていく。


「貴様らあくまでも我々に歯向かうと言うんだな!!!」

「ケイミーもアスカも売り物じゃねェ!!!!!」

「『海軍大将』と『軍艦』を呼べ!!!目にものを見せてやれ!!!!」


ロズワードのその言葉を聞き、客たちは血相を変えて我先にと出口へと走る。


「ふせろ!"三十六煩悩鳳"!!」

「どわァ〜〜!!殺す気かァ!!!!」


ゾロは近寄れない為、とりあえずと刀で遠くからケイミーの入っている金魚鉢を切る。
その際ルフィとサンジに当たりそうだったが避けられたから良しとしよう。


「ケイミー!そこで待ってろ!!」

「うん!はっちん!みんな!!」


やっと顔を出せたケイミーはハチの言葉に涙ながらに頷く。
すると再び屋根を突き破りトビウオが3匹乱入してきた。


「よし!頑張れよっ!」

「行ってきます!!」


「気ィつけな!!」

「ありがと!」


「さァ行け!」

「おれ飛ぶとも言ってないんですけど〜!!」


その3匹のトビウオには残りのメンバー、ブルック、ロビン、ウソップが落下してくる。


「こやつら女は剥製にして!男はエサ抜き!ガリガリ奴隷の刑にしてやるえ!!!」


2人は上手く着地できたがウソップだけは押されたように飛び降りたので(というか確実に押された)尻からロズワードの頭上に着地してしまった。


「お父上様〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

「ロ…ロズワード聖まで!!!」

「あいたたた…!げっ!ごめんおっさん!!」

「また罪を重ねたな海賊〜!イカレてるぞコイツら!!!」

「ウソップ!ロビン!ブルック!」


誰だか分かっていないウソップは謝るも周りは罪を重ねる海賊達に唖然とする。


「ルフィ!ケイミーは!?」

「あそこだ!首についた爆弾外したらすぐ逃げるぞ!軍艦と大将が来るんだ!!」

「えェ!!?」

「海軍ならもう来てるぞ 麦わら屋」

「!」


ケイミーを指差し説明していると誰かがルフィに声をかける。
ルフィが振り返ると見慣れない年が近いであろう男とそしてクマがいた。


「何だお前……何だそのクマ」

「海軍ならオークションが始まる前からずっとこの会場を取り囲んでる」

「えェ!?本当か!!?」

「この諸島に『本部』の駐屯所があるからな…誰を捕まえたかったのかは知らねェが、まさか天竜人がぶっ飛ばされる事態になるとは思わなかったろうな…」

「トラファルガー・ローね…!あなた…!ルフィ、海賊よ!彼!」

「ふふ、面白ェもん見せて貰ったよ…麦わら屋一味」

「クマもか!?」


ルフィはライバルに当たるローよりクマにしか目が入っていなかった。
するとディスコの声が聞こえ、目をやるとシャルリアがケイミーに銃を向けていた。


「しょしょ……少々お待ちを!シャルリア宮!!その商品はまだお支払いが済んでませ…」

「うるさいアマス下々民!!!あいつらの狙いの人魚を殺すのアマス!!!」

「!!」


シャルリアはその銃をディスコへ向け躊躇なく撃ち、ディスコは倒れる。


「しまった!ケイミーちゃんが!!!」

「さァ"魚"!!死ねアマス!!!!」


シャルリアが銃を撃とうとしたその時、急にシャルリアは目を白目にしてその場に倒れてしまった。
シャルリアが撃つのを防ごうとしていたウソップ、ロビン、ゾロは寸前で止める。
すると会場の壁の布を破り、1人の男が現れた。


「ホラ見ろ巨人君!会場はえらい騒ぎだ!オークションは終わりだ。金も盗んだし…さァギャンブル場へ戻るとするか…」

「タチの悪ィじいさんだな…金奪る為にここにいたのか…」

「あわよくば私を買った者からも奪うつもりだったがなァ…考えても見ろ……こんな年寄り私なら絶対奴隷になどいらん!!わはははは!」


男の後ろから巨人が現れ、男を呆れ顔で見ていた。
男は目線に気付く。


「ん?何だ、ちょっと注目を浴びたか…」

「何だあのじいさんと巨人…」

「ありゃ商品じゃないか!どうやって檻から抜けて…どうやって錠を外したんだ!?」

「どうする…!?」

「どうって…おれ達は捕獲は専門外だ!錠もついてねェ巨人なんて抑えきれねェ!!」

「レ……レイリー」

「え!?コーティング屋か!?どっちが!?」


衛兵達は戸惑う中、ハチの言葉にチョッパーは上と下と目を動かし忙しそうだった。
するとレイリーと呼ばれた男がハチに気付く。


「おお!ハチじゃないか!!そうだな!?久しぶりだ!何しとるこんな所で!その傷はどうした!!」


再会を喜んでいたレイリーだったがケイミーを見て顎に手をやる。


「あ〜いやいや 言わんでいいぞ……ふむ……………ふむふむ…」


ケイミーだけではなく周りを見渡し現状を把握する。


「つまり成程…まったくひどい目にあったな…ハチ……お前達が助けてくれたのか?」


レイリーはルフィ達に目をやる。


「さて…」


そう呟いた瞬間会場中の衛兵達がバタバタと倒れていった。


「え…え!?何で!?何した今!!?」

「何だこのじいさん……!!」

「…………!!」


ビリビリくる感覚にゾロ達は警戒する。
そんなゾロ達をよそにレイリーはルフィの麦わら帽子を見つめた。


「その麦わら帽子は………」

「!」

「精悍な男によく似合う…会いたかったぞ、モンキー・D・ルフィ」

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