『人間屋』、ステージ裏。
ディスコは騒動の中、天竜人・シャルリアに撃たれ血を流しながらどこかへ電伝虫を繋げていた。
しかし繋がった相手は状況を説明し助けを求めても笑うだけで緊迫した空気など伝わっていない。
「笑いごとじゃないでしょう!!?あんたの店じゃねェかよ!!」
≪フッフッフッフッフッ!!≫
繋げている相手は先ほどから笑ってばかりでまともに相手にしてくれない。
それに苛立った声を零せばまた相手は笑い声を零すだけだった。
この店はディスコの店ではなく、電伝虫の向こう側にいる人物が買い取ったものだった。
「Mr.ドフラミンゴ!!あんた今どこにいるんだよ!!―――もう店の信用も失ったし…あのロズワード一家の事だ!!おれ達にも難癖つけて来るに違いねェ!!あんた何とか治めてくれよ!!」
電話の相手とは…―――王下七武海、ドフラミンゴだった。
ゼェゼェ息を絶え絶えにしなが報告し助けを求めるディスコに、ドフラミンゴは呆れた声を零す。
≪フッフッフッフッフッ!!おめェなァ…『人身売買』なんてもう古いんだよバーカ!!時代は"スマイル"さ!もうおれんトコへかけてくんじゃねェ!ディスコおめェにやるよ、その店は…!!フッフッフッ!!≫
「!?――なんだと!!?この過去最悪の危機におれ達を見捨てるのか!!」
≪黙れ…面倒臭ェ野郎だ…てめェが自分の不幸をおれのせいにしている間にも"新世界"は近づてきているのだよ、ディスコ君!≫
「…!?」
≪おれは今―――…いや、"おれ達"は今…海軍の"強制招集"を受けている…―――お前は…この未来をどう読む?≫
「…?」
≪"白ひげ海賊団"VS"王下七武海"!!≫
「!!?」
状況は悪く、ディスコでは対応しきれない状況だった。
この店のオーナーであり王下七武海でもあるドフラミンゴが出れば外にいるルーキーたちを伸してくれると思っていたのだが、ドフラミンゴからは信じれない言葉が出てきた。
まず、この店をディスコに譲るという事…そして、"白ひげ"VS"七武海"。
ディスコには何を言っているのかさっぱり理解できず首をかしげていたが、それよりもこの騒動から逃げようとするドフラミンゴにディスコは声を上げる。
「ま、待ってくれよ!!あんたこの店のオーナーだろ!?譲るにしろこの騒動をなんとかしてくれ!!おれ達が麦わら海賊団やハートの海賊団、キッド海賊団に敵うわけねェだろ!!!?」
≪―――"麦わら"ァ?≫
衛兵ですら雑魚のように倒されたのだ。
ただの人身売買の店主である自分が敵うわけがない。
そう思って引くにしてもこの騒動をどうにかしてほしいと思った。
ドフラミンゴはまだギャアギャア煩いディスコの願いを叶えるつもりもなく電伝虫を切ろうとした。
しかし…ある言葉に手を止める。
≪お前、今…"麦わら海賊団"って言ったか≫
「あ、ああ!それがどうしたんだ?」
≪……そうだなァ…その海賊団の中に"紫の髪の女"がいなかったか?≫
「!――あ、ああ…チャルロス聖の奴隷だろ?」
≪奴隷だと!?今なんて言った!ディスコ!!!≫
それは今話題の『麦わら海賊団』という言葉だった。
ドフラミンゴはその中の『紫色の髪の女』を指す。
ディスコはドフラミンゴが何を聞きたいのか分からずにいたが、記憶の中からチャルロスの元奴隷だった女海賊を思い出す。
背の焼印が印象過ぎて顔は覚えていないが、背中まで届いているその髪の色はちゃんと覚えていた。
だが、ドフラミンゴからは『そうか』という言葉ではなく怒号が聞こえ、ディスコは『ひい!』と小さく声を漏らす。
「ど、奴隷だよ!!あんたの言った女海賊はチャルロス聖が飼ってた元奴隷だったらしいんだ!!」
≪奴隷…、……ッ、だから…か…だから見つけられなかったのか……≫
「お、おい…Mr.ドフラミンゴ…?」
ドフラミンゴはブツブツ何か言っていたが、はっきり聞こえず、ディスコは恐る恐る声をかける。
その声かけで反応したのは分からないが、ドフラミンゴは『おいディスコ』と声を低く不機嫌なままディスコの名を呼び、ディスコは声を裏返りながら返事をする。
≪お前、この事態なんとかしてほしいんだよなァ?≫
「あ、ああ!!」
≪だったら条件がある≫
「じょ、条件!?」
≪ああ……その奴隷だという女を捕まえろ。勿論天竜人にはやるな…おれがもらい受ける≫
「!?」
気が変わったのかドフラミンゴは条件付きだが何とかしてやると言った。
海賊達がやらかした騒動を何とか収めたいと思っていたディスコは藁にも縋る思い出その条件を聞く。
しかしその条件とは…アスカを捕まえろというものだった。
ディスコはドフラミンゴの出した条件に唖然とする。
「な、なんであんたがそんな奴隷を欲しがる!?」
確かに天竜人の元奴隷は高く売れる。
ボロボロだろうが天竜人が使用した"物"は値段が張るのだ。
だからドフラミンゴもそう思い欲しがったのだろうとは思ったが、しかし深くもない関係だがあのドフラミンゴが人のおさがりを欲しがるような人物ではないのを知っている。
思わずそう問えればドフラミンゴからは笑い声がこぼれ…
≪フッフッフッフッフッ!!なぜ欲しがるかって?決まってるだろ!!――――あいつがおれの"妹"だからだ!!!≫
ドフラミンゴの答えにディスコは思わず受話器を落とした。
その頃…アスカはチョッパーに背負われていた。
気を失っており頭も強打していたためあまり動かせないが、今は急いでここから離れなければならないため、チョッパーは気を付けながら走る。
ケイミーの首輪はあのレイリーと呼ばれた男性がどういう仕掛けは分からないが外してくれたのだ。
外は既に海兵だらけ…キッド、ロー、ルフィが大半を倒してくれたがまだ残っていた。
次から次へと海兵たちが沸いて出てくるように集まっていく。
「ルフィ!あっち見ろ!!」
「ん?あっ!」
「お〜い!!若旦那達〜〜っ!!!」
先に外に出て先行していたルフィにサンジが駆け寄り、ルフィに襲い掛かってきていた海兵を蹴り倒す。
ルフィは駆け寄ってきたサンジが指差す先を見れば、そこには脱出を確保していたトビウオライダーズ達が手を振っていた。
「トビウオ〜〜〜!!!!」
「えォ!?ハンサム!??そんな事より脱出準備万端だぜ!なァ野郎共!!」
「イエス!ライフ イズ バラ色!!」
「またアレらの世話になるのは心外だが…今は事を急ぐ!」
「よし!行こう!!あ!アスカは!?」
「アスカちゃんならチョッパーが背負ってくれてる…行くぞ!」
「おう!!」
チョッパーに目をやると背中で背負われてるアスカを見てホッとするルフィ。
そんなルフィを見てサンジは静かにタバコをくわえ直す。
サンジはルフィに色々聞きたいことが山ほどある。
恐らくそれはサンジだけではないはずであるが…今はとにかく逃げる事を優先しなければならない。
襲い掛かってくる海兵達をブルックが"眠り歌・フラン"で眠らせるのだが、走りながらやはりルフィも眠りについてしまいサンジに叩かれる。
「貴様ら!海賊の仲間か!」
「ギャ〜〜〜!!オ…!オラ違うよォーー!!海賊ではねェぬらべっちゃ!」
手を降っていたデュバルに海兵達が銃を構える。
必死に否定するも海兵達は銃を下げることはなく、体から生えた手にやられて倒れてしまった。
「お…おお〜!恐かったぬらァ〜〜!!!」
「ヘッド!『海軍本部』には殺されかけたってトラウマがあるのに!我慢してたんすね!なんて立派な!!」
「う…うるせェ!トラウマだの何だの言ってる時かァ!人生の恩人、若旦那達のピンチを救うんだ!!」
泣きながらのデュバスに助け出したロビンが笑みを浮かべた。
ゾロ達も急ぎ、ナミが大半の海兵を感電させ倒してくれたお陰でトビウオライダーズと共にその場を去っていく。
245 / 293
← | top | back | →
しおりを挟む