(252 / 293) ラビットガール (252)

ウソップは目の前でゾロが一瞬にして姿を消し、目を丸くする。
辺りを見渡してもゾロの姿はなく、本当に姿を消してしまったようだった。


「ゾロが… 消えた……!てめェゾロに一体何しやがったァ!!今…たった今目の前にいたのに!!!」

「……………」

「ゾロ…!」


アスカも一部始終見ていて唖然としてしまう。


「バーソロミュー・くまァ…!"七武海"は『本部』に召集を受けているはず…!これだから"海賊"は信用ならねェよォ〜〜…」

「向こうもカバーしたいが…」


くまの登場に黄猿は舌打ち交じりに呟き、レイリーは眉をひそめる。


「とうとう本物か…!ゾロが消された!!」

「間違いない…今の能力 見た事あるもの!スリラーバークで女の子が一人…ああやって消されて二度と帰って来なかった…」

「!!」

「あの娘一体…どうなったんだろ……」


ナミはペローナが消された場面を思い出し、首を傾げる。
戦桃丸はくまを横目で見ながら襲い掛かってくるチョッパーを避ける。


「くま公!!何であの野郎がここに!!!」

「おい!あいつゾロに何したんだ!!ハァ…ハァ…!どこに消した!!!」

「わいは世界一口の固い男…あいつの肉球で弾かれた人間はウソか本当か三日三晩空を飛ぶというぜ」

「!」

「どこへってのは飛ばした本人しかわからねェ…少なくともこの島にも…すぐに会いに行ける様な場所にもいねェさ…遥か海の裏側かもな……」


戦桃丸の言葉にルフィは目を丸くさせる。


「とうとう出やがったか…!本物の"七武海"!!同じ姿が3人目…どうなってんだ!!」

「…………」

「ゾロをどこへやったんだァ〜〜〜!!何とかいいやがれ!コンチキショーーー!!また性懲りもなく…」


ウソップがくまを指差していると背後からパシフィスタが現れ、光線を浴びせようと光りを集めていた。


「邪魔をするな」


それにサンジが気付くが、くまがゾロと同じように姿を消し何とか難は逃れる。


「あいつ…PX-1まで……!!何のマネだ!てめェ味方に何やってんだくま公ォ!!!」

「………………」


それを見た戦桃丸がくまに声をあげるがくまは無言のまま。


「走れ!3人共〜〜!!!」

「ルフィ!」

「とにかく全員ここから逃げろ!!!後は助かってから考えろォ!!!」


ルフィの言葉に全員が疲れ果てた体を動かそうと走り出そうとする。


「でもゾロが…」

「だからそれを後で考えろってんだろ!!いくぞ!」


ナミを引っ張り、フランキーは走り出す。


「行こう!おれはビームかすっただけだ!肩貸すから早く…」

「危ないですよ!お二人共〜〜!!!」


サンジに肩を貸していたウソップだったがくまが肉球の手をかざしているのに気付かず、ブルックがそれに気付き二人を守るように前に出た。


「ブルック!」

「お守りします!命にかえても!!あ、私もう死ん…」


最後まで言う前にブルックはくまに消されてしまった。
それを見たサンジが頭をかきむしり、ウソップの肩を押した。


「くそ…!何やってんだァおれは…!!目の前で二人も仲間を……!行けウソップ!!!」

「バカいえ!一緒に行くんだよ!!」

「逃げろサンジ!!逃げてくれ〜〜〜〜!!!!」


ウソップは1人で逃げ出せようとするサンジの服を掴むがサンジは動く気はないのか引く事はなかった。
ルフィの声も2人には聞こえていない。


「クソ肉球野郎がァ〜〜!!!」


サンジの蹴りは跳ね返され、サンジは突き飛ばされてしまう。
次はウソップだと言わんばかりにくまはサンジからウソップへ目を移し近づく。


「うわァ〜!!こっち来た!助けて〜〜〜〜〜〜!!!」


"火薬星"をくまに当てるがくまはビクともせずウソップに近づく。


「ウソップ!!!シュラハテン!!!ウソップのところに行って!!!お願い!!」

≪………………≫


ウソップの危機に走れないアスカはシュラハテンに方向を変えようとするもシュラハテンは何も応えずただ走っていた。
そんなシュラハテンに苛立っているとウソップがくまに消され、サンジ、フランキー、ナミ、チョッパー、ロビンと次々と仲間が目の前で消されてしまう。


「…そんな……っみんな…!!」


アスカは唖然とし、くまがルフィの前に姿を現したのを見て何かがブチリと切れる音が聞こえた。
その瞬間アスカの頭は真っ白となる。


≪!主…!!!?≫


シュラハテンの声も聞こえずアスカは一瞬にしてルフィの前に立ち、黄猿に負わされた両足の傷から血が流れて地面を赤くする。
ルフィに手を伸ばしかけていたくまはルフィを庇って両腕を広げるアスカの登場に手を止め、自分を睨みつけるアスカを見つめる。


「……………」

「………ッ」

「アスカ…!?」


足はウサギにしているとしても痛みに震え、立っているのがやっとだと分かる。
それでも自分を庇う幼馴染にルフィは目を丸くする。


「どけ…」

「…ルフィ…だけは絶対消させない!!!!ルフィだけは私が命をかけてでも守ってみせるっ!!!!どくのはお前等だ!!!!」

「アスカ!やめろ!!!逃げろ!!お前だけは…」

「仲間を返して!!!私達の大事な仲間を返して!!!!」


ルフィの言葉を無視してアスカはくまに声を上げて訴える。
そんなアスカにくまは表情を少しも変えずにゆっくりとアスカの耳元に近づき口を開く。


「――――――――――――……」

「え…」


くまの言葉に目を丸くしているとアスカはルフィの目の前で姿を消す。
それにルフィは力なく跪き、手を地面につける。


「アスカ……?アスカ…!!!?……………!!…………!ウゥゥ………!!何だおれは………!!仲間一人も…!!!救えな゙い゙っ………!!!!」

「………」


地面を叩き悔しさと悲しみをぶつけているルフィをくまは静かに見下ろしていた。


「で…そいつも飛ばして終わりかい…ちゃんと説明はあんだろうなァ」

「これは大問題だよォ」

「…………」

「もう二度と会う事はない………」

「!!」

「さらばだ…」


くまがそう呟き手をルフィに向けるとルフィの姿は一瞬にして消えた。

―――そして、その場から麦わら一味はいなくなった。


"グランドライン"

シャボンディ諸島 12番グローブ

この日

船長 モンキー・D・ルフィ率いる海賊団

"麦わらの一味"は―――

『完全崩壊』を喫した…

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