"インペルダウン"。
そこは侵入も脱獄も不可能だと言われる世界一の大監獄である。
そんなインペルダウンだが…三日前、侵入者が居ると大騒ぎになっていた。
インペルダウンの一階に天井を突き破り侵入したと報告があったのだ。
何故か肉球の形をして侵入した者はその場には居なかったがブルゴリが発見して殺して騒ぎは収まった。
「なあ、あの侵入跡…もう塞がったらしいぞ?」
「本当か?仕事が速いなー、修理担当のヤツ…」
≪……………≫
職員たちの会話をある小さな蛇が物陰から様子を見ながら聞いていた。
その蛇はすぐ音もなく姿を消し、どこかへ去っていってしまう。
≪主…≫
「お帰り、シュラハテン」
蛇はある使われていない部屋へ隙間を使って入っていく。
その中は埃だらけだが監視用の電伝虫が一匹も居ないので隠れるのに丁度いいのだ。
埃の中、座ってシュラハテンを迎えたのはくまに消されたはずのアスカだった。
アスカは両足に包帯を巻いた状態で壁にもたれていて、どこか疲れ果てていた。
≪お加減は…≫
「いい訳ないでしょ…水も、食べ物も少し…ここは寒いし、埃っぽいし、隠れてるストレスだってある………それに…みんながいない…」
≪………………≫
嘲笑を浮かべる主にシュラハテンは何も言えず、ただ黙って近づく。
「それで、収穫は?」
≪ありません……あ…ですが…今日、七武海のハンコックという者がこのインペルダウンへ参るとか…≫
「七武海が?海賊なのに?」
≪何でも火拳のエースを見に来る…とか言っておりました……≫
シュラハテンの言葉にアスカは眉をひそめる。
「なにそれ…エースは見世物じゃない!」
≪はい≫
怒り出すアスカにシュラハテンは頷く。
怒っていたアスカは次第に落ち込んで体操座りして体を小さくする。
「………ねェ…シュラハテンはあの男の言葉を信じられると思う?」
≪あの男というと……バーソロミュー・くま、でしょうか…≫
「うん…『麦わらのルフィが来るまで息を殺して隠れていろ』っていう伝言……」
≪分かりかねませんが…方法はどうであれ、主達を大将から助けたのは事実……それにあの男は1度剣士の命を引き換えに引き下がってくれました…なぜ主達を助けるのか、その思惑は分かりませぬがあの男は今のところ信用出来るかと…≫
「………………」
シュラハテンの言葉にアスカは黙ってしまう。
「シュラハテン、眠たい…」
≪畏まりました≫
シュラハテンは体を大きくさせ自分がベッドとなりアスカを乗せる。
アスカは船のベッドより遥かに寝づらいが、ここのところ満足に眠りにつけなかったためもう限界だった。
そしてアスカは深い眠りに付いた。
アスカは外の騒ぎに目を覚ます。
「シュラハテン…この声……」
≪はい、麦わらでございますね…≫
耳をウサギにして聞こえる騒ぎの中のルフィの声にアスカはシュラハテンを戻しルフィの元へ駆けつけるため部屋を出る。
電伝虫なんて気にする事もなくアスカはルフィの声がする方へ走り続ける。
すると下の階にルフィと男が何か喋っている所を発見し、アスカは飛び降りる。
「お…お前少しは腕上げた様だな…」
「強ェなコイツら…何の動物だ!?」
「海の格闘家ブルーゴリラ…通称"ブルゴリ"だ!油断するな!まだあと4匹も……終わってた!!!!」
「でもこんなの全部と戦ってたら時間が足りねェや!」
「ルフィーー!!!」
「ん?え……アスカーー!!?」
簡単に倒した挙句残りのブツゴリも倒していたルフィに男、バギーは驚いている中、ルフィの耳に懐かしくて会いたかった声が届く。
顔を上げるとそこにはアスカが落ちてきて、ルフィは咄嗟に抱き止めた。
アスカもルフィの首に腕を回して再会を噛み締める。
「アスカ!!?なんでここに!?」
「誰だこいつ…」
「私ここに飛ばされて…ずっとルフィを待ってた!!」
「え!?おれを!?なんで…」
「バーソロミュー・くまがルフィが来るまで待ってろって……ずっと殆ど飲まず食わずだったし、心細かったし、敵に見つからないようにって息をひそめてたからすっごく今死にそう!!!」
会えて嬉しいのかルフィもアスカも手を離そうとはせずバギーは蚊帳の外だった。
「あいつが!?何で…」
「わかんない……」
心当たりはなく、アスカは首を振る。
「あ!そうだ!!!アスカ!エースが…」
「うん、知ってる……看守達が話してるの聞いたから…」
「もう時間がない!行こう!!レベル5にいるってよ!」
「でもどこから?」
「あ…」
ルフィはまったく考えなしにアスカの腕を引っ張って進もうとしてたのか、そのままの格好で固まる。
するとルフィはツー、とバギーへ目線を向け、つられてアスカもバギーへ目を向ける
「誰、このピエロ。」
面識のないアスカは静かにそう呟いた。
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