(258 / 293) ラビットガール (258)

「下は『焦熱地獄』だぞ!?行かねェよ!!おれ達は!レベル4へは!!!」

「何で?」

「何でじゃねェよ!!!」


バギーとMr.3はルフィへ講義していた。


「脱・獄したいんだガネ!脱・獄!!!」

「そうだ!おれ達が行きてェのは上!上だがね!!」

「うわっ!デッケー鼻血の塊とれた」

「てめェ聞いてんのかよっ!!!」


ルフィは必死になる2人を無視し…というか話を聞かず鼻をほじり、鼻血の塊を見て驚く。


「麦ちゃん放っときなさいよ!そんな丸っきり根性ナッスィンガー共なんて!」

「誰が"丸っ鼻コントみたいダー"だァ!!!」

「ナニソレ!あちしの言葉ドゥー聞いたらそうなんの!?もう決めた!!あちし!回る!!」

「ちょっと何やってんのあんた達早くレベル4へ行かなきゃ…」

「おい、ここの天井どんどん高くなっていくぞ」


全く進む気のないボン・クレー達にアスカは溜息をつくもルフィに遮られ、ルフィの言葉に全員顔を上げる。


「おー、ホントだガネ…ガラガラと音もするし、どういうトリックを使っているのかと思えば私達が落ちとるんだガネーーーーーー!!!!」


足場が崩れそのまま瓦礫と共に5人は落ちていく。


「しまった!おれの"マギー玉"が強力すぎたせいで足場が崩れた〜〜!!」

「違うぞ!おれのパンチが強すぎたせいだ〜〜〜!!!」

「いえ!あちしのケリが猛烈すぎたせいよーーーう!!」

「いやいや、私のドルドルの……あ…私のはアレか…別に…」

「ねェのかよ!!業火に焼かれる〜〜〜〜〜!!!!!」



自画自賛しながら5人は灼熱地獄へと落下して言った。







「熱つ!熱っちゃちゃ!!何だこの通路 ハデに熱ィ!!」

「熱気で…肺まで熱いガネ!!」


何とか助かった5人はレベル5へ行こうと走っていた。
しかし息するごとに熱気が喉から入り、鼻から入り…体の内から焼けるように全てが熱かった。


「早く…!早くここ抜けたい!どっち行きゃいいんだ!?」

「ん〜〜がっはっはっは…だーらしないわねーいアンタ達!!"心頭滅却すれば火もまたオカマ"!!!まあでも気持ちは解るわ!ここは上の階より少々暑いもんねい……ん?ああ…少し暑いわ…うん……ちょっと焼ける感じするかも…熱っつうゥウウウアア!!!!」

「「おめェが一番暑苦しいよ!!」」

「ん?」


暑さにやっと気付いたボン・クレーをよそにルフィは何かの匂いをキャッチし1人走っていってしまった。


「あっちだ!行くぞ!!」

「あ!ルフィ!!」

「オウどこ行くんだァ!!?」

「アッッツァ〜〜〜!!!」

「やかましいガネ!!!」


騒いでいたボン・クレーはルフィとルフィを追ったアスカの行き先を思い出す。


「はて…麦ちゃん達の進んだ方角には………調理場があるわっ!!あちしもお腹ペコペコーーッ!!!」

「おォ!そりゃありがてェ!!酒もありゃ最高だ!!」

「待てバギー!!」


バギーもボン・クレーについていこうとしたがMr.3に引きとめられてしまう。
その間にもルフィ達は調理場へ走っていく。


「熱ちっ!熱ちっ!熱ちっ!いい匂い〜!熱ちっ!いい匂い〜〜っ!!」

「見つけたぞ!"麦わらのルフィ"と"冷酷ウサギのアスカ"だ!!」

「うわっ!いっぱい来たな!ハァ…ハァ…この階は上より暑ィけど腹ごしらえすりゃ元気100倍になるぞっ!!」


襲い掛かる敵と熱風に汗だくになりながらもルフィは獄卒達をなぎ倒していく。
その後ろにはアスカとボン・クレーも敵を倒していくが、ルフィの目の前に何かが落ちてきた。


「あァびっくりした!槍かなんか飛んで来たかと思った…!!あち!何だ?ゼリー?うんこ?」


地面が熱せられ立っていられずルフィは跳ねながらその紫のモノを見つめているとボン・クレーが上を指差す。


「麦ちゃん!上〜〜っ!!」

「!」


顔を上げるとそこには巨体を持つ男がルフィの前に降り立つ。


「マ…マゼラン〜!!!」

「誰だ!?」

「ネズミ共ォ〜〜〜…!!!」


マゼランはルフィを冷たく見下ろす。
マゼランの登場に伸びていた獄卒達が目覚め、青ざめながら逃げるように下がる。


「ハ…!マズイ…!!ここにいたら…… マズイ!!」

「熱いなァ…焦熱フロアは………」

「しょ…署長!ちょ…ちょっとお待ちを!!」

「まだ戦わないで…!!」

「ここを離れろ!署長の毒に巻き込まれるぞォ〜〜…!!!」


慌てて下がる獄卒達を見てルフィとアスカは首を傾げる。


「何だよ…もう少しで…ハァ…!んまそうな匂いの場所に辿り着けるのに……!」

「ム…麦ちゃん!!ウサギちゃん!!戦っちゃダメよーーーーう!!そいつはインペルダウンの監獄署長マゼラン!!"ドクドクの実"の能力者なのよう!!逃げるのよう!そいつだけはヤバイのよーーう!!!」


ボン・クレーが怯えながらマゼランの恐ろしさを伝える。


「ドクドク……?」

「毒じゃない?」

「いかにもそうだ…麦わらのルフィ…冷酷ウサギのアスカ…!!この歴史ある鉄壁の大監獄に侵入するとは署長であるおれの顔にドロを塗ってくれたわけだ…目的はわかっている…!ポートガス・D・エースの元へは行かせやしない!」

「!!」

「ここへ一体 いつの間にどの様にして侵入したのか後でじっくり話して貰おうか……!!」

「それは!死んでも言えねェっ!!!」


ルフィはハンコックが頭に過ぎり、マゼランを睨む。


「麦ちゃん!ウサギちゃん…!!急いでこっちへ!!体中が"毒"で触れもしない男にアンタ達勝ち目ある!?さっきの"血の池"へ戻って右折よう!!!麦ちゃん!ウサギちゃん!食糧は諦めてレベル5へ逃げ込むのよう!!!」

「ムダだ…レベル5への階段前には獄卒長と3人の獄卒獣が構えている」

「!!?」

「このフロアからの脱出口は全て押さえてあるのだ!貴様らの逃げ場などすでにない!!」

「そんな!!」


マゼランの言葉にボン・クレーは頭を抱えてしまう。
そんなボン・クレーをよそにマゼランは体から毒を出し"ヒドラ"をルフィ達に向けた。
ルフィ達は毒の塊を触らないようにと必死に逃げるが逃げ遅れた獄卒達は毒をもろに被ってしまった。


「ぶゃあああああああ!!!!」

「うおおおお!!あいつ味方に何してんだ!!」

「悲鳴上げてなんか苦しそう…即効じゃないの!?」

「即効よ!!でも"ヒドラ"の毒は麻痺性の神経毒!!全身に死ぬ程の痛みが回ってやがて死ぬのよう!!!」


倒れていく獄卒達を見て目を丸くし、その恐ろしさをルフィ達は目のあたりにする。
ルフィとアスカは必死にヒドラから逃げていくも熱に体力を奪われていく。



「まずはお前だ"冷酷ウサギのアスカ"!!!」

「!!」

「アスカ!!!」


ヒドラがルフィを追い越しアスカへ向かって口を開ける。
アスカはヒドラに襲い掛かる寸前に前に飛び込んでなんとか避ける事が出来た。


「ハァ…ハァ……!」

「なるほど…ウサギ人間だったな、お前は…」


普通の人間なら飛び散った毒にやられるがウサギ人間になったアスカは能力を出していなくても人より飛ぶため、毒に犯されずにすんだ。
そんなアスカを見てマゼランは静かに呟き、ヒドラを起こす。
アスカは暑さを忘れ強大な敵を前に肩で息をして尻を付いて後ずさり、そんなアスカにルフィが庇うように前に出る。


「ルフィ!!?」

「逃げろアスカ!!!」

「え……や、やだ!!」

「ダメだ!!逃げろ!!!」

「イヤよ!!ルフィを置いていけない!!!逃げるならルフィも一緒でしょ!!?」


背を向けて放ったルフィの言葉にアスカは一瞬理解できなかったが、自分を庇うルフィに必死に首を振る。
それでもルフィはアスカに振り返ることはなかった。


「おれも後で追うから!!先にエースの所に行っててくれ!!!」

「ルフィ!」

「シュラハテン!!!行け!!!」

≪任せよ≫

「!」


シュラハテンが蛇に変わりアスカが体に巻きつき、素早くマゼランから去る。


「ルフィ!!!ルフィっ!!」


アスカの声はただ響くだけでルフィは振り返りはしなかった。


「…逃げてもどうせお前の後を追う事になるぞ」

「アスカなら絶対お前から逃げきれる!!!エースも救出してくれる!!!!」


マゼランは蛇に連れられるアスカが姿を消した後、構えるルフィを見下ろす。







「シュラハテン!!戻って!!!」

≪なりません!!≫

「シュラハテン!!!」


アスカは必死にシュラハテンから抜け出そうとするも力が強く、叩いても引っ掻いてもビクともせず抜け出せずにいた。
敵から逃げ、シュラハテンはある物陰で様子を伺っていたが暴れる主に振り返る。


「離してってば!!!ルフィが死んじゃう!!!」

≪あの者の気持ちも汲んであげてください!!!!あの者は主に兄君を託したのです!!!!≫

「私よりルフィの方がエースを救い出せる!!!私がルフィを先に行かせればよかった…っ!!」

≪……主…≫


シュラハテンは涙を流すアスカに何も言えなかった。


「私だってルフィが大切なのにっ!エースだってお姉さまだっておじいちゃんだって!!!なんでいつも私ばっかり守られなきゃいけないのっ!!!?」

≪…皆主が大事なのでございます……≫

「そんな言葉いらない!!……ねェ…シュラハテン!私1人になったらどうしよう…!!ルフィもエースもいなくなるなんて私イヤだよっ!」

≪あの者を…信じましょう…≫


ただ、シュラハテンはそう言うしかなかった。
しばらく隠れているとアスカは冷静になったのか泣き止み、俯いていた。


「……取り乱してごめん………」

≪いえ…お気持ちは分かりますので……大丈夫です…あの者は死にませんよ≫


シュラハテンの慰めの言葉にアスカは顔を上げて弱弱しく笑う。


「あ」

≪?≫

「オカマ…?」


すると目線の先に逃げ出したであろうボン・クレーが泣きながら走ってきていた。


「オカマー!!」

「ン"!!?あ"!!ウ"ザギじゃーーーーん"!!!!」

「うわっ!きたなっ!!」


ボン・クレーは手を振るアスカに気付いたボン・クレーはさっきより大泣きし駆け寄ってくる。
その汚さにシュラハテンがつい触れさせないようにとアスカを上へあげてしまうほどだった。
ボン・クレーはそんなシュラハテンに気付かず、シュラハテンの体に抱きつく。


「ごべんでーーー!!!あぢじ!!あぢじ…!!」

「お、落ち着いて!何!?なんで泣いてんの!?」

「あぢじ!麦じゃんをみずででにげでぎだのーーーー!!!ごべんでーー!!!」


ウワーーン、と大泣きに大泣きするボン・クレーにアスカは唖然とさせるも泣き続けるボン・クレーの頭を撫でる。


「ウ"ザギじゃん…?」


それにボン・クレーは涙を止め、アスカを見上げる。


「ルフィは恨んででないよ…裏切られたなんて思ってないよ」

「でも!あぢじ…っ!!」

「ねェ、ルフィ助かると思う?」


アスカの問いにボン・クレーは思いっきり首を振る。


「だったら一緒にルフィを助け出そう!」

「でもどうやっで…?マゼランには敵わないわよーう!」

「医務室だったら解毒剤があるかもしれない!オカマはマネマネの実の能力者だったでしょう!?」

「ハッ!そうね!そうなのねい!!!わかったわ!!!あちし分かっちゃった!!!!」

「よし!ならさっさと"アイツ"を伸して解毒剤を入手だーーー!!!」

「やったるでーーーーー!!!!」

「ルフィー!私を置いて死のうとした事を後悔して死ねーーー!!!」

≪「殺しちゃいかんだろ!!!!」≫


アスカは目的が斜め上へ行ってしまい1人と1匹に突っ込まれる。
そして2人は早速作戦に移るため、その場から消えた。

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