黒ひげは機嫌よく睨みつけるルフィに語りだす。
「後から話を聞いてみりゃあ…そこの元七武海クロコダイルを討ち取ったのはおめェだってんじゃねェか!"麦わらのルフィ"………!!」
「………」
「あの時"七武海"の後釜を狙ってたおれとしちゃお前の首を取って政府に実力を示すのが最も有効な手段だった!……だが運命はお前を守った……!!白ひげの船で大罪を犯したおれをずっと追いかけていたエースはくしくもお前の兄だった!!行くというおれ達を目の前にして……あいつの退路は断たれた!わかるか!?おれ達を逃がせば…白ひげの名を汚すだけでなく、弟が殺されちまうからだ!!黒蝶に邪魔されたが結局あいつは黒蝶の助けも蹴っておれに捕まったわけだ!!!」
「!!!」
黒ひげの言葉にアスカは目を丸くしてルフィを見る。
だがルフィはただ黒ひげを睨みつけているだけだった。
「エースの墓前ではよくよく礼を言うんだな…!!」
「…………!!」
「あいつが現れなかったら本来死んでたのはお前だ!麦わら!!」
「だったら今…!………やってみろよ!!」
「ルフィ…!!」
見下ろす黒ひげにルフィはアスカが止めるのも聞かず、黒ひげに殴りかかり叩き飛ばす。
黒ひげは異常なほどルフィの攻撃に痛みが走りもがくが、ルフィが畳み掛けるように己に技をかけるのに手を前にだし"闇水"で能力者であるルフィを吸い込むように引き寄せ、地面に叩きつけルフィの血が飛び散る。
「ルフィ!!?」
「血!?ゴムだろう!アイツは!!」
痛みに耐えながらも次の攻撃態勢に出たルフィだったが、ジンベエに止められてしまう。
「ゴムゴムの…!!」
「待てルフィ君!!もうよせ!今はいかん!!耐えろ!!何が先だ!!?よう考えるんじゃ!」
「…………!!フー!!!」
「"白ひげ"のオヤジさんの船にいた頃からコイツは得体の知れん男じゃった!!どんな手を使うたかは知らんが…現に今はあのエースさんさえ討ち負かす程の"力"を手に入れとる!!!"時間"も"体力"もここで無駄にするな!!!感情に任せて今戦ってもエースさんの救出には繋がらん!!」
「ルフィ…!」
「!…アスカ……」
ジンベエに両手を取られながらも黒ひげを睨むルフィの服をアスカが掴む。
アスカは悲しげな表情でルフィを見つめていた。
「ルフィ…その人の言う通り……今はエース救出に集中すべきだよ…今ここで戦ってもあのマゼランだって居るし、その先には海兵達や大将達がいる…お願い…行こう…」
「……………」
ルフィは少しずつ落ち着いてきたのかジンベエが離しても黒ひげには向かわず、アスカを見つめるだけだった。
「ハァ…ハァ………想像以上に強ェな…以前より覇気も上がってる」
「"黒ひげ"と言ったなァ」
「!」
「"白ひげ"の船の名もない海賊がおれの後釜に入ったとは聞いてるが…妙じゃねェか?『海軍本部』に召集を受けてる筈の貴様がなぜここにいる…自ら欲した"七武海"の称号をすでに捨ててるといえる」
黒ひげは話かけてきたクロコダイルを見上げた。
「全て計画の内だ!色んなズレは生じたがな…その全てをお前に教える義理があるか?Mr.クロコダイル!」
「ねェな…実際の所興味もねェ……」
「愛想のねェ野郎だ」
「マゼランが来たぞォーーーー!!!」
「「「!!!」」」
囚人の声に全員が後ろに目をやり、振り返り、ルフィもアスカも見詰め合っていた目を後ろにやる。
「監獄署長マゼラン!!」
「やべェ!!早く逃げろーーー!!!」
「マゼラン………!!とうとう現れたか…!」
マゼランの登場に囚人達は慌てて階段へ向かう。
「マズイわね…麦わらボーイ!バニーガール!!さっさとお行き!!」
「「!」」
「麦わらボーイ!ヴァナタ今度マゼランの毒を食らったらもう二度とこの世へ戻っちゃ来れないからね!!」
イワンコフの言葉にルフィではなくアスカがルフィの服を掴んでいた手の力を強めまだ見ぬマゼランを睨みつける。
「階段の防御網を破ってくれた事は我々にも好都合じゃったのう」
「ゼハハハ…!それはお互い様だ!おれ達もこのパニックには救われてる……!!」
敵の居なくなった階段を囚人達が我先にと逃げ入る。
すると獄卒獣の1匹、ミノタウロスが現れ囚人達を倒していく。
「え〜〜!?ミノタウロスは…あちし達がやっつけた奴じゃないのよーーーう!!」
「復活は当然…あいつらは"覚醒"した動物系の能力者だ!異常なタフさと回復力がウリなのさ」
「ア…アレも"悪魔の実"の能力者なのう!?」
ボン・クレーの叫びにクロコダイルが答え、クロコダイルの言葉に唖然としてしまう。
「グズグズしてたらさっきの3人も直…起き上がってくるぞ…」
「え〜〜〜〜!!」
「だがあんなモンにびびる時じゃねェだろ…地獄のボスがそこまで来てる」
クロコダイル達も動き出す中、ルフィは黒ひげを睨みつけていた。
「おれは必ずエースを助ける!!」
「ゼハハハ…ああ…無駄だとは言わねェ……この世に不可能という事は何一つねェからな…」
ルフィは自分の服を掴んでいたアスカの手を取り、手を引いて歩き始める。
「空島はあったろう?」
「!」
黒ひげの言葉にルフィは歩きながら振り返る。
「"ワンピース"もそうさ!!必ず存在する!!ゼハハハハハハハ!!楽しみにしてろよおめェら!!わずか数時間後おれ達が!世界を震撼させる最高のショーを見せてやる!!!ゼハハハハハハハ!!!!」
「構うなルフィ君!」
「…………」
「ルフィ…」
高笑いする黒ひげを見つめていたルフィだが、アスカに急かされ走り出す。
ルフィとアスカは暫く手を繋ぎながら無言で走っていたが、ルフィが静かに口を開いた。
「ごめん…」
「?」
「……アイツのこと黙ってて…」
「…………」
謝られ首をかしげていたがアイツが先ほどの男であることに気付きアスカは目を伏せる。
さっきの会話でエースを捕まえたのがあの男だということが分かったアスカは少し動揺を隠せないでいた。
「…ルフィが謝る事はひとつもないよ……」
「……………」
「エースを助け出せば全て終わるんだ……だから…もうその話しはしないで…」
「……わかった…」
ギュッと自分の手を握るアスカにルフィは何も言えず前だけを向いて走る。
その2人の後ろ姿をジンベエが悲しげに見つめていた事を2人は知らない。
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