次の日。
ガープの扱きで上げられるサボ達の悲鳴で、アスカは目を覚ました。
相変わらずガープは子供だというのに容赦はなく、アスカはまだ能力が使えないため観覧することでしか参加できない。
と言っても参加したいとも思っていないが。
マキノと村長は昨日の夜夕食を食べた後しばらくして村へと帰りいない。
久々にマキノ達にあった事もあって少し寂しく思っていると…
「ルーくーんっ!!!アスカーーっ!!!」
「ね、姉ちゃん!」
「お姉さま!?」
アスカ達の元に海軍に入隊したばかりのミコトが現れた。
ガープに扱かれていたルフィはミコトの声にハッとさせうつ伏せで倒れていた体を起こし、ぼうっとしていたアスカも我に返って声の方へ振り返る。
ミコトは二人の姿を見た瞬間、手を振って誰もが見惚れる笑顔を浮かべ、アスカはミコトの姿にきゃあ!と黄色い悲鳴を上げながらこちらに来ているミコトの元へと駆け寄り抱き付いた。
ガープは知っていたのかミコトの姿に『ようやく来たか!』と笑顔を浮かべ、エースとサボはと言うと見知らぬ少女の姿に呆気に取られる。
「お姉さま!!どうしてここに!?」
「そうだよ!姉ちゃん海軍に入ったんじゃないのか!?」
「休暇を貰ったのよ!貴方達に会いたくておじ様に無理を言ってね。」
ルフィもアスカに遅れて姉に抱きつき、二人を受け止めたミコトはルフィとアスカの頭を撫でながらウィンクをする。
「あれがルフィの姉ちゃんか?」
「そうみたいだな…」
「あれ、海兵の服だよな?」
「…どう見ても海兵の服だし帽子だよな…」
「……それよりすっげー美人だな…」
「あぁ……ってお前…!」
「んだよ…お前もだろ……」
「まぁ…な……」
ガープ同様、ミコトの事も二人から聞いていた。
2人ともミコトを美人だと言っていたが、正直期待はしていなかった。
身内の判断は甘いのを知っているのだ。
しかし実際会ってみれば、ミコトの容姿は見たことないほど整っており、2人はあっという間に恋に落ちる。
2人からしたらミコトは初恋だった。
そんな2人はお互い顔を見合わせ、牽制する。
「なんじゃい、ミコト!着替えてこんかったんか!」
「だって!早くルー君とアスカに会いたかったんですもの!それにおじい様だけ2人に早く会うなんてずるいですわ!」
「そう言ってもなァ〜…文句ならセンゴクに言え!あいつがわしら海兵のトップなんじゃからな!」
「元帥であるおじ様が全ての海兵のスケジュールを一々管理していませんわよ!…まあ、仕方ありませんわね…まだまだわたくしの地位が低いですから…」
どうやら予定ではガープと一緒に来るはずだったのだが、まだ新兵のミコトが上手く祖父と重なるように休みが取れなかったらしく、今日はやっと取れた休みらしい。
そのため、アスカとルフィに会いたい一心でミコトは海兵の服装のまま来たらしい。
蚊帳の外であるエースとサボはプリプリ怒るミコトも素敵だ…と言わんばかりに見惚れていると、不意にミコトと目と目が合い、2人は顔を赤く染めて慌てふためく。
「まあまあ!貴方達がルー君とアスカのお兄ちゃん?」
「「お、お兄ちゃん!?」」
エースとサボと目が合ったミコトは最初キョトンとしていたが、アスカ達からエース達の話を聞いていたのを思い出したのか花が咲き乱れるような笑顔を浮かべ、2人はドキリと強い胸の高まりを覚える。
そんな二人をよそにミコトはルフィとアスカをくっつけたままエースとサボに歩み寄り嬉しそうな声で二人を『お兄ちゃん』と発言した。
正直お兄ちゃんとミコトに言われ2人の中に何とも言い難い感情が生まれたが…まだ幼すぎた2人はその感情に気づいていない。
兄という言葉に驚くエースとサボにミコトは首をかしげて二人を見つめ、ミコトの仕草に2人は更に顔を赤くする。
「あら、だって兄弟の盃を交わしたのならルー君とアスカの兄、でしょう?違っていて?」
「ち、違わないが…」
「そうはっきり言われると照れるよな…」
「まぁ」
2人の兄だという事は否定しないし、2人は本当にルフィとアスカの兄だと自分でも思い2人を守ると決めていた。
そんな二人の反応に照れていると分かったミコトはクスクスと鈴を転がしたような声で笑う。
ミコトの微笑をエースとサボはポ〜っと見つめていた。
その後、丁度ミコトが来た時はお昼時だったため、そのまま休憩を兼ねてお昼をみんなで食べることにした。
今日はミコトが作り、二日連続の豪華な手料理に海兵たちは舌包みを打つ。
「姉ちゃん!姉ちゃん!!」
「あら、なぁに?ルー君」
昼を食べ終え、ミコトは後片付けを始めた。
マキノ以上にミコトにベッタリなアスカも手伝ったのだが、相変わらずの家庭能力ゼロを発揮したアスカはまたしてもやんわりと断られミコトの傍で家事を見るだけとなる。
家事も終えると何だか静かなのが疑問に思い、ミコトは騒動の中心である祖父の姿を探す。
祖父はお腹を満たし眠たくなったのか、適当なところで横になりぐうすかといびきをかいて眠っていた。
相変わらずな自由人の祖父に呆れるほど短い付き合いでもなく、ミコトは祖父が風邪をひかないようタオルケットを取り出し体にかけてやる。
するとルフィがミコトの服を引っ張り、ミコトはルフィに連れられるまま外へと出る。
「おーい!エース!サボ!姉ちゃんを連れてきたぞー!!」
外へと出てミコトはアスカと共にルフィに連れられるまま森の中に入っていく。
そう家と離れていない場所に、エースとサボがいた。
「どうしたの、ルー君」
「あのな!おれ達"兄弟のさかずき"ってやつをやったんだ!!」
「ええ、存じているわ…あなた達が教えてくれたじゃない」
「おう!だからな!もう一回"兄弟のさかずき"ってやつをやって姉ちゃんもおれ達の兄弟になろう!!」
どうやらミコトをここまで連れてきたのは兄弟の盃をもう一度行う為らしい。
それにはエースもサボも納得済みで、アスカも前から言っていたことだったから異論はない。
ルフィの提案にアスカは嬉しそうに笑みを浮かべながら早速エース達の元へと駆け寄り、ミコトは突然の提案に目を丸くさせ驚きながらルフィとアスカに呼ばれ、4人の元へと向かう。
切り株をテーブル替わりとし、5人で切り株を囲むように座る。
その切り株の上には5つのおちょこが置かれ、その中央にはデカデカとお酒のビンが立っていた。
エースがトクトク、と5つのおちょこにお酒を注ぎ、全員おちょこを持って掲げた。
5人同時に一気にお酒を仰ぎ、そして…
「まずい!」
「あらやだ、まずいわ」
「分かってたけどまずい…」
「まぁ、酒だしな…」
「盃には必要なものだし、仕方ないもんな…」
相変わらずなマズさのお酒に5人全員眉を潜めた。
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