(273 / 293) ラビットガール (273)

鷹の目を目の前に二人は走りながらだが立ち往生していた。
この先の事を考えれば鷹の目の相手は出来るだけしない方が体力の消耗もなく、得策ではあるのだが…剣を抜く鷹の目を見る限り許してくれなさそうである。


「ルフィ!行って!!」


だからアスカはルフィに先に行かせる事にした。
やられるつもりはないが、ルフィの方がエースを救える確率は高いと踏んで。
それにインペルダウンのちょっとした腹いせでもあった。
アスカはあの時のルフィとは違い死ぬ気はないが。


「!?…何言ってんだ!!行ける訳…」

「いいから…行けーーー!!!」

「ぎゃーーーー!!!!」


渋るルフィにアスカは待っていられなくてウサギの腕でルフィを持ち上げ、そのまま飛ばす。
それを鷹の目は飛んでいくルフィを目で追いながらゆっくりとアスカに目線を戻す。


「……"赤髪"の娘か…」

「あんたはパパのライバルだった人でしょ?強いんだってね…」


鷹の目は格上との対峙に冷や汗をかきながらも睨みつけてくる少女に目を細める。


「…聞きたい事が1つあるのだが……よいか?」

「私に答えられるのなら答えてあげる」


自分との実力差を分かっていながらも上目線のアスカに、鷹の目は怒ることなく相変わらずの無表情でずっと気になっていた事をアスカに聞く。
それはアスカの出生が発覚した時から気になっていた事だった。


「お主の母親は黒蝶か…?」

「…………は…?」

「お主の母親はk――」

「あ、いやいや、聞き返したんじゃないんだけど………それ…本気で言ってんの?」

「ああ」


アスカの出生…赤髪のシャンクスの娘と知ってから鷹の目は母親がミコトなのかと気になっていた。
アスカは鷹の目の問いに口をポカーンと開けて呆けたがすぐに我に返る。
鷹の目の真剣な目を見てアスカは『こいつはやべェ…やばい奴と2人っきりになっちまったな…ルフィを先に行かせるんじゃなかった…』と、後悔していた。
頭を抱えるアスカに鷹の目は不思議そうに見つめる。


「えっと…もし!…もしだよ?お姉さまがママだったら私を産んだ時お姉さまは4歳なわけで…絶対ありえないわけで……というかパパも本当のパパじゃないから絶対違う。」

「そうか…」


アスカの言葉に鷹の目はホッと安堵したような表情を見せる。
その反応にアスカはピクリと片眉をあげた。


「……あんた…お姉さまが好きなの?」

「ああ」

「!…だ、だめよ!!ダメ!!!お姉さまはパパと結婚するの!!!アンタなんかにやらないわ!!!」

「フッ…何を……聞けば黒蝶は赤髪を嫌っていると聞く…それに赤髪の手を取っていないということはまだおれにもチャンスがある、という事だろう?」


アスカは海賊だから七武海にはそうそう縁はない。
因縁という意味では幼馴染の方があるくらいで、アスカ自身七武海に身内や知り合いがいるわけでもなく、因縁があるわけでもなく…だから七武海の内情を知らない。
鷹の目の僅かな反応に乙女として、そしてライバルとして気づく。
首を振るアスカに鷹の目は大人の余裕を見せつけ、アスカは鷹の目の言葉に頭に血が上りシュラハテンを刀に変え、力の差があるはずの鷹の目に向かっていく。


「あ・る・わ・け・な・い・じゃ・な・い・!!!!!」


キン、キン、と刀と刀が触れ合う音が響き、アスカは本気ではないとは言え鷹の目と互角に戦っていた。
鷹の目もどこか楽し気に戦っていた。


「赤髪に靡いているとしても女心は変わりやすい…可能性がゼロなわけではない」

「ゼロよゼロっ!!!!お姉さまの貞操は私が守る!!!」

「では黒蝶の貞操はおれが頂こう」


お前等どんな会話してんだよ、真面目にやれよ、と周りにいた敵味方全員の心が1つなったとき、アスカが鷹の目の刀をしゃがんで避ける。
避けたが鷹の目の斬撃に遥か遠くにある氷山が横に切断されてしまった。


「氷塊が落ちて来るぞォ!!!」

「たーかーのーめーーーーーーっ!!!!」


アスカは鷹の目の言葉にもう冷静さを失い怒りで頭が一杯だった。
周りが鷹の目の攻撃力の高さに唖然とする中、アスカは1人鷹の目に斬りかかる。
鷹の目はそんなに手加減をしているつもりもないのだが己の動きについてきて尚且つ避け、斬り返すアスカに目を細めた。


「さァどうする!」


ゾロの仲間という事、そして鷹の目の娘という事で鷹の目は本気ではないが見下すこともせずアスカの力を試していた。
少しずつ面白くなったと鷹の目は力を入れアスカに襲い掛かる。
アスカは咄嗟に避けたり刀で受けたりとするも力の差があり反撃できずにいた。


「……っ!」

「兄から遠のく一方だぞ!!」

「!」


避けていると上にある砂嵐の中にバギーが見え、ウサギに持ってこさせる。
バギーは突然現れたウサギに蹴られ砂嵐から出ることが出来たのだが…


「おお!助かっ…」

「"ラビット身代り"!!!!」


砂嵐から脱出できたと思ったバギーだが、助けられたのも助かったのも違った。
バギーだったが助けられたと思った瞬間鷹の目の刀に斬られてしまったのだ。


「ギャアアア〜〜!!」

「!」

「…って何しとんじゃクラァ!!ウサギィ!!!」

「何よ!切ったのあいつよ!!!」


バラバラの実を食べたバギーは鷹の目に斬られはしたが、能力で体を離しただけで死んではいないし怪我もない。
そう言いながらアスカは斬られたバギーの上半身を鷹の目に投げつける。
しかしやはり鷹の目に斬られ、身代わり以外に役にも立たなかった。


「許さん〜っ!!貴様"鷹の目"だなァ〜〜!!!くらえ!!"特製マギー玉"っ!!」

「!」

「消し飛ぶがいい!!」


上半身の足先に仕込んであったマギー玉を鷹の目に撃つが鷹の目に跳ね返される。
アスカは爆発に巻き込まれないように咄嗟に後ろに下がり、刀を握り直す。


「ああああああ!!!」

「「「キャプテン・バギー!!!」」」

「ありがとうバギー!!あんたの事忘れないからね!!!」


バギーを犠牲にアスカは鷹の目の隙をつこうと一気に懐に入ろうとした。
しかし、その二人の間に一人の男が割って入り、アスカの代わりに鷹の目と剣を交じり、庇う。


「!」

「白ひげ海賊団5番隊隊長"花剣のビスタ"…」

「お初に!"鷹の目のミホーク"!!おれを知ってんのかい?」

「知らん方がおかしかろう…」

「エースの妹!!今のうちだ!エースの弟を追え!!」

「………!」


突然現れた男に唖然としているアスカだったがビスタの言葉に我に返って冷静を取り戻し、息を吐き出すと共に肩の力を抜いてシュラハテンを戻し鷹の目に目線を戻す。


「……勝負はお預け、というわけか…」

「絶対…お姉さまはあんたなんかに渡さないから!!」


アスカと鷹の目はお互い牽制し合いながら別れる。
すれ違う時、睨むのを忘れずに。

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