(275 / 293) ラビットガール (275)

ドフラミンゴの声が聞こえた気がした。
だが、アスカは振り返ろうとする自分を必死に抑え前だけを向く。
ドフラミンゴの事が気になっていた。
どうして自分をリサと呼ぶのか、どうして懐かしく感じてしまうのか…
ローの時もそうだった。
だから気が散ってしまいそうになる。
だけど今はエースを救うことだけを考えようと頭を切り替える。
それでもまだ頭の端にドフラミンゴがいたが、アスカは頭を振って追いやった。


「ルフィ!」


走っていると先に行かせたルフィと合流することが出来た。
アスカの声にルフィはハッとさせ振り返る。


「アスカ!!無事だったか!!良かった…って良くねェよ!!お前な〜!!」


ルフィの小言が始まろうとしていたとき、処刑台で何か動きが見られた。


「ルフィ!あれ…っ!」

「!…本当にエースの処刑早める気だ!!エ〜〜ス〜〜〜〜!!!」


処刑台でエースの処刑を早める海軍にルフィ達は焦り、走るスピードを速める。
すると今度は湾頭に何かがいるのが見える。


「湾頭を見ろ!何かいるぞ!!」

「おれ達の仲間じゃねェ…!海兵が氷の裏を通って回り込んで来たんだ!!」

「何だあいつら!!!」


目線の先には七武海の1人バーソロミュー・くまと同じ姿をしているパシフィスタが何体も並び、その前に戦桃丸が立っていた。


「アレが噂に聞く政府の『人間兵器』か…」

「シャボンディ諸島にいたくまみたいな奴ら!!あんなに!」


シャボンディ諸島で見たことあるパシフィスタとにルフィと戦桃丸の姿にアスカは目を丸くする。


「さァおめェら!!待ちくたびれたぜ!やっと出番だ!!」


くまの姿のパシフィスタが戦桃丸の号令に好き勝手海賊相手に暴れる。
軍艦も木っ端微塵にするパシフィスタを見て白ひげは眉をひそめた。


「己らの犠牲も厭わんか…!後方の敵に構うな野郎共ォ!!一気に広場へ攻め込むぞォーーーーーっ!!!」

「「「ウオオオオオオ!!!!!」」」

「全隊直ちに氷上を離れろっ!!海賊達を決して広場に上げるなァ!!!!」


白ひげ、センゴク、共にお互いの士気を高め、戦場を切り抜けようとする。


「全ての映像が切れた時点で『包囲壁』を作動!!!その後すぐにエースの処刑と共に敵を一網打尽にする!!!」

「了解!!」

「…………」


センゴクの言葉を聞きながらエースはルフィとアスカを心配そうに見つめる。


「エースがやべェ!!急がねェと…、…!」

「っ!!」

「振り出しに戻りなよォ〜〜…」


急ごうとしていたルフィとアスカの前に黄猿が現れ、ルフィを吹き飛ばす。
ルフィはジンベエに受け止められあまり遠くへ吹き飛ばされる事はなかったがアスカの姿がない事に気付く。


「ルフィ君っ!!」

「ぶへっ…!ハァ…!!ジンベエ!!『大将』が出てきた…くそォ!!……ん?…アスカ?アスカはどこだ!?おい!!アスカ!!!」

「ルフィ!ジンベエ!!」

「「!!」」


アスカを探しても周りにアスカの姿はなく、ジンベエも周りを見てもアスカが倒れている姿すら見えなかった。
そんな2人の耳にアスカの声が届き、前に目をやると黄猿に手を掴まれてるアスカが必死にルフィ達に手を伸ばしていた。


「アスカ!!!」

「アスカ君!!」

「悪いんだけどォ…オ〜、キミをねェ〜天竜人に渡さないと色々煩くてねェ〜……ちょォ〜っと終わるまで大人しくててくれよォ…冷酷ウサギのアスカ〜」

「っ!!」


ガチャン、と海楼石の手錠をかけられたアスカはガクッと膝を突き力なく座り込む。


「アスカっ!!!」

「!」


辛そうにするアスカにルフィは黄猿へ向かおうとしていたその時、アスカの腕を掴んでいた黄猿の腕が突然真っ二つに切れてしまった。


「な…!?」

「お前さんは…!」

「……オー…驚いたねェ…いつの間に来てたんだい?……"鬼人のコテツ"ゥ〜…」

「……………」


黄猿が光りとなり急接近してくる前にコテツは斬った黄猿の手をアスカの腕から外し投げ捨てるように黄猿の足元に投げる。
そして素早くルフィ達のもとへと走り、アスカをルフィへ返した。


「ありがとう!!誰だか知んねェけど助かった!!」

「…ありがとう、っ」

「……………」


ぐったりしてルフィの腕に抱かれているアスカに近づき、コテツは無表情でアスカについている海楼石を外す。


「コテツさん……」

「………行け…」


カラン、と手錠が鳴り響き、ジンベエがコテツを見ているとコテツがミコトを睨みつけ、先を促す。
それにジンベエが頷き、アスカを案じながらもルフィの背中を押す。


「…ルフィ君!アスカ君!!手強いが急ごう!!どれだけの強敵が道を塞いで来るかそんな事は始めから知ってここへ来たハズじゃろう!!」

「エースの弟!!妹!!もう体力切れか?」

「え!?」

「!」


すると2人の周りに白ひげの隊長達が囲み、ルフィ達に声をかける。


「おお!隊長達じゃ…!こりゃあ百人力!!」

「『大将』一人に止められてんじゃねェ!!一緒に来い!海兵共が退いてく今はチャンスだ!!一気に突破するぞォ!!」


隊長達の言葉にルフィはアスカを見る。


「大丈夫か?」

「ん、何とか…大丈夫」

「よォし!!あんにゃろうめ…!!!」


海楼石に人一倍弱いアスカを心配して聞くもアスカは短い間だからと体力も戻り、ルフィは前に走りだす。


「オー…こりゃあ手強いねェ…」


ルフィとアスカを守りながら進む白ひげの海賊たちに黄猿は目を細めて呟いた。
目の前にいるコテツへ振り返るとコテツは黄猿に興味がないのか黄猿を無視し何処かへ姿を消す。
黄猿はそのままコテツの後ろを攻撃するでもなく見送っていると、コテツが同僚の女へと歩み寄っているのに気づく。


「まったく、ミコトちゃんったら…元部下の躾くらいしておいてほしかったねェ〜…」


コテツと黄猿は一度会ったことがある。
コテツの意識がミコトに奪われ操られている時だからコテツが覚えているかは分からないが、あの時から手が付けられない問題児だったコテツが敵に回り、ミコトにぼやく。
しかし本人に言えば『あらごめんなさい?』と美しいとも称賛されている顔で微笑まれるだけだと知っているため、それを想像しながら苦笑いで終わる。
相手にされないのなら仕方ない、と言わんばかりに肩をすくめその辺にいる海賊を相手に戦う。


「10番隊隊長クリエル!!向かって来るなら叩き潰すまでだがこの湾内にいちゃ終わりの様だぜ!キシシシシ!!エースは死に!おめェらも逃げられず全滅だ!!おれはどっちが勝とうが興味ねェが"白ひげ"が死ぬのは面白ェ!!」

「オヤジもエースも死なせやしねェよ!!」


「勝負は預けよう、ビスタ」

「互いにその方が利点がありそうだな!」


各隊長が七武海を押さえていたが、海兵達は次第に奥へと引いていく。


「通信は切れたのか!?」

「いえ!もう少しお待ちを!!」


部下に映像を切れとの命令するが何故か1つだけは切れることはなく写っているのにセンゴクはイライラが積もる。


「おい!どうなってる!!グズグズするな!!!」

≪あれは!今までその正体を隠していたが!"海賊王"ゴールド・ロジャーな船に乗っていた"伝説のクルー"のその一人!!大海賊!"道化のバギー"船長では!?≫

≪え?確かにそれはおれだが?≫

「映像を切れと言ってるんだ!!作戦が次に進まん!」

「それが"映像電伝虫"を一匹インペルダウンの囚人共に奪われまして!!」

「何だと!!?」


何故か1つ残った映像にはバギーが写り、部下の報告にセンゴクは目を丸くする。


≪ファンデ!≫

≪OKです≫

≪テイク2いきます!!≫

≪あ〜っ!!あそこにいるのはロジャーの伝説のクルーであり!『四皇』赤髪の兄弟分っ!!大海賊"道化のバギー"船長では!?≫

≪確かに…おれだが?≫

「奴らを今すぐに止めろォ〜〜!!!!!」


センゴクの怒りの号令にバギー達に砲弾を撃つ。
そんなバギー達を放っておいて海賊達は戦場で必死に戦っていた。


「後方に構うな!前へ進めェ〜〜!!!」


しかしパシフィスタ達が立ちはだかった。
そんな戦場を見ていた白ひげとマルコの元にスクアードが現れる。


「ん?スクアードじゃねェかよい」

「スクアード!無事だったか…さっきてめェに連絡を……」

「ああ、すいません…オヤッさん!後方傘下の海賊団はえらいやられ様だ……!」

「持てる戦力は全てぶつけて来る…!!後ろから追われるんなら望む所だ…おれも出る!!こっちも一気に攻め込む他にねェ!!」

「そうですね…おれ達も全員あんたにゃ大恩がある白ひげ海賊団の為なら命もいらねェ!」


スクアードは白ひげの前に立ち刀を抜く。
マルコが気付いた時には遅かった。


白ひげは…息子と思える海賊に刺されてしまう。

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