コーティングされたサニー号はどんどん海中へ沈んでいく。
波と共に差し込んでくる光りが揺らめき、魚とすれ違い幻想的な世界となっていた。
「海がもうあんなに遠い…!」
「絶景だ!!潜水艇でもこんなワイドな窓は付けられねェもんなぁ!」
「沈んで行くぞ!どんどん!どんどん!本当に水入らねェのか!?心配だ!」
ロビンたちはその絶景に目を奪われ感激した声を零す。
しかし能力者のチョッパーは水の中が怖くてシャボンが割れて中に海水が入ってこないかと心配していた。
それはアスカにも少しあるのか、初めはチョッパーと同じく恐る恐ると周りを見ていたがシャボンは意外と丈夫なのを知りすでに平然としている。
「人の住む世界が遠のく感じ…ドキドキする…!」
「ちゃ、ちゃ…っちゃんと地上に戻れるのか!?おれ達…!恐いわけじゃねェんだけど…!」
「海はキレーだなァー!!」
「ヨホホ!ちょっと横見てくださいよー!!」
「!――樹!!いや根っこだ!!」
それぞれ感想を述べるとブルックがふと船の横を指差す。
全員がその指差す方へ目をやるとそこには大きな根っこがいくつも地上へと伸びていた。
その大きさには圧巻させられる。
「まあ、そうだろうな…考えてみりゃシャボンディ諸島はでっけぇマングローブなんだよな…」
「俺は一度見た」
「乗り間違えた船でな!!人が感動してんのに…」
ゾロは一度見ていると興味なさ下だった。
その理由はサンジのみが知っているが、この場にいる全員が原因を察することは簡単なことだろう。
アスカは巨大な水族館にいるように幻想的な光景に言葉もなく目を丸くさせながら海を見渡していた。
「わくわくするなぁ!海中の大冒険!夢見てェだ!お!魚!掴めそうだぞ!」
「――!!」
「こっちにも旨そうなのがいるな。」
「――!?」
アスカ達が地上では見ることが出来ない光景に感激しているとルフィが魚を見て腹を鳴らしながら捕まえようとシャボンの壁へ飛び掴み、反対側ではゾロも魚を見つけゆっくりと刀を抜く。
それに慌ててルフィにはウソップが、ゾロにはチョッパーが止めに入る。
「やめんかァ!!お前ら!!」
「シャボン玉割れたらどうすんだよ!!しばくぞコンニャローーッ!二度とすんな!!」
ゴン、ガン、と鈍い音を立てながらルフィとゾロの頭には大きなタンコブが2つ出来上がっていた。
それをアスカは呆れたように半目で見つめつつも変らないルフィ達にふと小さく笑みを浮かべる。
「ナミさんこいつらがバカやらねェ内にコーティング船の注意事項なんかを…」
「そうね!サンジ君!レイリーさんにメモを貰ってるから…じゃあみんな!説明を!!」
(!―――動いた…!!)
サンジも同じく相変わらずな2人に呆れたように見つめた後レイリーから操作等を教えてもらったというナミへ振り返る。
ナミはサンジの言葉に頷きサンジに笑みを浮かべたが、それがいけなかった…
「生身の美女ォ〜〜〜〜!!」
「サンジ〜〜ッ!!?」
サンジは動く美女に目をハートにさせ再び鼻血を噴出し飛んでいき、シャボンを突き抜けサンジは海中へと放り出されてしまった。
ウソップ達は海の中に放り出されたサンジに目を丸くさせ驚きが隠せずにいた。
咄嗟にルフィが海へ放り出されたサンジに腕を伸ばして掴むが、能力者であるルフィは当然海の中では力も出ず抜けていく。
しかし何とか引っ張りサンジの救出に成功した。
「お前…!!どうしたんだよ!サンジ!!この…女に徹底的に弱くなった感じ!!」
「お前らしくねェぞ!!?」
「不憫な…2年の間に女性大好きサンジさんの身に一体何が…この分では念願の人魚さん達などに会ってしまうと……」
たかが美女が動いただけで鼻血を出して気を失いかけるなど普通はない。
それも2年前のサンジなら到底ありえない光景だろう。
2年前ならばハートの目をさせながらクネクネと嬉しそうに身体をくねらせるはずだった。
ウソップとチョッパーは女に弱くなったサンジを揺さぶるが今のサンジが答えてくれることはなかった。
ブルックは同じ女性大好きな男として今のサンジに同情し、そして同じ人魚好きとして心配そうに目をハートにさせ鼻血を出し続けてぐったりとさせるサンジを見つめる。
「魚人島で献血を募らなきゃな…魚人や人魚は人間と血液同じなのかな…」
「つまり今のように、シャボンディ諸島のシャボン玉と特製は変わらないのね?」
「そうみたい…割れるかとびっくりして損した。」
「冷静にシャボン分析続けるなお前!!あとアスカ!お前びっくりしたならそれらしい表情を浮かべろ…!!」
ブルックとは別の意味で心配そうにサンジを見つめるチョッパーをよそに、サンジが突き抜けたのとサンジを助ける為に腕を伸ばし海に突き抜けたルフィの腕を見ていたロビンが冷静に分析しポツリと呟く。
それにアスカも驚いたと言って続けるが、その表情は多少は驚いたようだが全く驚いているようには見えずついウソップが突っ込んでしまう。
「そう!基本的には同じよ!ある程度まで伸びてそれ以上は突き抜ける。極端な話、船に襲い掛かる海獣に向けて銃や大砲を打ち込んでもシャボンは割れないんだって。」
「じゃあ逆に何があると割れるんだ?」
「1度に多数の穴が空いたりするとさすがにダメみたい…例えば海獣や海王類のキバで噛まれたらほぼアウト……岩や海溝にぶつかったりして中の船そのものが壊れてもマストや船体の割れ口でシャボンが割れてそれもアウトだって……まあ、気を付けるのは海の生物と障害物ね…中からは余計な事しなきゃ大丈夫みたい」
「そうか…意外と強いんだな!!」
「でも…『魚人島を目指す船は到達前に7割沈没するので注意』って書いてあるわ。」
「何が起きるんだよォォ〜〜っ!!!」
ナミは渡されたレイリーからの説明書を読んでいく。
その間にも海獣が船を食べようと後ろから口を大きく開けていたが、横から更に大きな海獣がその船を食べようとした海獣へ襲い掛かりそれを見ていたチョッパーが悲鳴を上げながら同じく目の前の弱肉強食を淡々と見上げていたアスカの後ろへ隠れる。
そんなチョッパーの悲鳴をよそに意外と丈夫だと知ったウソップは安堵していたが、次のナミの言葉にアスカの後ろに隠れながらも聞いていたチョッパーと共に恐怖の悲鳴を上げた。
「おれのガトリングにかかりゃあんな魚の群れ全部穫れるぞ!」
「じゃあどっちが穫れるか勝負しようじゃねェか。」
ナミの説明を聞いていなかったのかルフィが魚の群れを発見し、そんなルフィの言葉にゾロが勝負を仕掛けてきた。
そして、後ろでそんな恐ろしい会話が聞こえたウソップとチョッパーが再び2人の頭を殴って止める。
2年経っても何も内面的に成長していない2人にナミとアスカはお互いの顔を見合わせナミは溜息を深くつき、アスカは肩をすくめた。
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