(12 / 274) ラビットガール2 (12)

「ほら見て!」

「見た!!」

「見てない!!」

「見たんじゃない?」

「見たけど何!?」


ルフィは数人の声に意識が戻っていく。
呻き声を零しながら微かに動くルフィに『あ!』とまた甲高い声が耳に届いた。


「ほら動いた?」

「動いた!!」

「動いてない!!」

「動いたんじゃない?」

「動いたから何!?」


声がはっきりしてきたその時、飲んでいた海水を吐き出しルフィは完全に目を覚ます。
突然海水を吐き出したルフィに驚きの声を上げながら先ほどからの声の主がルフィの側慌てて離れる。


「気がついた!!!」


咳き込みながら起き上がるルフィの周りにはサンジ、ウソップ、チョッパーがおり、ウソップとチョッパーはルフィが起きて大喜びする。
ルフィは周りを見渡せば船にはない貝のベッドがあり、部屋も見た事がない。


「あ!!ルフィちん!!」

「…ん?」


何がなんだか分かっていないルフィの耳に聞き覚えのある人物の声が届き、ゆっくりとその声のする方へ振り返る。


「よかった無事で!!気分はどーお?」

「おー!!ケイミーじゃねえか!!久しぶりだな〜〜〜!!」


ルフィが振り返るとそこには2年前別れたっきりのケイミーがいた。
ケイミーは何かを作っているのか台所らしい場所で動かしていた手を止め嬉しそうにルフィ達へと振り返る。


「また一段とカワイくなってね〜〜!!ケイミーちゅあ〜〜ん!」

「ごめんねー…私みんなの事迎えに行くつもりだったのに時期を一ヶ月勘違いしてて…」


女性が好きだが2年の間で何かあったらしいサンジは女性を見ると鼻血どころか口からまで血を吐いてしまう。
今はリハビリの効果もありよほどの美女か過激な服を着た女性でなければ血を出すことはないが、やはりどんなに変ってもサンジはサンジだった。
そして、ケイミーをはじめとする女性にスルーされるのも変らなかった…


「"魚人島"に着いたのか!?」

「そうだぞ!!おれ達が溺れてたトコ人魚達が助けてくれたんだ!!」

「何を隠そう今の今まで俺達3人も気を失ってたんだ。」


さっき目を覚ましたルフィは魚人島についたことを知らず、しかしケイミーがいるということは念願の魚人島へついた事を示すもので…ルフィは両手を挙げて喜んだ。
そんなルフィに人魚達が助けくれた事をチョッパーから、サンジからはここがケイミーの家だという教えて貰い、サンジが持っていた帽子を受け取る。


「そうか…他のみんなは?」

「それが逸れちゃったみたいでよォ〜っ!みんな大丈夫かなァ〜〜!」

「ああ、心配だな……ナミさんやロビンちゃん…気を失ったままのアスカちゃんが無事だったらいいんだが…」

他の奴も心配してやれ。


ナミ達は無事なのかと聞くルフィにチョッパーが心配そうに答える。
そんなチョッパーにサンジは女性陣だけを心配し、ウソップに即突っ込まれていた。


「そうなのか……まー、でも向こうも何とかなるだろ。」

「海じゃ"骨"は役にたたねえが…"ロボ"も"緑"もいる……大丈夫だろ…ただ…」


サンジはその他の男性陣達を名前で呼ばず見た目で呼ぶ。
それに突っ込む者はおらず、心配そうに『ただ…』と呟くサンジに3人は真剣な表情を浮かべサンジを見上げていた。


「ただ?なんだ?」

「なんか心配事か?」

「ああ……ただ…アスカちゃんがな…」


はぁぁぁ…、と心底心配してます、と言わんばかりにサンジは大きく深い溜息をつく。
そんなサンジをよそにウソップは『なんだよ…そんな事かよ…』と呟いたのだが…それが運のつきである。


「"そんな事"だァァァ!!?」

「ひーっ!」


『そんな事』と呟いたウソップの小さな呟きをちゃんとしっかりと耳にしていたサンジはチョッパーとルフィを跨ぎ貝のベッドの端に座り込んでいるウソップの胸元をガシッと掴みかかる。
その表情は夜叉に似ておりウソップは悲鳴を上げて降参と言わんばかりに両手を上げる。
それでもサンジは『聞き捨てならねェ!!』と怒りを露にさせる。


「アスカちゃんは気を失ったまま海に放りだされたんだぞ!?いわば彼女は泡になりそうな人魚姫…!!早く見つけねェとアスカちゃんは泡となって海に消えていくんだ…!!」

「に、人魚姫って…」

「えーーー!?アスカって人魚だったのか!?しかもお姫様ーーっ!?」

「いやいや!何信じてんだ!チョッパー!!絶対違う!」


バーン、と背後に効果音を背負いサンジは意味不明な事を断言する。
長い間旅してきたアスカが人魚で、しかも姫だというサンジの戯言を間に受けたチョッパーはコレでもかと驚きが隠せない表情で目を丸くさせていたが、すかさずウソップが突っ込みを入れる。
そんな冷静なウソップに奴(サンジ)は再び否定を口にした。


「違わねェよ!!アスカちゃんが可愛いのはなんでだ!?そりゃ人魚だからだ!!じゃぁアスカちゃんが美しいのは何でだ!?そりゃ人魚だからだろ!!!」

「アホかァー!!アスカは歴とした人間だ!!」

「そうだぞ!!サンジ!!」

「「「――!!」」」


ドドーン、とまた背後にデカデカと効果音を背負わせるサンジの言葉にウソップは声を大にさせ突っ込む。
腕を組みドヤ顔で突っ立っているサンジはもう誰も止められない…
誰かこいつの頭殴ってくれ…!!、と女性関係(特にアスカ)になれば暴走も拍車が掛かるサンジにウソップはもうそう心の中で叫びしかなかった。
そんな3人にルフィが声を上げる。
ルフィの声に全員が口を閉じ、サンジ同様腕を組むルフィを見つめる。


「人魚姫っつったら姉ちゃんだろ!!普通!!!」

「いや!お前も何言ってんの!?人魚姫っつったら下半身魚の姫だろ!?普通!!」

「ああ…成る程…じゃあアスカちゃんはさながら人魚の歌姫ってとこか?」

「いやいや!!何が成る程だよ!!っていうかもう一度言うが人間だし、歌を歌ったとこ見たことねェだろ!!!いい加減目ェ覚ませ!!!」


ウソップは突っ込みをいつもより激しく入れた。
何がどうなってアスカとミコトが人魚になったのか分からないがサンジはもとよりルフィまで可笑しな事を言い出しもう収集つかねェ…!、と溜息をつく。
いつもより激しく突っ込みを入れたためか疲れもどっと襲う。

その後、ケイミーの友達という人魚達のいる入り江へルフィ達は向かった。

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