(13 / 274) ラビットガール2 (13)

「おれ…!」

「ここに……!!」


「住む〜〜〜ッ!!!」




バシャーン、とサンジは海から飛び上がりそう叫んだ。




「サンジちゃん面白い人〜〜!!」




目をハートにさせるサンジに人魚達は愉快そうに笑い声を零し、サンジと遊ぶ。
海賊の人間がよくこの島に来るがサンジほど面白く楽しい人間は初めてだと皆楽しそうに笑っていた。


「いいなー…泳げてお前ら。」

「ルフィちんもシャボンつけたら泳げるよ!」

「ホントか!?」


悪魔の実の能力者であるルフィは岩に座り遊びに遊んでいる自分の船の(エロ)コックを怨めしそうに見つめ、ジャバジャバと足で波を立てていた。
そんなルフィにケイミーはシャボンをつけたら泳げると教え、ケイミーの言葉にルフィは嬉しそうに笑みを浮かべる。
そんなルフィ達をよそにウソップは呆れたようにはしゃぎすぎて空中を泳ぎだしたサンジを見つめる。


「結局ここへ来てあいつ元に戻ったな…根性か…」

「よかったよ!あれ以上鼻血を吹いてももう血液のストックがないから……サンジの血液型珍しいやつだし…」


サンジの血は珍しいらしく、残っていたストックもなく今度こそ鼻血を出したら死ぬ、とチョッパーは言った。
ウソップは『マジかよ…』と目を見張った後、心配そうにサンジを見たのだが、鼻の下を伸ばしに伸ばすサンジを見て『いや…もう死んでもいいんじゃねェーか?あいつ…』と更に呆れたように呟いた。
そのウソップの言葉にチョッパーは何もフォローも出来ず目を泳がし口を閉じたという。


「なー、ケイミー!おれこの魚人島で必ず会いてェ奴がいるんだ!!」

「ふーん…誰?人魚姫?」


魚人島に来て会いたいと願う人物といえば真っ先に浮かぶのは人魚姫だろう。
この島に来る殆どの海賊や男達は人魚姫に会いたいと言っているのよケイミーはよく知っている。
だからルフィも同じなんだろうと何気なく聞くがルフィは違うと首を振る。


「いや!ジンベエだ!!」

「ジンベエ親分?」

「ああ!2年前エースが死んで……でもおれがヘシ折れずに済んだのはあいつのお陰だ!ジンベエに会いたい!!」


ジンベエのお陰でエースを失った悲しみに耐えられ、そして仲間がいることを思い出させてくれた。
ルフィとケイミーの会話を聞いていたウソップはジンベエと聞き呆れたようにサンジを見ていた顔を慌てた様子でルフィへ向ける。


「お、おいルフィ!『ジンベエ』ってまさかおめー…また七武海の!!?あ…元七武海か…」

「うん、友達なんだ」

「お前何なんだよっ!!」


ジンベエが2年前の戦争で既に七武海でなくなったため、ウソップは言い直す。
しかし友達と言うルフィに唖然とするしかないだろう。
たかがルーキーが七武海と知り合いだということだけでも驚きだというのに、1人ではなく2人も知り合いだというのはウソップには驚きが2倍だった。
しかもその内の1人がルフィの姉に匹敵するほどの容姿を持つ、女帝ハンコックであり彼女の噂を知る男なら誰しも憧れる人物である。


「この島で会おうって約束したんだ。」

「そういえば、ルフィちんとアスカちんとジンベエ親分が一緒にいるっていう記事読んだ!!」


その約束はアスカも一緒だが、今現在アスカはいない。
しかし気を失っても麦わら一味の二番手…どんなピンチでも乗り越えられるはずだと信じ…というかアスカの怖さは自分が一番知っているため平和そうなこの島での心配はなかった。
ルフィは2年前のジンベエが残した去り際の言葉を思い出しながらケイミーにジンベエが何処にいるのかを聞くが、ジンベエは申し訳なさそうに小さく笑いながらジンベエはこの島にいないと答えた。
そのケイミーの言葉にルフィは目を丸くさせる。


「戦争のとき"七武海"をやめたでしょ?だから『魚人海賊団』だった人達はこの島に居られなくなってジンベエ親分と一緒に魚人島を出て行ってしまったの…」

「えー!?じゃあジンベエには会えねェのか!?」

「詳しく話せば長くなるけど…戦争の後この島にも色んな影響が出て……」


ケイミーの話しにルフィは残念そうに空を見上げた。
『この話しアスカが聞いたらすっげェ残念がるぞ…』とどこにいるのか分からない幼馴染を思い浮かべる。
自分よりもジンベエに懐いていたアスカはやはり自分よりもジンベエに会える事を楽しみにしていた。
それなのに会えずどこにいるのかも分からないとなると自分より落胆するのは目に見えていた。


「ケイミー!ケイミー!!ケイミー!!!ケイミー!!!!」

「…!」


あーあ…、と溜息と共に零したルフィ達の元にメダカの人魚達が慌てた様子でこちらに飛んでくるのが見える。
本当に慌てているが、どこか焦ってもいた。


「船が来るよ!」

「来るかも!」

「王国の船が来る!」

「誰も乗ってないかも!」

「乗ってるに決まってるでしょ!」


メダカの人魚達はお馴染みの言葉を呟きながら船がこちらに向かっているとケイミーに知らせる。
ケイミーはメダカの人魚達に誰が乗っているのかと聞くも、そこまでは見えなかったのかメダカの人魚達は知らないと答えた。


「まだ分からない!」

「珍しい王国の船!」

「ここには滅多にこない船!」

「もしかして"不法入国"のルフィちん達を捕らえに来たのかも!」


不法入国という言葉にルフィ達は目を見張った。
やはりあの方法では不法になるのか、と入国方法を思い出しながらウソップは顔を青くさせる。
そんなルフィ達にケイミーは慌てて隠れるように伝え、サンジ以外は岩陰に隠れ、サンジは海にいたため仲間に知らされた人魚がサンジを抱き岩陰に隠れる。


「あれ?王族のゴンドラ!!」

「やっぱりそお?」

「そうだ」

「そうじゃない!」

「そうなんじゃない?」

「そうだから何!?」

「でもまさか王族の誰かという事はないでしょ。こんな島の隅っこへ竜宮城からわざわざやって来ないわよ…」


目を凝らしてケイミーは船を見る。
その船は見覚えがあり、ケイミーは王族のゴンドラだと目を丸くする。
しかし、ここは島の隅っこのようで、王族がわざわざ来ないと肩を竦めた。
だが…


「ネプチューン三兄弟の御成ァ〜〜り〜〜〜〜!!!」


トランペットが鳴り響き、船の中からは大きな身体をもつ男の人魚が姿を現した。
その3人を見た瞬間人魚達は黄色い声をあげ、手を上げる。


「やあ、入り江の娘達…1つ尋ねたい事があるのだ。」

「きゃーっ!王子様達〜〜!なぜここに!?」


サンジほどではないが人魚達からハートが量産されていく。
憧れである王子が目の前にいるのだから当たり前だろう。
そんな人魚達に慣れているのか王子達は用件を告げる。


「不法入国者の報告を受けているのですが…ここへ来てはいませんか?」

「来てたら言ってくれミファソラシドー!来てなかったら仕方なミレドー!」

「アッカマンボー!わーあ!オイラもここで遊んで行きてーなー!」


王子達の用件とは不法入国を見ていないかという者だった。
人魚達はそれを聞き、一瞬焦った表情を浮かべたが、王子達にバレないよう平然と表情を戻し首を振る。


「い…いいえ!!ここへは誰も来てはいませんが……そんなにも重要な人物なのでしょうか!? 」

「王子達がわざわざ降りてこられる程の!?」

「ウム…まあ…まだ私の思う者達と確定ではないのですが…」


人魚達が一瞬焦っていたことに気付かず王子達は重要な人物なのかという人魚の問いに首を振って見せた。
確定ではないと聞き人魚達は心の中で安堵の息をつく。


「ふむ……そうか…どうもありがとう、他を当たってみよう…国境警備隊の見間違いか……遊戯中邪魔をしましたね」

「いえ!そんな事…」


王子達が人魚達の言葉を信じゴンドラを引き返し去ろうとする。
それを見て全員がホッとさせ安堵を見せたが次の瞬間――


「キャーーー!!サンジちゃん!?」


ブバァ〜ッ!!、人魚の姿の血が岩陰から吹き上げられた。

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