アスカ達は現在地がマーメイドカフェの裏口で近いため歩いカフェへ向かった。
「さっきは言えなかったけどね…マダムはまだ小さい頃『島に海賊がいっぱい来る』って言って……そしたら翌年"大海賊時代"が始まったんだって…」
「「え〜!?」」
その間にマダム・シャーリーの話をケイミーはルフィ達に教える。
ルフィ達は予言が本当に当たっていたことに驚きが隠せない。
ケイミーは他にも『マリンフォードの戦争』・『白ひげの死』等全て言い当てたという。
不吉ばかりが当たるためシャーリーは占うのが怖くなったと声を落とし伝えた。
「見て!ルフィちん!ウソップちん!アスカちん!!ここが『マーメイドカフェ』の入り口!!」
話しているうちにマーメイドカフェに着き、ケイミーは沈んだ表情から一変させ笑みを浮かべ自分が働いているカフェを両手を広げ自慢する。
「へぇ…」
「うわー!腹減ってきた!!」
「カフェだっつーのに…!」
「食べ物もあるよ!ケーキや海のフルーツが!」
「…肉は?」
ケイミーの言葉に3人は顔を上げる。
デカデカと立てられたその建物の看板にはデカデカと『マーメイドカフェ』と書かれ、タツノオトシゴが左右対称に描かれていた。
ルフィはカフェというよりもお店という事でお腹を鳴らす。
しかし食べ物があるといったケイミーの口からは『肉』という単語が出てこない。
「人魚はお肉もお魚も食べないからメニューはワカメブリュレ、モズクアルト、コンプスフレ…あ!貝のお肉あるよ!ホタテサンドにシジミピザ!」
「貝は肉じゃねェ!!肉をナメんな!!」
「私ホタテサンドとシジミピザに興味ある…」
「なに!?裏切る気か!アスカ!!」
幼馴染であるアスカがケイミーから出てくるメニューを聞き、お腹を押さえながら興味のあるメニューの名を呟く。
その呟きを耳にしたルフィが信じられないと言わんばかりに目を丸くさせ驚きの表情を浮かべる。
幼馴染のアスカなら肉の重要さ、そして素晴らしさを共感してくれると思っていたようで、相当なショックを受けているようだった。
『お前ら!肉をナメんなよ!!肉を!!』とケイミーと幼馴染に向けルフィは啖呵を切るように声を上げるが…当然アスカに無視されケイミーも気にしている様子もない。
異常に肉に執着があるルフィは2人の背後でウソップに宥められていたがマーメイドカフェの扉が開き、中から意外な人物が出てきて全員目を丸くさせる。
「あれ〜〜!?ルフィさん達!!あ!それにアスカさんに懐かしいケイミーさんも〜!!」
「あー!ブルックち〜〜ん!!」
「お!何だおめー!ここにいたのか!!」
その人物とは両脇に美人な人魚をはべらせるブルックだった。
ブルックは白い骨にいくつものキスマークをくっ付けたまま数時間以来のルフィとウソップと気を失って以来のアスカ、そして2年前に会って以来のケイミーに両手を挙げて喜びを表す。
その肩には見慣れたヒトデが乗っていた。
「ムギ〜〜!!ハナ〜〜!!ウサギ〜〜!!会いたかったぞ!おめェらーー!!来てたんだな!!」
肩に乗っているヒトデ…パッパグが2年の再会に涙を流しブルック同様短い手を上げて喜ぶ。
ルフィ達もパッパグとの再会に喜んだのだが…
「ソウルキング!また来てね!!夢のような時間だったわ〜!」
「ヨホホ!!必ず戻って来るぜ!ビューティフルマーメイズ!!」
「何ーーーっ!!?」
パッパグとの再会よりもなによりも驚いたのは目の前の光景だろう。
目の前には美女の人魚に頬にキスされているブルックの姿があった。
たかがと言ったら失礼だがたかがカフェでこうまで骨抜きになりハイテンションになるブルックにルフィとウソップも流石に驚きが隠せない。
因みにアスカはしらーっ、と無表情かつ冷たい瞳でブルックを見つめていた。
「お前ら今日帰るわけじゃあるめー!マーメイドカフェには全員で後で行きゃあいい!!今から"骨"を我が屋敷へ招待するところなのさ!!ついて来い!海獣の肉は好きか!?」
「あるのか〜〜!!?」
「ワルドなおれがワカメなんぞ食っとられるか!!おれの主食は凶暴な海獣共の肉だ!!」
カフェには肉がないと嘆き逆ギレしていたルフィはパッパグの口から肉という単語が出てきて犬のように下を出し目を輝かせていた。
腕を組み肉が好きだと断言したパッパグにケイミーが何かを思い出したのかカバンから何か取り出しパッパグに差し出す。
「あ!パッパグ!!今日の蛤!」
「わ〜い!ケイミーのおいしいハマグリ!!」
「貝じゃねェか!!」
差し出したのはやっぱり蛤だった。
肉が大っ好物だと言いながらも貝を喜んで受け取るパッパグにウソップの鋭いツッコミが入る。
「そうだ、アスカさん…」
「なに?」
「パンツ、見せてもらってもいいでしょうか?」
「パンツ?はいてな…」
「おーーい!!行くぞー!!」
気を失っていたアスカに再び再会しせっかくだから、とブルックはふと何かを思い出したかのように『駄目だこいつら…』と完全に呆れているアスカに声をかける。
それは相変わらずの言葉でお馴染みとなっているのだが…素っ裸でも平然と男の前で立っていられるアスカが律儀にも答えようとしたがやはり邪魔されてしまう。
ルフィの声に遮られたアスカの回答は当然ブルックに聞こえることもなく、ブルックは『あ、は〜い』と呑気に答え早足で止めたタクシー(魚)の元へと歩み寄る。
アスカも別段気にもせずブルックの後に続く。
「ん!!?アレアレ!?」
「?」
「わーーっ!!バンダー・デッケン!!なぜオバケが指名手配に〜〜!!?」
「バンダー・ゲッテン?」
タクシーに乗り込もうとしたブルックだったがふと巨大サンゴに貼り付けられているバンダー・デッケンに気付き悲鳴に似た声を上げた。
アスカは指名手配を見てもこの人物とは気を失っていて見た事がないため驚愕しすぎるブルックに首を傾げる。
そんなアスカに乗り込もうとしていたウソップが手短に教え、ウソップからの説明を聞きながらアスカはただ『へぇ』と恐怖もなく冷静にそう呟いただけだった。
パッパグによるとゲッテンは国を挙げて何年も探している海底の盗賊のようだという。
詳しい話は乗ってからと言われ3人はお魚タクシーへ乗り込んだ。
「あいつは週に一度はこのリュウグウ王国の人魚姫にラブレターを送ってきやがってやがてそれは手紙から小包へ…そして脅迫の求婚状へと変わっていった…!人魚姫は脅え無視できない事態になって……」
「そう!お姫様のお父さん、ネプチューン王が怒ってさっき会った3人の王子が軍隊を引き連れて探し回ってるだけど見つからない!!」
「ケイミー?ケイミー??その話題今おれが説明…」
「あ…つまりこの国を治めてる"海神"ネプチューン王には4人の子供がいてね、一番下が人魚姫様そのお兄さん達がさっきの3人の王子様達なんだよ!」
パッパグの話を遮るのも相変わらずなのかアスカはその懐かしい光景を目にしながらケイミーの説明を聞いていた。
人間の男全てと言っていいほどに憧れの的である人魚姫の兄が自分を助けてよくしてくれたフカボシ達だと知り、今まで興味なさそうに聞いていたアスカも外の光景からケイミーへと目線を移す。
自分の隣にはルフィとウソップが気持ちよさげに椅子に顔を埋め、後ろには何故か足が曲げないブルックが変なポーズで座っている。
ブルックはケイミーとパッパグの説明を聞き、不安そうな表情を浮かべパッパグへ声をかけた
「やー…でも私が聞きたいのはバンダー・デッケンという人は何百年も前の呪われた海賊では!?…ということ!」
「まー…伝説なんてものには尾ヒレハヒレつくもんでよ…実在はした様だが実際そのイカレた船長バンダー・デッケンはこの魚人島へ行きつき この国で息絶えたと聞いてる…現におめェらの逢った船はまさに伝説通りのフライング・ダッチマンだったろうが乗ってんのはその子孫……」
「"バンダー・デッケン九世"よ!!」
「ケイミー?あれー?ケイミー??」
再びケイミーに遮られ出番を奪い取られたパッパグは瞳から大量の涙を流す。
そんなパッパグなどよそにブルックは本物のゴーストだと思っていたためか子孫だと知りホッと胸を撫で下ろす。
ルフィ達はバンダー・デッケンなど初めから興味がないのかタクシーから見える魚人や人魚達を見下ろしていた。
ウォーターセブンに立ち寄った時に会ったココロと同じく二股のヒレを持った女性が買い物袋を持ちゆっくりと歩いており、その側には人魚の赤ん坊を乗せたベビーカーを引いている男の魚人と約5歳ほどの魚人の子供がいた。
パッパグによれば人魚と魚人が結婚した場合子供は人魚か、魚人、女か男の4パターンが生まれるという。
「ん?アレ、何だ?」
パッパグの説明を聞きながらルフィはふとあるものに目が留まった。
それは巨大なお菓子工場で、パッパグはお菓子工場だと教えるもルフィは違うとあるものを差す。
それは海賊旗だった。
「なんで海賊旗ついてんだ?」
「あれ…本当だ……誰の海賊旗なんだろ…」
ルフィが海賊旗と呟いたためアスカも同じ海賊として気になったのか覗き込むようにシャボンに顔を近づかせる。
そこには大きな黒くガイコツのまさに海賊麒だというマークが張られていた。
「あれと同じものが島の入り口にも港にもある。この島は今"あの海賊旗に"守られてるのさ!マークの持ち主は"新世界"のシャーロット・リンリンという海賊!!通称"ビッグ・マム"「四皇」の一人だ!」
不思議そうに見るアスカとルフィにパッパグが説明をする。
どうやら2年前の戦争前では"白ひげ"の名でこの国は守られていたらしく、白ひげ亡き今ではビッグ・マムが変わりに海賊旗を貸してくれているらしい。
白ひげは見返りを求めなかったが、ビッグ・マムは毎月大量の甘いお菓子を要求していた。
見返りが無かった白ひげの代わりにビッグ・マムの要求を文句言わず呑むほどこの国は四皇の誰かに守られなければ国が成り立たないほど海賊の往来が激しく本来なら危険な場所だとパッパグは続けた。
「白ひげのおっさんの代わりに守ってくれてんのならいい奴なのか"ビッグ・マム"」
「どうなんだろ…白ひげのおじさんは良い人なんだろうけど…四皇って言っても海賊でしょ?」
「まぁ…『ビッグ・マム』はビジネス程度に考えてんのかもな…」
会ったことないからビッグ・マムを想像してもイメージが湧かない。
ルフィもアスカも、四皇といえばシャンクスと白ひげしか印象にない。
そもそも悪名高いとはいえルフィ達のような海賊が四皇と会った事があること自体稀だろう。
いい人か、そうでないかは、会ったことがないからなんとも言えないが、名を貸す代わりの対価を貰う行為自体は引っかかるわけではないだろう。
◇◇◇◇◇◇◇
「ど…!どうしたんだ!?マダム・シャーリー!!」
アスカ達がセレブの町、『ギョバリーヒルズ』についたその時…サンゴが丘にざわめきが広がっていた。
マーメイドカフェから出てきたシャーリーだったが、その様子が可笑しいのだ。
取り乱し、汗をかき、頭を抱えて出てきており、見るからに何かに怯え身体を震わせている。
「彼を…!!彼を捜して!!麦わら帽子を被った海賊のボーヤを…!!!追い出しておくれよ!!今すぐこの国から!!」
「おい!マダムどうしたと言うんだ!!まさかまた占いか!?」
息を荒くして声を上げるシャーリーに周りに居た者達は慌てふためく。
シャーリーの占いはよく当たるのはこの国にいる誰もがよく知っているため、その怯えように誰もがシャーリーに駆け寄る。
シャーリーはぐっと目を瞑り何かに耐えるように声を振り絞り続けた。
「…見るつもりはなかった……だけどあのコに何かを感じて…つい…覗いてしまったのよ…!未来を!!」
シャーリーはついに地面に項垂れ苦しげに声を零す。
「どうしたんだ!!一体何が見えたんだ…!?」
「マダム!!」
「シャーリー!!」
「外れてほしい…!占いが…外れてほしい!!」
項垂れていたシャーリーに人々は心配そうに見つめる。
シャーリーは先ほど見たイメージが再び脳内に再生され更に苦しげに声を零し顔を歪める。
彼女が見たイメージとは―――
「ハァ…ハァ…!麦わら帽子を被った人間…!!
"麦わらのルフィ"によって………
彼の手によって…!!!
"魚人島"は滅ぼされる!!!」
―――シャーリーが見たのは燃え上がる炎の中に浮かぶ麦わら男のシルエットだった。
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