(19 / 274) ラビットガール2 (19)

「ほっほっほ!落ちるでないぞ!」


ざわめき戸惑う住人をよそにルフィ達をメガロに乗せ、男…この国の王であるネプチューンを乗せたホエを先頭に再び空へと舞い上がる。


「ほっほっほ!そのサメ…『メガロ』は娘が大層可愛がっておるペットじゃもん!あの時はメガロが帰って来んと泣いて手に負えなんだ…!クラーケンに襲われとったとは危ない所よう助けてくれたもんじゃもん!!」

「ししし!まー、偶然だけどよかったな助かって!!」

「シャッシャッ!」


メガロは娘のお気に入りのペットだから助け出してくれたお礼をしたいとネプチューンは告げる。
ナミはお礼といえばお宝で十分だと既に目をベリーにさせ宴会など無用だと言いのけアスカは2年前と全然変らないナミの性格に『流石ナミ』と呟いた。
お礼の内容はアスカが気絶していたためよく分からないが、どうやら自分が気を失っている間に何かがあり、その時にルフィがこのサメを助けたようである。
そんなルフィ達の中にパッパグとケイミーもおり、ネプチューンは『友人も構わんじゃもん』と自分達も招待してくれ、ケイミーは自分の国で一番偉い人物と間近で対面しその上王宮にまであげれるとなりガチガチに緊張していた。


「ほっほっほ!実は先に息子達を使いにやったんじゃがとんと戻ってこんのじゃもん。それでわしが来た!わしも宴の料理が楽しみで早く始めたいんじゃもん!」

「息子って…あ、もしかして王子って言われてた人達?」

「なんじゃ…会っておったのか。」


『じゃあ可笑しいのう…』、とアスカの呟きを耳にしたネプチューンは息子達と会っているということは宴会の事を聞いていると勘違いする。
しかしその息子達と会っていたアスカ達は宴会の事など全く知られておらず、息子たちも帰ってきていない。
はてはて…、ともじゃもじゃしているヒゲを撫でながらネチュプーンは首をかしげた。
しかし『まあ、あやつらも子供ではないかの…すぐ戻ってくるじゃろ』と結論付け、ふと思い出した事をルフィ達へ告げようと声をかける。


「ああ、言い忘れたがお前達の仲間をすでに一人招いておる」

「え?」

「そやつが今さっさと酒盛りを始めてしまっとる…宴は皆でやる方が楽しいと言うのに身勝手な男よ!」

「ゾロか」

「ゾロね」

「ゾロだね」

「確か…名前が……ゾリ!!」

「「「ゾロだって」」」


思い出した事とは麦わらの一味の仲間の1人をすでに招いているということだった。
酒盛りを既に始めているという身勝手男にルフィ達5人の頭上に緑のアイツが思い浮かび上がる。
一同が『ゾロ』だと答えたのにネプチューンは何故か『ゾリ』と間違えて呼んだ。
仲間の名前を間違えられアスカとナミとウソップは声を揃えて突っ込みをいれ、そんな3人の突っ込みをよそにネプチューンは他の仲間達も兵達が探して招く予定だから安心するといいと続けた。


「そういえば…ナミ、ロビン達は?ロビン達もバラバラになっちゃったの?」

「ん?ううん。確かフランキーはトムさんって人の親族を探すって……ロビンは大切な歴史がどうとか…」


気を失ったまま海に放り出されたアスカは他のメンバーもバラバラになっていたのか、とこの中でしっかりしているナミに聞くがナミはバラバラにはなっていたがすぐに再会したと答えた。
しかしやはり纏まり感のないこの一味で集まっていることが無茶な事らしく、フランキーとロビンはすぐに別れたと続けた。
そして、残りのゾロは今竜宮上で飲んでおり、サンジとチョッパーは町で休み、バラバラとなっていた仲間の無事は一応全て取れ、アスカは無事なのは十分に分かっていたが言葉にして聞きホッと安堵の息を小さくつく。


「ねー、ところでおじいちゃん!」

「"海神"!!ネプチューン様だくらァ!!!」


アスカの質問に答えた後、ナミは前のクジラに乗っているネプチューンへ声をかける。
しかし、ナミから出た言葉は名前ではなく国王様という呼び方ではなく、『おじいちゃん』だった。
自分の国の国王に無礼な呼び方をするナミにパッパグはナミの頭に噛み付いた…――が、すぐにやり返されパッパグはナミによってボロボロの滅多打ちにされてしまう。


「ここは深海1万mなのにこの魚人島のある場所だけどうして明るいの?」

「ほっほっほっ!魚人島のある場所が明るいのではない…世界で唯一光の差すこの海底に…遠い昔…魚人達が住み始めた…それが魚人島…!!ここには地上の光をそのまま海底に伝える"陽樹イブ"という巨大な木の根が届いておる…!」

「光を!?つまり1万mを超える光る根っこをもつ樹があるって事!?」

「そうとも!学者達は何かと理屈づけておるが地上で受けた光をその根に灯す神秘の樹じゃもん!その樹の根の呼吸はさらに空気をも海底へと供給する…!!」

「シャボンディの『ヤルキマン・マングローブ』の親分みてェなモンか!!」

「地上に陽が差せば海底も明るく……地上の夜には光を失う 何の慈愛か……我々もまた当然という顔をして……太陽の恵みに生かされておるんじゃもん!」


この海に来る途中、色々とトラブルはあったものの海底へ進めば進むほど光りが届かないほど暗くなり、そして光りが届かないため寒かった。
気を失っていたアスカはその暗さと寒さを見て感じたことがないためネプチューンの説明をただ『へぇ…』と呟くしかない。


「"陽樹イブ"…」

「サニー号の船体を造った"宝樹アダム"と何か繋がりはあるんだろうか…フランキーに教えてやろう!」

「それよりもじゃもじゃのおっさんハラへった」


海底が光りがない事よりも、そして光りが届いている事よりも何よりもルフィはぐぐー、と鳴らすお腹を押さえネプチューンに腹が減ったと訴える。
ナミに続き無礼すぎる態度と言葉を繰り出すルフィ達にパッパグはもう何度怒り狂ったか分からない。
そんな無礼すぎる人間達にネプチューンは怒ることもなく愉快そうに笑い声を上げる。


「ほっほっほ!やがて着く―――あれが入口じゃもん」


話しているうちに入り口に着いたようで、ネプチューンは入り口についてあるベルに手を伸ばし鳴らした。


≪はい≫

「わしじゃもん!」

≪こ…!国王様っ!只今通路を降ろします!!≫


ベルを鳴らせばすぐに返事が返って来たのだが、その相手が国王と知り姿が見えない向こうは慌てふためき急いで通路を降ろす。
どんな通路を降ろすのだろう、と内心アスカはワクワクしていたが通路は通路でも水の通路だった。
どういう原理かは知らないがゆっくりと水が降りてくるその光景は人間からしたら不思議でならない。


「さァゆこう!ネ〜プチュ〜〜ン!!」


その水の通路に入る前、メガロに乗っている人間の為にシャボンを大きくさせ早速と水の通路へと入っていく。
やはりクジラとサメは空中よりも水中が得意なようで、空を泳ぐよりも動くスピードは早かった。


「さァここじゃもん!!」


水の通路を通れば、そこにはデカデカと城がルフィ達を出迎えてくれた。
水中の中にあるためメガロの上からは動けないがその水中の中に浮かぶ城と数々の美しい魚にルフィ達は圧倒されてしまう。


≪開門します!!お帰りなさいませ!国王様!!≫

「うわ〜っ!!色々あって楽しそうな城だな〜!!」

「我が城じゃもん!ゆるりとしてゆけ!!」


国王の姿に門の奥から『どこへ行かれたかと…!』と心配した声が聞こえた。
重く低い音を立てながら門はゆっくりと開けられ兵達に出迎えられネプチューンとルフィ達は城へと入っていく。
しかし…


「まったく!あなたという人は!!ご自分の立場を弁えもせずまた勝手に城外へ!!護衛兵も引き連れず下海へ下りるなど言語道断!!何かが起きてからでは遅いのです!今この国がどういう情勢にあるのかあなたは!!!」

「かなわんわー…」

「…はい……はい……以後気をつけるんじゃもん…」


(((怒られた…!!)))


広場へと向かい兵達が国王を出迎えたのだが、国王は有無を言わさず大臣2人に怒られ叱られ肩を落とす。
それを見てナミ達は先ほどの威厳はどこへいったのやらな叱られしょんぼりさせる大きくも小さくなったネプチューンの背中を見て全員同じ突っ込みを入れる。
誰もが臣下に叱られている国王に気を取られている間、ルフィはその料理(特に肉系)に関したら動物にチョッパーよりも嗅覚が鋭くなるその鼻で何かをキャッチしたのか誰にも言うでもなくクンクンと鼻の穴を大きくさせながらアスカ達の輪から外れてその場から姿を消した。


「それよりホレ…!!例のクラーケンにいじめられていたメガロを助けたという者達を連れて来たのじゃもん!さァ客人達を持て成せ!姫は?しらほし姫はどうしておるのじゃ!」

「──…それが国王様…つい先程また……」


メガロとナミ達を指差し宴を開くよう臣下達に伝えるが、臣下達はネプチューンからナミ達へ目線を移した後苦々しい表情を浮かべ再びネプチューンへ目線を戻す。
何か伝えづらそうに小声でネプチューンに伝え、その言葉にネプチューンはカッと目を見開き怒鳴り声を上げた。


「何と…!!姫を不安にさせぬ様しかと護衛せぬからそうなるのじゃバカモォン!!」

「そんな折にあなたが突然行方をくらましては城内の不安を煽る事になるとわからんのですか国王!!そもそも!!!」

「かなわんわー…」

「…本当に……以後気をつけるんじゃもん……」


臣下が国王を叱るというこの光景はどうやらお馴染みらしく、兵達が慌てるようすもない。
叱ったはずなのに何故か自分がまた怒られたネプチューンは先程より更に肩を落とし、ナミ達も同じツッコミを繰り返す。
ただ、アスカだけは『駄目だこのおっさん…』と呆れたような目でネプチューンの小さな背中を見ていた。
叱り終えたタツノオトシゴの人魚、右大臣とナマズの人魚、左大臣が更に重大な話があるとネプチューンに伝える。


「あれ…ルフィは?」


何か再び内緒話をしだしたネプチューンたちをよそにナミはふとルフィがいないことに気付く。
ナミの言葉でようやくアスカ達もルフィがいないことに気付き全員が辺りを見渡すがやはりルフィの姿はない。


「本当だ…ルフィがいない……もしかして宴の為の料理の匂いを嗅ぎ付けたとか?ちょっと待てばいいのに…」

「あんにゃろ…1分とじっとしてられねェな…」

「あいつ何神の聖域をウロついてんだよっ!!」


『もうあの食いしん坊め!!』とちょっと違うがある意味的を得ているアスカは自分もお腹がすいているのもあり先に食べられてしまうのを想像しただけで苛立ちが積もっていく。
もし、本当に宴用の食事の匂いを嗅ぎつけて全部食べたらタダじゃおかない!!、とアスカはこの場にいない幼馴染に怒っていた。

そのためか、アスカは兵士達の眼つきが鋭くなったことに気付かない。

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