(21 / 274) ラビットガール2 (21)

「いたたた…」


ネプチューンは激痛に顔を歪める。
その巨体には太く頑丈な鎖で縛られていた。
あれからネプチューンは三叉槍でゾロ達を再び捕まえようとしていたのだが、ギックリ腰によりギャクに捕まってしまった。
残った兵士達も捕まり、その場にウソップとブルックとゾロの口論が響く。


「いくらなんでもやりすぎだ!!」

「そうですよ!反省してください!!」

「おめェらが始めた戦いだろうがよ!共犯だバカ野郎!」

「俺達は威嚇して逃げるつもりだったんだよ!」

「やっちまったモンはしょうがねェじゃねェか!ガタガタ言うな!」

「ただ平和に観光とショッピングを楽しんでたのに…」

「ねえ、ナミ…逃げるだけなんだからもういいでしょ?脱いでいい?」

「ダメ。」

「…………」


ウソップとブルックに責められゾロも声を上げて反論する。
その傍らでは溜息をつくナミと、そんなナミにもう戦闘もないしレギンスを脱いでもいいでしょ?と再度聞くがやっぱり帰ってきたのは却下だった。
レギンスを穿いているとは言え短くないワンピースの丈なのに…とスカートを掴み上げて、むむ、と眉間にシワを寄せる。
そんなアスカにナミは『こら!捲らないの!めっ!』とスカートを捲っている手を叩く。


(めって…やっぱりナミは私の年齢を間違って覚えてるんじゃないかな…)


叩いたと言ってもペチ、と軽く叩いただけで痛みはない。
『この服に着替える時に19歳なんだからって言ってたくせに…めって…』とアスカは都合のいい時しか大人扱いするナミに唇を尖らせるのだが…その仕草が子ども扱いさせているのかもしれないとは本人は思うまい。
拗ねるアスカなど気付かずウソップとゾロの口論は続く。


「しょうがねェで済むか!!魚人島に立ち寄ってうっかり『竜宮城』を"占拠"ってどんな極悪海賊だよ!!」

「じゃあやられればよかったのか!?」

「頃合いで逃げようって何度も言ったろ!おれは!!」

「逃げ方が分からねェ上にルフィがいねェじゃねェか!!」

「そうなんだよ!ルフィがいねェんだよ!あいつどこ行った!?」

「さあ…」


話が段々と逃げ出す事から肝心のルフィのことへと変り口論も早々と終わった。
結局言い合いしていても占拠という現実から逃げ出せないため、もう口論する気力すらなくなった。


「ねえ、本当に急いでいるの!だから意地悪しないで教えて!」

「そう…ルフィの居場所を…」

宝物庫はどこ?

「やめんかァァ!!!」

「え…なぜ?」

「なに純真なフリしてんだ!分別をわきまえろ!!」

「さぁみんな!辛い時は歌ってハッピーになろうぜ!カモン!!♪何とかなーる!何とかなーる!ならなくてーもいつか死ぬー!YEAH!!♪」

「テメェも黙ってろソウルキング!!」

「ていうか正直飽きた…もうこの際だから魚人島を潰しちゃう?」

「やめろーー!それだめー!絶対だめ!!イジメ・カッコワルイ!!」


溜息をついていたウソップの耳にナミが近くにいた兵士に何かを聞いているのが届いた。
同じビビリ仲間のナミもここから早く逃げ出そうとしているのかと頷いていたのだが…ナミはルフィではなく宝物庫の場所を聞きだそうとしていた。
それにウソップは必死で止めるがナミは何が悪いのか分かっていない純粋な少女のような瞳でウソップへ振り返り、お金の事になると質が悪くなるナミにウソップは声を上げる。
その上励ましているのかしていないのか不明の即席の歌を歌い始めウソップは続けざまに突っ込む。
そして止めにナミに脱ぐのを却下されてもう全てがどうでも良くなったアスカの物騒な投げやりの言葉にもう悲鳴に近い突っ込みを更に続けた。
『えー…』と不満気な声を零すアスカの声を聞きながらもウソップは突っ込み続けたため肩で息をしていた。


「ネプチューン様…ご無事でしょうか!?まさか海の大騎士ネプチューン王がこの様な…」

「むーん……ギックリ腰が出ては戦いようもないし…年を取ったな……不覚じゃもん……すまぬ!」


突っ込み疲れボロボロなウソップなどよそに右大臣が共に捕まってしまった国王を心配そうに振り返る。
ネプチューンは無念だと悔しげに、そしてギックリ腰の痛みに顔を歪めていた。
王も捕まり、自分を含む兵達全てが捕まり、約1名は物騒な事を呟いておりまさに絶体絶命となってしまう。
しかしまだ希望は残されている…右大臣はキッとウソップ達をにらみつけた。


「貴様ら…!!フカボシ王子!リュウボシ王子!マンボシ王子のネプチューン軍3強が帰城なされた折にはその体タダでは済まんと思え!ぬう…城全体を水で埋めれば奴らに勝ち目などないものを…逆にすべての水を抜かされるとは!!」


右大臣は悔しげに声を零す。
希望…それは王の息子である王子達だった。
しかし、右大臣はまさかその王子のうちの1人が物騒な事を呟いた見た目と中身のギャップが激しいアスカに惚れているとは思わないだろう。


「とにかく…もう魚人島には居られねェ…サニー号はどこにある?全員集めてすぐ出港だ」

「でもサニー号はこの島に突入した時コーティングが取れちまったぞ!?」

「それにログポースも様子がずっとおかしいの!島についてから全く定まる気配がなくて…」

「かなわんわー…そんな単純なポースでは"新世界"は渡れんぞ…無知な海賊共め!」

「え?これじゃダメなの?どういうこと?」

「私の縄を解くなら教えよう。」

「………」


こんな騒ぎをしておいてゆっくり出来るはずもなく、ゾロ達は一刻も早くこの島から出て行こうと話し合う。
ルフィが何を言おうがこっちにはアスカがいるんだ、とゾロはルフィが幼馴染に弱いのを知っているため強気になれていた。
その肝心のアスカは長いスカート、そしてレギンスに慣れていないため不機嫌になっており全て投げやりである。
どんだけあんた露出したいの…、という突っ込みが聞こえそうである。
ナミは左大臣の条件にムッと眉を顰めた。

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