(24 / 263) ラビットガール2 (24)

竜宮城入り口、連絡廊。
竜宮城からはその連絡廊でしか入ることはできない。
連絡廊から入れば総門があり、王宮『御門』へ繋がっている。
その門全てをここからレバー1つで操作していた。
そのため侵入者は入ることはできないはずだった。
しかしその門全てはいつの間にか全て開かれその門を潜りある者達がアスカ達の前に現れる。


「貴様ら一体…!どうやってここまで入ってきた!!」


右大臣はそのその者達を見て表情を一変させ声を上げる。
その者達の登場に気付いたアスカ達も門の方へ振り返る。
そこにいたのは…


「あの顔!!忌まわしきバンダー・デッケン!ついに姿を現したな!!?」

「それにあいつは…!『魚人街』のホーディ・ジョーンズ!"再び"ここに何の用だ!!」


侵入者とは、ホーディとバンダー・デッケンだった。
2人は魚人達を携えており、強面な魚人達が大勢竜宮城へと入ってくる。
アスカは右大臣達の『ホーディ』という名前に伝言の中にあった名前だと気付き怪訝そうにホーディを見つめていた。


「…ホーディ…!?…あやつは……」

「その昔…我が軍に所属しておった有能な兵士です…!!」


ホーディという何聞き覚えがあるのかネプチューンは目を見張りホーディへ目線を向ける。
ネプチューンの疑問の言葉に答えたのは右大臣だった。
右大臣からホーディは元竜宮城の兵士だと知り、ネプチューンは唸り声を零す。
そんなネプリューン達をよそにホーディとデッケンは予想外の展開に声を上げた。


「そんなバギャな!!すぐに戦闘を始めるつもりでいたがネプチューンも兵士共も全員縛られてるじゃねェか!」

「驚いたぜ…まさかこんなプレゼントが用意されてるとは…!!コイツは罠か!?話が上手すぎる!!」


2人はまさか麦わらの一味が既に自分達の代わりに兵士達を縛っていてくれているとは思っていなかったのか多少の驚きの声を零した。
ゾロは新たな者の登場に溜息をつき、刀へ手を伸ばす。


「次から次へと客が来る賑やかな城だ…」

「おい!せめて武器を持たせてくれ…っ!!」

「――さては貴様らヤツらとグルか!? ヤツらをここへ招き入れたな!?」

「あのなー!!俺達はおめェらに招待されてなきゃここへは来てねェんだ!!何なんだよ!あの強そうな奴らはよ!!!」

「強そう?雑魚そうの違いじゃなくて?」


初対面で初対面な相手とグルだと左大臣に言われたウソップは声を上げて否定する。
アスカは強そうだと声を大にして言うウソップに『えー?』とデッケンを見ながら眉をひそめ首をかしげて2人を見つめていた。
そんなアスカにウソップは『どー見ても強そうじゃねェか!!』とホーディを指差す。
アスカとウソップのやり取りなど気付かず、ネプチューンはデッケンを視界に納め表情を鋭くさせた。


「バンダー・デッケン!!お主が現れたからにはもう疑いようもない!!犯人は貴様じゃ!娘を返せ!!」

「バホホホ!まだ嫁にも貰っていねェのに返せとは気が早いぜ!お父様!!

お父様と呼ぶなァ!!しらほしをどこやった!?無事でおるんじゃろうな!!」


結婚を認めるどころか言い寄るデッケンを疎ましく思っているネプチューンはそんな男から『父』と言われ怒りは爆発寸前である。
そんなネプチューンをよそにデッケンは自分が想いを寄せる人魚姫がいないと言っているようなようなネプチューンの言葉に目を見張った。
惚ける様子を見せるデッケンにネプチューンは更に声を上げる。


「とぼけるなァ!!ではなぜしらほしが突如部屋から消えるのじゃ!!」

俺のしらほしが消えただと!?

わしの娘じゃもん!!!


俺の嫁発言を繰り出すデッケンにもうネプチューンは堪忍袋の緒が切れはじめ、只今糸一本で保たれていた。
このままの調子ではその最後の1本もいずれは切れてしまいかねないと兵士達は慌ててネプチューンを宥める。


「落ちつけよデッケン!!見ろ!人魚姫めがけて飛ばした人間共は無事到着してるんだ!!少なくともその間はしらほし姫はここにいたってことだろう!?第一あいつらの言う事がウソでも本当でも!お前にはその"位置"を知る術があるハズだ!!!」

「確かに!ホーディ…お前は頭の回る男だ!!…のはずだ!!」


混乱しているデッケンを我に返させたのはホーディだった。
ホーディはゾロにやられた人間の顔を掴み持ち上げながらデッケンにその人間を見せる。
デッケンはホーディの言葉にハッと我に返り、人魚姫がいないことに頭に血を上らせていたのを静めた。
ホーディに気付かされたデッケンは外にある巨大なサンゴを毛って持ち上げ、そのまま城へと投げつける。
しかし…


「!――硬殻塔へ飛ばねェ…!!」


投げたサンゴは何故か引き返し城ではなく外へと向かって飛んでいく。
それにデッケンは目を丸くさせ、飛んでいくサンゴに慌てて飛び乗った。


「くァあ!!――10年間想い合ってきた2人の愛を別つものは"死絶"をおいて他になし!!バホホホホ!!他の誰かのモノになるくらいなら!!血しぶきを上げて死ね!!しらほしィ〜〜!!!」


デッケンは城を後に人魚姫の…しろほしの元へと向かった。

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