(32 / 293) ラビットガール (32)

大人達が話し込んでいる間、アスカとルフィは虫や動物を捕まえて遊んでいた。
すると姿が見えなかったダグラが何故か慌てた様子で戻ってきたのを見て、アスカもルフィもダグラの様子など気づかず、まだ2人が帰ってきたことを知らないだろうとダグラに2人が帰ってきたことを教えようとした。
しかし…



ウソつけ!てめェ!!冗談でも許さねェぞ!!



ダグラの言葉にエースが逆上しダグラを殴ろうと押し倒す。
それを周りにいた大人達に止められてしまい、アスカもルフィもダグラの言葉に唖然としていた。


「冗談でもウソでもニーんだ!!おりにとっても唐突すぎて…この眼を疑った…!夢か幻を見たんじゃニーかと!サボは貴族の両親につれて帰らりたって…ルフィ言っティなァ、おり達みティーなゴロツキにはよくわかる!帰りたくニー場所もある!あいつが幸せだったなら…!!海へ出る事があったろうか!海賊旗を掲げて一人で海へ出る事があったろうか!!?」


ドグラが慌てていたのはダダン達が見つからなかったからではない。
ドグラはエースとダダンを探していた時、サボが船に乗ってこの国を出ようとしていたのを見たのだ。
しかしタイミング悪く、その船は世界貴族を乗せた船に撃たれて沈み、サボ本人も撃たれてしまう。
だからドフラは慌てていたのだ。
サボが死んだと言われエースは一気に頭に血が上り、アスカもルフィも突然の兄の死に感情が追いつけなかった。


「…サボ……幸せじゃなかったんだ…!」

「……ッ」

「何で奪い返しに行かなかったんだ!おれ達は…!!」


エースは頭を抱え、ルフィはショックを受け、アスカは世界貴族への憎悪を強くした。
サボほどの強さなら、嫌なら戻ってくるという過信があった。
そして戻ってこないのは誰もがサボが幸せに暮らしているのだと信じていたのだ。
それがサボは世界貴族に殺されたと言われみんなショックが隠せなかった。


「ッ―――サボを殺した奴はどこにいる!!おれがそいつをブッ殺してやる!あいつの仇を取ってやる!!!」

「まて!エース!!!」


頭に血が上ったエースはドグラの胸倉を掴み、そしてパイプを持ち町へと向かおうと家を出ようとする。
だがそれを包帯だらけのダダンに取り押さえられてしまい、エースは床に押さえつけられてしまう。


「やめねェか!クソガキがァ!!!」

「どけ!てめェ!!」


怒りで周りが見えないエースをダダンは止めた。
それは相手が世界貴族だからというのもあるが、何よりもエースが勝つ保証がないからだ。
嫌々とは言えガープに子供三人預かっている身としては見す見す殺されに行くエースを見送る事は出来ない。


「ろくな力もねェクセに威勢ばかり張り上げやがって!!行ってお前に何ができんだァ!!?死ぬだけさ!!死んで明日にゃ忘れられる!!それくらいの人間だ、お前はまだ!!!」

「ダダン!やめて!」

「お、お頭っ!!」


エースの傷が開き、床に血が飛び散るのを見てアスカはハッと我に返りダダンを止めようとした。
周りの部下たちもアスカと一緒にダダンを止めようとするのだが、ダダンはエースの胸倉を掴み続ける。


「サボを殺したのはこの国だ!!世界だ!!お前なんかに何ができる!!お前の親父は死んで時代を変えた!!それくらいの男になってから死ぬも生きるも好きにしやがれ!」

「………!!」

「おい!このバカを縛りつけときな!!」

「ヘ…ヘイ!!」

「エース!」


ダダンの言葉にエースは何も言い返せず、悔しげにダダンを睨む。
そんなエースにダダンは睨み返し、頭を冷やさせるため部下に家の前にある木にエースをくくり付けさせる。
外に連れ出されるエースにアスカは止めようとついて行こうとするがダダンに引き留められてしまった。


「行くんじゃないよ!アスカ!!頭を冷やさせなきゃエースは死ぬよ!それでもいいのか!?」

「でもダダン…怪我が…!」

「あんな怪我で死にゃァしねェよ!」

「……っ」


ルフィの泣き声が家の中に響き、涙を溜めるアスカはダダンに止められエースのところへ行くのを止める。
しかし我慢しているのかギュッと唇を噛み、泣き続けるルフィに抱きついて一緒に涙を流した。







次の朝、ダダンは木にくくり付けたエースのもとへ向かう。


「少しは頭が冷えたか?エース。」

「ルフィとアスカは?」

「夜通し泣いてて…今寝てます」


流石に一晩経てば頭も冷えたエースは真っ先に弟と妹のことを聞き、ホッと息をつく。
あの後ルフィとアスカはお互い抱きつきながら泣き続け、同時に泣きつかれたのか眠りについた。
ルフィとアスカの状況を聞き安堵していた時、ドグラがカモメと共に慌てた様子でこちらに走ってきた。


「お頭!今手紙が……サボからです…!!」

「え!?」

「あいつ、海に出る前に…手紙を出してたんだ…」

「よこせ…!!もう町には行かねェよ!おれ達にだろ!?その手紙!!」


エースはサボの手紙にもう復讐で町には行かないと必死にダダンに訴え、その訴えはダダンに届いた。
解放されると手紙を貰い、エースは森を歩きながらサボからの手紙を読む。




――― エース、ルフィ、アスカ…火事でケガをしてないか?
心配だけど無事だと信じてる。
お前達には悪いけど、3人が手紙を読む頃はおれはもう海の上にいる。

色々あって一足先に出航する事にした。
行き先は…この国じゃないどこかだ…そこでおれは強くなって海賊になる。

誰よりも自由な海賊になってまた兄弟4人どこかで会おう。
広くて自由な海のどこかで必ず!!

姉さんには上手く言っておいてくれ。
心配をかけたくないんだ。
あの人は海兵だけど海賊となったおれを怒りはしないだろうな。
でも、きっと悲しむから…だから黙っててくれ。
あとおれが居なくなったからって抜け駆けは禁止だからな?

それからエース、おれとお前はどっちが兄貴かな。
長女1人、長男2人、弟1人、妹1人…変だけどこの絆はおれの宝だ。

ルフィとアスカはまだまだ弱くて泣き虫だけど、おれ達の弟と妹だ。

よろしく頼む。 ―――


エースは一人、涙を流した。

32 / 293
| top | back |
しおりを挟む