(35 / 274) ラビットガール2 (35)

「こら!アスカ!黙ってないで答えなさい!」

「うぅ…」


ジンベエとサンジが自分達の為に戦ってくれるとは知らずアスカはナミに凄まれ必死に目をそらしていた。
ここだけを見るとこの場が命の取り合いの戦場だというのは信じがたい。


「イカロス!」

「ムッヒ!?」

「黒スーツの男…あの女共が傷つく事に過剰に反応していた!あの女共が一味の弱点だ!恐らくウサギの女は一番弱い!!まずはおれがオレンジ色の髪の女の足を押さえる!その間に"ヤリ"で仕留めてその女を殺せ!その後にウサギの女だ!!」

「了解ムッヒ!!」


ゼオから見たアスカはナミに凄まれ手も足も出さない一味の中で一番弱いただのウサギ耳としっぽを生やす人間だと見えたらしい。
それは全くの逆なのだが内情を知らないのならそう思っても可笑しくはない。
むしろ少女という見た目も相まってアスカは一味の中でも弱いと見られがちだった。
それに本人は気付いてはいないが、ゼオは身体を透明にしながら側にいたイカロスに作戦を伝えナミとアスカの元へと駆け寄る。
イカロスは姿を消した仲間に返事を返しながらゼオに続き槍を掴み直しナミとアスカの元へと駆け寄った。


「あれ…!?」

「ナミ?」


ナミはアスカの肩に手を置き凄んでいたが突然足が動かなくなったのを感じ下へと目線を落とす。
そんなナミの様子にアスカは首を傾げながら戸惑いながら声をかけるもナミからは『足が動かない』としか返ってこない。
敵でもいるのかと周りを見渡しても敵は敵でも雑魚ばかり。
するとアスカの後ろからスルメイカの槍を手荷物イカロスが迫り、アスカは振り返り動けないナミを背中に庇う。


「ムッヒ!くらえ!スルメイカの槍!!お前はスルメになるのだっヒ!」

「次から次へと…!鬱陶しい!!」

「キャー!ちょっと待って!なんで足が動かないのよーー!!」


ワダツミの次はナミが動けなくなり、その隙にイカロスが槍を振りかざそうとしているのをアスカは不機嫌そうに見上げ構える。
不機嫌そうなのはナミに叱られた八つ当たりだが、イカロスは自分の中では既に2人は死んでいるのも当然なため気付いていない。


「え!?あ!アスカさん!!ナミさん!!」


ナミの声に気付いたブルックが振り返り2人のピンチに駆けつけた。
…と、思っていた。



「お2人ともパンツ見せてもらってもよろしいですか!?」

「え?パンツは穿か…」

「イヤって言ってるでしょーが!!!」



ブルックはアスカとナミのピンチに駆けつけてくれたと思った。
しかし実際はいつもの発作を起こしただけだったらしい。
だがそれでもブルックが2人を庇う結果となり、アスカとナミはスルメイカの槍を食らうことはなく、槍はブルックの身体に突き刺さってしまう。


「ムッヒ!味方か!!え〜〜い!貴様も干涸びてスルメになれっヒ!!」


スルメイカの槍は身体の水分という水分を吸い取る物らしく、2人を庇った形となったブルックの身体を容赦なく突き刺す。
…が、ブルックの身体を何度も突き刺してもブルックから水分は取れず、イカロスは困惑する。


「!?――どうしたっヒ!スルメイカ!!コイツから水分を奪い干涸びさせてやれっヒ!!」


あ、私もう干涸びてますけど


「ええ〜〜〜〜!!?」



ブルックはヨミヨミの実で復活した骨人間。
肉など存在はせず骨だけの生き物である。
その為スカッ、スカッ、とスルメイカの槍はブルックの身体を刺すも水分を奪うことも出来ず肉を刺す事も出来ない。
イカロスはブルックの言葉に衝撃を覚えたという。


「そんな奴いるわけないっヒ!!」

「いや〜それがいるんですよねェ…ほら、あなたの目の前に。」


イカロスは信じられないと目を疑い、『もう、イヤですねェ〜』と呑気に手を振るブルック。
この世に自分の槍で干涸びない者がいるのが信じられず、そして認めたくないのかイカロスはアスカとナミから標的をブルックに変えた。


「何なんだったんだ…あのイカ…」


「お、おい!ウサギ人間!!速やかにそこから離れろ!!」

「やべー!踏んでる!踏んでるから!!」

「は?」


イカロスが何がやりたかったのか不明だと怪訝そうに睨み合う2人を見ていたアスカに側で囲んでいた魚人達が小声でアスカに声をかけてきた。
その声掛けに気付いたは魚人達の言葉の意味が分からず怪訝そうなのを深め離れろと繰り返す魚人達を見つめる。


「下!!足元!!早くその人から足どけろ!!」

「足元?…あ。」

「え!?誰かいる!!」


魚人達の言葉に足元に目線を落としたアスカは、スー、と半透明から実態を表したゼオに気付いて声を零す。
ナミもそれに気付き動けなかった正体を知り目を丸くした。


「誰コレ」

「動けなかったのはコイツのせいだったのね!!」

「どうだ!貴様!!」

「?」


青と青紫の身体を持つ魚人の顔を踏んでいたのに気付いたアスカだったが、それでも足を退かそうとはせず相変わらず淡々と見下ろしていた。
ナミだけが驚いている中ゼオは声を上げる。


「足の裏へのヘッドバットの威力は!!この攻撃は後でじわじわと効いてくるハズだ!!」

「「「踏まれたと認めない気だァ〜〜〜!!」」」

「?…ああ、顔踏んでた?ごめん。」

「「「それ言うなお前〜〜!!」」」

「"超足裏頭突きスーパーソールヘッドバット"!!」

「「「技名つけたァ〜!!」」」

「は?ダサ…」

「「「そして貶したァ〜〜!!」」」


何だ何だ、と黙っていたアスカだったが踏まれた事を認めない気のゼオに改めて踏んだと畳み掛けるように呟く。
足を退かしながらのアスカの言葉に魚人達は必死でゼオをフォローするも技名までつけたゼオについ突っ込みを入れてしまう。
その上技名がダサいと呟いたアスカに同時に声を上げて突っ込みを入れる。
そんな周りなどよそにアスカはナミの下から立ち上がり武器の鎖を構えるゼオと距離を置き手をウサギへと変える。


「ちょっと…アスカ…!!」

「大丈夫、服は脱がないから。」

「そういう問題じゃないってば!!あんた女の子なのに…!!」


まだ戦うのを止めようとするナミにアスカはワンピースだけは破って裸にならないとゼオを目に捉えながら約束するが、ナミはアスカがワンピース姿で戦う事自体が反対なため首を必死に振った。
しかしここは戦場である。
ゼオにアスカの相手を任せていた魚人達はただ見ることもつまらないと手持ち草のナミへと襲い掛かってきた。
ナミは『あー!もう!!パンチラは絶対許さないからね!!』と叫びながら襲い掛かってくる魚人を相手にソーサリー・クリマ・タクトを構え、そんなナミの過保護さにアスカはつい小さく苦笑いが零れてしまう。

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