(34 / 293) ラビットガール (34)

エースが海に出てルフィは修行を続ける。
その中で新聞でエースやその仲間のことを知り、ルフィはより修行に力を入れる。
2人ともいつか海に出てエースやその仲間達に会うのが楽しみだった。


―――そして、17歳。
ルフィとアスカが海に出る日が来た。


「見送ってくれねェのか?」

「見送ってくれないの?」


ルフィとアスカは荷物を纏めながら壁に向かって座るダダンの背に声をかけた。
ダダンや山賊達はルフィとアスカの見送りには行かず、ここでお別れとなっている。
エースの時はこの山から出航したためマキノと村長がこちらに来て見送る事が出来たが、アスカとルフィは生まれ育ったフーシャ村から出航しようと決めているし、何より村の人達が出航を見送りたいと言ってくれたのだ。
そのため山賊であるダダン達は流石に見送りに行けなかった。
しかしやはり見送られないのは寂しいものだとアスカは暖かく見送ってくれる山賊達を見て思う。


「村長とマキノはよくても、フーシャ村の奴らがビビっちまうだろ!あたしらが山を下りたら…!さっさと行っちまえ!!」


何故か壁とお見合いをしながらダダンが迷惑そうに眉を潜めて2人を見る。
そろそろ時間だからとルフィとアスカは必要な物だけを詰め込んだ荷物を持って立ちあがった。


「じゃあ、みんな、今まで色々ありがとな!!」

「そんな照れるじゃねェか、礼なんて!」

「ダダン!おれ山賊嫌いだけどよ!!」

「うるせェ、クソガキ!!」

「お前らは好きだ!!」

「――ッッ!!バカ言ってねェで早く出てけ!チキショー!!どいづもコイヅも!」


ルフィの言葉にダダンはエースの時同様涙を流す。
そしてルフィに続き、アスカもダダン達にお別れの言葉を掛けようと声をかけた。


「ダダン、色々教えてくれてありがとう。全然役に立たなかったけど!」

「うるせェー!お前が不器用なだけだろー!馬鹿やろォー!!」


アスカの言葉にも涙を流し、もうダダンの顔はグチャグチャだった。
ダダンがエースの時同様自分達との別れに悲しんでくれているとルフィとアスカはお互い顔を見合わせ嬉しそうに笑った。


――その後、山賊達に見送られながら別れたルフィとアスカはフーシャ村に戻ったのだが、何故かルフィだけが船に乗っていた。


「おい!ウチの古い漁船使えよ、ルフィ!!」

「いいんだこれで!!ここから始めるんだ、おれ達は!」

「ボートってお前〜〜!!」


ルフィは村人に見送られ、ボートにタルを2つ運んだ。
ボートで出航しようとするルフィに流石に止めようとし自分の船を譲ろうとしたのだが、ルフィは頑固なものでせっかくの申し出を断る。
人通り荷物を置くとルフィは顔を上げ自分達を見送る人だかりの後ろへと目を向ける。
ルフィの目線に気づいた村人たちも全員振り返り、ルフィの目線の先を見た。
そこには村長であるウープと…


「私も行く!!!」

「駄目だ!!アスカ!お前は女の子なんだぞ!?」


アスカがいた。
元々海に出るのを反対していた村長が直前になって猛反対し始めたのだ。
言い合いをはじめてすでに数十分経っており、アスカは何度も同じやり取りにいい加減飽きてきた。
だからウープではなく、出航するルフィに矛先を向けた。


「ウープさんは黙っててよ!!ルフィ!いいでしょ!?」

「い……、…駄目だ」

「ウープさん!!!!」


ルフィに話を振るが、村長がルフィを睨んだせいでルフィは目をそらして首を振る。
この時アスカはこのAKYめ!と頭の中で突っ込んだ。


「もういい!!!ルフィの馬鹿!!あほんだら!!海に出たかったら勝手に出ればいい!!そしてそのまま海に落ちて朽ちればいい!!!」

「アスカ!!?お、おい!!」


ルフィだけは味方になってくれると思っていたのに、村長の剣幕に負けて直前になって首を振るルフィにアスカはムカッとなった。
アスカはムスッとしながらマキの店に入って拗ねてしまい、そんなアスカを気にしつつルフィは船を出し、ついにルフィは海賊としてスタートした。







「とうとう行っちゃいましたね、村長…寂しくなるわ」

「村の恥じゃ!海賊になろうなんぞ!」


ルフィが海に出たのをアスカは酒場の扉から顔を覗かせ見ていた。
完全に船が港から離れたのを見てアスカは外に出る。
キィィと酒場のドアを開けられた音を聞き、村長達村人は振り返る。
そこにはアスカが立っていた。


「あら、アスカやっぱり見送りに来たのね……ってアスカ?」

「ど、どうしたんじゃ!?能力を出しおって……まさか…!?」


外に出てきたアスカの頭とお尻にはウサウサの実の能力を発動させる際に必ず出るウサギの耳としっぽが出ていた。
能力を出すアスカに戸惑う村長達をよそに、アスカはそのまま走って飛んで遠く離れた船へと着地した。
アスカの能力をもってすれば足をウサギにしなくてもあの程度の距離、普通人間が飛んでも落ちるであろう距離でも十分届くのだ。
着地の際、ルフィがこちらに落ちてくるように飛ぶアスカを受け止めてくれたおかげでなんとか船を壊さず無事に着地が出来た。
アスカはルフィの腕の中から突然の行動に呆気に取られている村人達に振り返り、珍しい満面の笑顔で手を振る。


「マキノさん!!ウープさん!皆!!私ルフィと一緒に行く!!!元気でねー!!!」

「コ、コラァーーー!!!アスカ!!戻ってこんかー!!お前は女の子なんだぞー!!危ないだろー!!」

「大丈夫!!私逃げ足速いもの!!!」

「そういう問題じゃないわーー!!!」


グッと親指を立てるアスカにウープは怒り狂う如く怒鳴った。
ウープの怒鳴り声を聞きながらルフィとアスカは育った村が消えるまで見つめていた。

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